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427話 人物評

ども、坊丸です。


先程、松永久秀父子が退出していきました。

また、宴を催すので、続きはそこで色々話すという感じになったご様子。


さて、これで御役御免、後で二期生達に奇妙丸様の小姓衆役を一期生がこなす姿を見てどう感じたのか、自分達とどう違いがあるか考えさせないとな…、等と考えていると、奇妙丸様が信長伯父さんから呼び出しがあるとのこと。


先程の面会を受けて父子でお話してるのかな?大変だね!父子でお話があるなら、信長伯父さんの小姓衆が居るから、自分達小姓衆からは一名ついて行くだけでいいな、それと堀久太郎殿はここで貸し出し終了で信長伯父さんの下に戻るのかなぁ等と考えておりました。


が、呼びに来た佐脇殿のお話では、奇妙丸様のみならず、一期生も堀久殿も顔を見せろと。


「奇妙丸、お呼びとのことで参りました。森虎丸、佐久間牛助、津田坊丸も引き連れております」


「堀久太郎、戻りました」


奇妙丸様と自分達が一塊、堀久太郎殿は少し遅れて信長伯父さんの私室に入室。


「奇妙丸、ご苦労。堀久、長谷川に代わり、そこに控えろ」


そう声がかかったので、堀久太郎殿は信長伯父さんが顎をしゃくった先、長谷川橋介殿の側に進みよると、立ち位置を交換。長谷川殿は静かに退室。信長伯父さんの小姓衆たち、仕事で交代する時はいつもこんな感じなのかな?知らんけど。


「奇妙、松永久秀に会ってどうだった。存念を申せ」


「はっ。挨拶の最初では威儀、佇まいともに老練な趣。さすがは三好長慶殿の重臣にて幕府や公家とわたりあってきた方かと思いました。ただ、その後は、口がよく回るお人であるなぁ、と思いました」


「で、あるか。堀久は如何であった」


「おおむね、奇妙丸様と同じ意見でございます。付け加えるのであれば、口が回るだけでなく、まるで殿がバテレンに悪印象を持つように誘導していた様に見受けられました。松永久秀殿は日蓮宗への信心厚いとか。バテレンがお嫌いなのではないでしょうか」


「で、あるか。奇妙丸の小姓衆達に問う。他に思うところあったか?」


「奇妙丸様、堀久殿とおおむね同じ意見でございまする」

「それがしも」


虎丸、牛助君が答えたとなると、次は、自分の番か…。


「ふっ。どうした。こういった場では一番、変わった意見を言う坊丸が黙り込んでいるな。なんぞ、悪いもんでも食ったか。ハッハッハ」


慌てて、手を振ってそういったことは無いとアピール。


「いえ、おおむね皆様のおっしゃるとおりかと。松永殿の才、立ち回り、話しの巧さ、さすがである感じました。ただ、その分、言葉が軽くどこまで信じてよいのか、少し疑念を持ちました。それと…」


「フッ。調子がでてきたな、坊丸。それと、どうした?」


「はっ。松永殿が、年明けまで岐阜に居るということは、年末年始、京の守りがやや薄くなるのだな、と。三好三人衆がそこを突いてくるようなことがあれば公方様が危ういのでは?と。京の側、琵琶湖南岸に家老格で機を見るに敏、かつ兵を動かす断を下せる方が一人、二人居たほうが京への圧や重石になるのでは、と愚考いたしました」


「ふむ。松永が岐阜にいても、それほど公方様の警護は薄くはなるまい。長岡の勝龍寺城には細川藤孝が、河内の若江には三好義継、摂津には和田惟政が居る。摂津側から来れば和田惟政が、堺方面から来れば三好義継か細川藤孝が気付くであろうよ。そこで動きを止めてくれれば、四、五日で兵を集めて儂か名代の者が京やその戦場に向かえるであろう。フッ。坊丸は思ったよりも心配性よな」


「はっ。伯父上のご慧眼、ご差配の意図を知らず申し訳ございませんでした。預かり親たる柴田勝家殿の義理の兄、佐久間盛次殿が上洛戦にて怪我をしたので、万に一つ、億に一つと悪く考えているのやもしれませぬ。すみませんでした」


そう言って、深く一礼。


「箕作では、佐久間盛次、盛政父子はよく働いてくれた。盛政は上洛戦の直前まで奇妙の小姓衆をしていたと聞く。盛政は良き武人に育つようだ。盛次の怪我は惜しいが、あ奴は、豆に働く。戦以外でも働きどころはあろう。坊丸、盛次の怪我についてはなんぞ聞いているか?」


「はっ。右足に深手を負い、今は歩くのに難儀しているとか。伯父上のご指摘の通り、戦場で走り回るのは、難しいかと。腰から上は問題ないということで、療養しながら、犬山城下の政に励んでいるご様子にございます」


「で、あるか。そのうち、見舞いに行かねばな」


「はっ。柴田の親父殿を通じて、伯父上のお言葉、佐久間盛次殿にしかとお伝えいたします」


「で、あるか。しかし、松永久秀の評価、おおむね、分かった。あ奴は、物がよく見えておる故に、人と違う動きをする。義昭様に兄の仇と言われようとも、三好三人衆を共通の敵とするなれば、義昭様方に付く胆力もあるし、悪名を屁とも思わぬところがある。腹に一物抱え、何事か企むことが多いが、使える奴ではある。そなたらの評も間違ってはおらんのだろうが、あえてあのような者を使う必要もある。奇妙、覚えておけ」


「はっ。父上の教え、肝に銘じます」


そう言って、頭を下げる奇妙丸様。

うん、父の教え、いいですね。

そして、自分は言いたいこと言えたし。あとは、信長伯父さんがどうするか、だからね。


あ、この後、二期生への指導あるんだった。虎丸君とお桂さんに丸投げできないかなぁ…。まぁ、手伝わないと怒られるよねぇ…。サボるのは、無理かぁ…。

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