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410話 明智光秀登場、そしていつもの無茶振り

ども、坊丸です。


永禄十一年の春を過ぎてから、岐阜城に人の出入りが多いなぁ…と思っている坊丸です。


まぁ、あれだよね。永禄十一年といえば、九月から十二月で足利義昭様を奉じて信長伯父さんが上洛しちゃいますからね、『信長公記』の知識によると。


それに向けて、足利義昭様の配下の人達と連絡取りまくる時期なのかなぁ…と思ったり。


岐阜城の御殿にはね、行ってるんですよ。

奇妙丸様の小姓衆としてね。でもね、今までだとふらっと信長伯父さんに会ったり、居るなら顔出せ的な呼び出しがあったんですがね。まぁ、二カ国半の支配者ですからね、信長伯父さん。忙しいので、会うことが激減しております。しかも、足利義昭様からの使者が結構な頻度で来てますからね、信長伯父さんたら大変そう。


信長公記のデータでは、永禄十一年七月二十五日に美濃の立政寺に来てますからね、足利義昭様。

その前から、いろいろやり取りするよね。両奉行こと村井貞勝殿と島田秀満殿、それの補佐役に不破光治殿がついて、三名で越前と美濃を行き来しているようです。


そして当然、義昭様側からも人が来るわけです。なんとその中に、きてるらしいんですよ、明智光秀が!戦国時代のスター格だからね!明智光秀!この時点から関係性ができるんですね!まぁ、史実だと十数年後に本能寺の変を起こした上にすぐに征伐されちゃうけどね。


あ、いつもの細川藤孝殿と和田惟政殿も行き来してますよ。細川藤孝殿と和田惟政殿は以前から来ているし、奇妙丸様にも挨拶あったから、それを含めて何度か会ったり、姿をお見かけしたんですがね。この時点ではまだ、明智光秀殿は訪問客の中の一人なわけで、そのお名前を聞いただけだったんですよね。信長伯父さんの小姓衆から。


で、細川藤孝殿と明智光秀殿が揃って訪問した時に、細川藤孝殿が明智光秀殿の経歴なんかを紹介をしたらしいんですよ、信長伯父さんに。


なんて言ったかって?「火縄銃の名手」「朝倉義景召し抱えの鉄砲衆の中では一番の腕前」って。

そんなこと言っちゃったら喰いつくに決まってるでしょ、鉄砲大好き三郎さんこと当家のご当主様は。あ、知ってると思うけど、三郎は信長伯父さんの通称ね。

まぁ、それだけなら良かったんですがね。呼ばれました、その場に。なんて言うか、完全にとばっちりですよね、自分。


だって、いつもの様に奇妙丸様と武芸の稽古をしてたら、いきなり呼び出しですよ。弓の指導教官、その日は太田牛一さんと奇妙丸様、佐久間牛助くんから、『ああ、また父上から呼び出しか』『また殿に呼び出されているな』『坊丸君はいつも呼び出されるよねぇ』って感じで見送られました。


って、心の声だけなら良いけど、あんたらリアルに声にでてるからね?自分が服装を整えて、慌てて表御殿に向かっていく後ろ姿にそんな心ない言葉を振りかけないで!


って、それに、いつもじゃねえし!何かやらかしたわけでもないのに急に呼ばれてだいたい厄介事が降って湧いてくるんですよ!まぁ、何かやらかして呼ばれることも、昔はあったけどさぁ…。


「津田坊丸、お呼びにより、罷り越してございます」


表御殿の小広間に入ると、信長伯父さんの前に細川藤孝殿ともう一名、三十代後半から四十代前半という感じの風貌ですが、他のお二方に比べるとすこしばかり額が広い印象の方が座っておられます。


「で、あるか。あれが甥の津田坊丸である。坊丸、細川殿は見知っておるな。もう一人は明智十兵衛光秀という。義昭様の奉公衆に最近加わった者だ。見知りおけ」


「はっ。津田坊丸にございまする。故あって、織田の名乗りを離れ、今は津田を名乗っております。織田家家老、柴田勝家様の預かりにて、織田家嫡男である奇妙丸様の小姓衆を務めております。元服前にて、お二方とは身分の差がごさいますが、宜しく見知り置き下さいませ」


すこし平伏した後、顔を上げ、二人の方に視線を送ります。その後、佐脇さんや信長伯父さんの方をチラ見。よし、みんな困った顔していない。今回はやらかさずにご挨拶、完了っと。


「以前、奇妙丸様とお会いした時に控えていたならば見知っているかも知れんが、信長様からのわざわざのご紹介であるので、今一度。足利義昭様の奉公衆をしている細川与一郎藤孝と申す」


軽い会釈にこちらは大きく平伏しておきますよ、ええ。やればできる子ですから。坊丸君は。


「同じ義昭様の奉公衆を務める明智十兵衛光秀と申す。土岐明智の一門にて、以前は先の公方様である義輝様の配下を務めました。今は朝倉義景様から義昭様の配下として動くよう仰せ付かっております。よしなにお願い申す」


やっぱり、明智光秀だったよ!同じ様に平伏しておくことにします。あ、そういえば、すこし、光秀殿の方が自分に対して丁寧な自己紹介だったね。


「信長様がわざわざ津田殿をお呼びになられたのですから、何か理由がございますのでしょう。お聞かせ願いまするか」


やんわりとなんでこんな小僧を呼んだんですか?と言っておられますね、細川藤孝さん?

いや、怒ってないよ!怒ってないからね!だって、自分も何で呼ばれたのか、よく分かんない状態だし。


「ん、であるか。先日、与一郎殿が十兵衛殿を紹介してくれた時に、鉄砲の名手と言われたのでな。現在は当家の鉄砲指南役は滝川一益が務めているが、今は伊勢を任せておる。なので、鉄砲指南役がおらん。

そこな、坊丸は自身は鉄砲は嗜む程度だがな、色々と火縄銃の改良を任せておる。それにその配下の加藤なにがしが鉄砲の撃ち手としてもなかなかにやりおる。

一益の代わりと言ってはなんだが、十兵衛殿に鉄砲の腕前を披露してもらう時に、坊丸とその配下の加藤なにがしを呼ぼうと思ってな。なので、顔見せに坊丸を呼んだのだ。明日、河原で巻き藁でも撃つのを見たい。十兵衛殿、宜しく頼む」


「そうでございまするか。得心致しました。十兵衛殿、明日、宜しいか?」


「信長様、藤孝殿からの頼みと言われれば断るわけにはいきますまい。承ってございまする」


「と、言うことだ。坊丸。明日、河原に加藤と共に来い。良いな」


「はっ。承りましてござりまする」


って、最初から自分は拒否権無いやつじゃん。仕方ないけどさぁ。奇妙丸様の小姓衆として以外にも家禄を頂いてるし、そりゃあ、やるけどさぁ。

奇妙丸様の小姓衆役、明日はお休みだったのになぁ…。

後に義父になる明智光秀と坊丸を早めに会わせておこうと思ったら、何故かこんなことに…。


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