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375話 五徳姫様の輿入れ 婚礼調度 四の段

ども、坊丸です。


「シェークスピア四大悲劇の一つと同じ名前のゲーム」ぽいもの三連戦目開始前の坊丸です。


え?一戦目は自分が相手の説明対局だからノーカウントだろうって?

イヤイヤイヤ、あれもルールを説明しながらだったから大変だったし。しかも自分一人で石の入れ替えもやっていたからなおのこと大変だったし。

さらに言えば、意図的に白が打てない状況を作ってパスの説明までした上で、そこそこ白が巻き返していい勝負を演出するよう知恵を絞ったし。


そんなわけで、将棋盤に碁石を並べてみると…。

あれ?碁石って将棋盤のマス目に対してすこし小さいんだ。知らんかった。


「ふむ、将棋盤に碁石を置くとは思いませんでしたな。坊丸様、何をそんなにしげしげと石と盤を見ておられるのです?」


「え?あぁ、思っていたよりも大きさが合わなかったもので。それと…。中央からずれるのが気持ち悪いですね」


加藤さんは中央近くにボンボンと黒を置いてますが、自分は白石を置くのに中央からずれたのも気持ち悪いし、石とマス目の空いた微妙さもすこし気持ち悪いく感じたわけで。


「まぁ、違う遊戯の道具を使っておりますからな。致し方ありますまい。碁石は七分よりすこし大きいくらいの円ですが、たしかこの大きさの将棋盤は、縦一尺二寸、横一尺一寸のはず。そうなるとマス目は一寸二分ほどの縦長になりまする。もとより合いますまい」


お、文荷斎さん、博識〜。

あ、将棋盤のマス目は9✕9マスだから余白を取って9で割ればそんな感じになるのか。


「これだけ余白があると石を入れ替えるのは楽ですが、ちとスカスカに見えまするな。では、先手を指させていただきまするぞ」


ふむ、まぁ、最初はそうなるよね。石の入れ替え入れ替えっと。

で、こちらはここに、っと。パチン。


「そうなんですよ、加藤さん。マス目の数として将棋盤くらいが良いかと思ったのですがね。それと、やっぱり最初の四石の配置が、中央からズレるのがなんとも…」


入れ替え入替え。で、加藤さんがパチン。


「最初、何故に坊丸様が偶数に拘るのかと思っておりました。正直、マス目の数が奇数であれば、引き分け無く勝敗がつくのに、何故、と。初期の配置の美しさを取るか、遊戯として勝敗が必ずつくかことを優先するか、ですな」


入替え入替え。で、自分がパチン。


「自分としてはどちらも有って良いと思うのです。まぁ、婚礼調度としては美しさ優先で縦横八マスにしたいと思いますが」


「桃花殿、紙と筆を貸していただきたく。遊具としての仕様をここで決めるので書き留めたいと存じる」


あ、文荷斎さん。すいませんね。こんなプレイ中の雑談みたい感じで仕様を決めてしまって。

入れ替え&加藤さんの手順ですよ。まだ序盤だからそんなに考えなくても…。文荷斎さんそうだったけど、加藤さんも真面目で負けず嫌いだなぁ。


「では、石と盤は如何いたします?」


加藤さんがゲームの方に集中し始めたので、文荷斎さんが仕様を決めにかかりましたよ。

そして、桃花さんが持ってきた筆記用具で記録取り始めたし。


「先ほども話したように、石は、表裏で色を変えて入れ替えではなく、ひっくり返すようにしたいと思います。あと、碁石と違いできるだけ平たくしたいですね。大きさは将棋盤でも遊べるように一寸か一寸一分が良いかなぁ、と。専用の盤は真四角で縦横八マス。マス目は石の大きさに合わせてですかね」


「ふむ。では、試作品は一寸一分と致しましょう。マス目も一寸一分の真四角にいたします」


そんな感じに文荷斎さんと仕様を詰めながら加藤さんと対局。終盤は石の入れ替えをしながらしっかり考えて、どうにか勝利。辛勝でした~。


「そうだ、桃花殿。桃花殿も一局如何ですかな。遊び方は何度かみたのでおわかりですか?」


え?桃花さんとも対局させられるの?また?


「坊丸様、もう一局お付き合いください。桃花殿も見ていただけで遊び方が分かり、対局できるとあらば、女子でも遊び方をすぐに理解できることの証左となりますれば。桃花殿、できそうですか?」


「はい。見ていればだいたいわかりました。簡単そうでございますし」


ハッハッハ。もう一局確定っすか。了解しました。


石の入れ替えを加藤さんと文荷斎さんが手伝ってくれて、速やかに対局が進みます。

つっ!ひ、引き分けだと!やるな、桃花。いや、自分が疲れたせいだ、そうに違いない。


「フフッ。引き分けですね~。もう少しで勝てた気もします」


そこのくノ一よ。くノ一らしく印象に残らないように微妙な差で負ける工夫とかはしなかったのかね。

フンス!と鼻息が聞こえる様な仕草をするのはどうかと思うね、坊丸くんとしては。


「桃花殿、遊び方は問題なかったですかな?」


「問題ないですね。楽しかったです。置いてある石がたくさん自分の色に変わる場所を見つけたときは、やった!という感じですし。実際色が変わった盤面をみるととても嬉しい感じです。あ、後は、婚礼調度なのに白と黒は華やかさが足りない感じですね。紅白の方がおめでたい感じで良いかと思いました」


「ふむ、婚礼調度ですからな。それも良いかもしれませんな。白と黒、白と赤の両方で試作いたすとしましょう」


あ、文荷斎が紅白って書き付けたよ。紅白の斜め上に花丸とか書いてるし。また、自分の予想と違った感じに改変されていく予感が…。


「でしたら、盤面の余白や側面に縁起の良い彫り物を加えましょうか。如何でしょう、坊丸様」


お、いい提案だね、加藤さん。それは即、採用。婚礼調度だもんね。華やかさは必要だよね。

ってなると、白と黒、緑の盤面というオセ◯の名前の由来になった色彩からどんどん離れていくのは確定だなぁ…。

実は、リバーシ、オセ◯を今回出すにあたって一番悩んだのが、オセ◯に対する情報処理研究の結果、常に最善手をさし続ける神プレーヤー同士では必ず引き分けになるという発表が昨年末にあった点だったりします。

8✕8マスに初期4石配置は美しいのですが、引き分けが起こりえる点、神プレーヤー同士では必ず引き分けになるゲームとしての欠陥を内包します。

9✕9マスなら総マス数が奇数なのでゲームとしての完全性が担保されますが、初期配置は美しくない…。まぁ、9✕9マスになっても数年後には解析終了されるかもしれませんね。


ちなみにオセ◯は、白と黒の石、緑の盤面がシェークスピア悲劇オセロの登場人物と緑の平原に見立てているそうです。有色人種ムーア人の将軍オセローを黒石、オセローの妻でヴェニスの有力議員の娘デズデモーナを白石に見立てているそうです。


碁石の一般的なサイズは白石の直径が21.9ミリ(7分2厘)、黒石は22.2ミリ(7分3厘)。白のほうが膨張色で大きく見えるので、わずかに黒石の方が大きいのです。

将棋盤の一般的なサイズは将棋連盟によると縦36.4センチ横33.3センチで縦1尺2寸の横1尺1寸。余白を取ったうえで9等分するので、マス目のサイズは縦3.86✕横3.52センチ程度だそうです。


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