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374話 五徳姫様の輿入れ 婚礼調度 参の段

ども、坊丸です。


「シェークスピアの四大悲劇と同じ名前のゲーム」もしくは「リバーシ」を加藤さんと文荷斎さんにどうやって説明しようか思案中の坊丸です。


あのゲームって、白と黒の丸いやつと盤面があればできる簡便さがいいんですよね。まぁ、ルールの理解しやすさっていうのも世界的なゲーム担った理由だろうけども。


白と黒の丸いやつ…。囲碁だな。盤面は…。囲碁と将棋のどっちがいいんだろう。たしか、囲碁も将棋も柴田の屋敷にもあったはず。


「桃花さん?どうせ近くにいるんでしょう?顔見せてください」


仏間から廊下の方に呼びかけてみる。桃花さんはくノ一だしね。買い物にでも出てなければ屋敷の中には居るわけで。

しかも、自分が加藤さんと文荷斎さん、福島さんを呼び集めるっていうのであれば、何かしら開発する流れになるのは火を見るよりも明らかなわけです。滝川一益さんお桂さんの息がかかったくノ一の桃花さんは絶対に何を始めるか情報収集したいはず。

故に桃花さんは近くにいて聞き耳を立てているのは間違いない。quod erat demonstrandum。

あ、数学的な証明ではないのでQ.E.Dは間違いかもしれない。


そして、虚空にむけて桃花さんを呼ぶ自分の姿を訝しむ二人。

わずかばかりの後、着物の擦れる音が聞こえてきました。そして、障子をあけると小首をかしげて少しほほえみながらこちらを見る桃花さん。


「はい、お呼びですか。坊丸様」


はい、予想通り近くにいましたね、桃花さん。あ、加藤さんも文荷斎さんも今まで気配なかったのにどこに居たんだっていうのが顔に出てますよ。


「こちらでお二人と囲碁や将棋を楽しみたいので、親父殿が持っている囲碁や将棋をお借りできないか確認してほしいのです。それと、お借りできるのであれば、こちらまで人手を借りて運び入れてほしいのです。よろしく頼みます」


「はい、承りました」


なんだそんなことかという目を一瞬しましたが、すぐに笑顔の下に隠す桃花さん。

桃花さんが障子を閉めると、最初の壱、二歩は衣擦れの音がしますがすぐにしなくなります。本当は無音で動けるけど、意図的に最初だけ衣擦れの音を出しているにちがいねぃ。


「坊丸様。囲碁や将棋であれば、古典とも言うべき遊戯、遊具ですぞ。それに女子(おなご)がよろこぶような遊戯ではございますまい。五徳姫様の婚礼調度には向かぬかと」


ハッハッハ。文荷斎さん。確かに戦国時代には囲碁や将棋を楽しむ女性はすくないけども、確か枕草子では女性も囲碁を嗜んでましたよ。未来のお話でいえば、将棋は女流棋士制度があるし、囲碁に至っては女性の正棋士もいるんですよ。まぁ、平成令和の女流棋士の話は出来ないけども。


「そうですね。流石に、囲碁や将棋をそのまま婚礼調度に出すつもりはございませんよ。まぁ、運んできてもらった後に囲碁や将棋の道具を用いて違う遊戯をご覧に入れましょう」


で、しばし後、小半刻も経たぬ間に、中間の人たちに囲碁と将棋の道具を持たせて桃花さん再登場。

仏間に搬入された親父殿の囲碁と将棋のセット。そして、当然のように一緒に座っている桃花さん。

まぁ、滝川一益さんの関係者にばれても特に問題ないからそのまま見てもらいますか。


「囲碁は碁石で囲んだ広さを競う遊戯ですが、これからお見せするのは盤面を石で覆って行き最後に多くの石がある方が勝ちという遊戯です。そして新しい石を置いたとき、その石と同じ色の間にある別の色の石は挟んだ色の石に置き換わります。まずは一人でやってみますね」


簡単にルールを説明して碁盤の枡に白と黒の碁石を碁盤の中央付近に「シェークスピアの四大悲劇の一つの名前が冠されたゲーム」で定められた通りに配置。


「坊丸様。碁石は線の交わったところ、目に置くのですぞ」


「文荷斎さん。これは囲碁ではない遊戯ですよ。一から遊具を作ると大変なのでとりあえず、碁盤と碁石で代用するだけですよ」


「あ、そうでしたな。囲碁を始めるわけではないのは聞いておったのですが、やはり目でないところに石があるのは違和感がありまするな」


では続けて、っと。黒の石を白の石を挟むようにして打つ。で間の白の色を外して黒の石に置き換えてっと。

やっぱり裏表で白黒になっているあのゲームの石は楽ちんで良いよね。別の色の石でやろうとすると、数が少ないうちはいいけど後半絶対面倒くさくなるもの。


で、次は白の石で同じように。次が黒。流石に自分で両方やると引き分けるに決まっているから意図的に黒が勝つようにして…。

たしか、公式は8マス×8マスだったと思うけど、囲碁盤は13路で12マス×12マス。全部埋めると石の交換だけで疲れるから6マス×6マスで終了にしておこうっと。


「と、こういう遊戯です。今回は黒が二十四個で白が十二個なので黒の勝ちです。本当はもう一回り広い盤面で行うのですが、まぁ、今回は説明なのでこの広さにしておきました」


「坊丸様、一局実際に打ってみたいのですが、お相手をお願いできまするか」


お、文荷斎さんがさっそく食いいついてきましたね。よろしい。一局お相手いたしましょう。


「では、次は縦横八マスで行いましょうか。よろしくお願いしますね。文荷斎さん」


そして、打ち始めると、最初から真剣に考えてくる文荷斎さん。ほっほっほ。たくさん色を変えても次に一気に色を変えられる様な所に打つのは悪手ですよ。

そして、石の色が変わるたびに一度石を取り除いて、またそこに別の方の石をおくので、盤面が広くなると石を打つ場所を考える時間より石の入れ替え時間の方が多くなる有様。結局、文荷斎さんと打っているのに石の入れ替えを加藤さんも手伝う羽目に。


「これは…。面白そうですありますが、石の入れ替えが難義ですな。やはり坊丸様が最初に行った六マスかもう一回り小さい七マスがよいのではありませぬか?それと入れ替えるには、石をつかんで動かす隙間があるように、もそっとマス目が大きいほうが良いかもしれませぬ」


はい、加藤さん。入れ替えが面倒なのは大正解。自分も6×6マスの段階でそこには気づいておりました。


「そうですね。それは自分もこの遊びを思いついたときから気になっておりました。この石を裏表違う色にすればその場でひっくり返すだけになるので楽に成るとおもうのですよ。マス目のサイズは…。たしか将棋の方がマス目が大きいのでそちらで試してみましょうか」


「では、坊丸様、指し手はそれがしが務めまする」


あ、今度は加藤さんが相手に将棋盤を用いて勝負ですか。そして自分が指すのは確定なんだ…。そろそろ指し手を交代してほしいんだけど…。

小半刻は15分程度としております。

四半刻と小半刻を同じとすることが多いようですが、半刻に足りないので小半刻という表現をするもの、四半刻よりも短いので小半刻と表現するものも散見されます。今回は四半刻以下として小半刻を30分に至らないくらい、15分程度と設定しました。

ていうか、江戸時代くらいまてわは30分よりも細かい時間を気にしていないようなので、四半刻以下の表現がほぼないのです。

昔がおおらかなのか、今が時間に追いまくられているのか。どちらなんでしょうか。


囲碁もオセロも公式ルールでは黒が先手。ご家庭で楽しむ際はそこまで気にしてないと思いますが。

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