373話 五徳姫様の輿入れ 婚礼調度 弐の段
GWのあと、仕事が忙しいわ、体調を崩すわで全く書き進められませんでした。月初と月末にしか投稿できないとは思いませんでしたが。それでは再開です。暖かく見守っていただければ。
ども、坊丸です。
五徳姫様から婚礼調度の遊具の調達を依頼されました。しかも新作を依頼されました。
トランプ改め坊丸歌留多だけでなく新作までつくらなきゃならないとは…。
とりあえず、チーム坊丸を招集ですね。助けて、文荷斎さん、加藤さん、それに福島さん!
いつもの面子に声をかけて数日後。本日は、柴田家の仏間をお借りしてチーム坊丸で相談と相成っております。
ちなみに、日々、柴田の屋敷に顔を見せてくれる加藤さんはすぐに確保完了。親父殿の寄騎になっている文荷斎さんも時々柴田の屋敷に顔を見てているので、これまた、比較的すぐに都合がついたのですが、福島さんは不参加とあいなりました。
福島さん、最近は、親族の木下秀吉殿に墨俣城の改修について相談されてそちらに出ずっぱりなんだとか。
柴田家主導でおこなった墨俣城の改修作戦では現場で頑張ってましたからね、福島さん。その人物が現在の城代様の親戚ならそりゃ、手伝うのにかりだすわなぁ。
このままなし崩し的に家臣団に組み込まれそうだよねぇ~。将来的に津田家の家臣に取り立てたかったけど無理っぽい流れ。
それはさておき。二人に状況説明しないとね。
「はい、今回私こと津田坊丸は、五徳姫様の婚礼調度、そのうちの遊具を担当することになりました!」
集まってくれた二人に向けてパチパチパチと拍手をしてみますが、二人の顔は驚いた顔のまましばし固定。うん、やっぱり、そうなるよね。
その後、呆れ顔に変化した加藤さんと溜息一つついた後にジト目でこっちを見る文荷斎さん。ハッハッハ。そういう表情にもなるよね、ウンウン。
「坊丸様、五徳姫様の婚礼調度の調達というのは、どのようなわけでそんな事態になったので?」
しばしの時間経過の後、おずおずと質問してくる加藤さん。そして、その隣でうんうんと頷く文荷斎さん。
あれ?たしかあの場に文荷斎さんは居たはずなんだけどな?まぁ、いいや。
「ハッハッハ。大したことではないんですよ。以前に、お犬の方様のお輿入れの際、坊丸歌留多の豪華版を作って献上したでしょ。あの時、五徳姫様が自分の輿入れの際にも作って欲しいってな感じのことを言ったそうで、その時に承りました!って答えたようなんですよ、自分。ハッハッハ」
うん、笑って誤魔化すスタイルでいきますよ、今回は。
「あの時ですか…。五徳姫様が坊丸様のお嫁さんになると言いだして、その場にいる一同が固まった時ですな…」
なんか遠い目をして固まっている文荷斎さん。大丈夫。五徳姫様は徳川家の嫡男、竹千代君のところに輿入れが決まっているからね。あの時のことは忘れて大丈夫だから、ね。だからこっちに戻ってきてくださいまし、文荷斎さん。
「そんなことがあったのですね…」
呆れた様に呟く加藤さん。
ハッハッハ。その時は、坊丸くんは悪くないんですよ!ていうか、いつも困った事態が自分の身近に降り掛かってくるだけで、自分からトラブルを起こしてるわけではないし。
そう、坊丸くんはトラブルメーカーでは無いのです。どちらかというと、周囲の無茶振りに答えて、ひいこ言いながら必死にトラブルシューティングしている側の人間なんです。きっと、多分。
「まぁ、そんなわけで、その時のことをよく覚えていた五徳姫様から、婚礼調度のご依頼があったわけです」
その時のご依頼に対して安請け合いしたことをすっかり忘れていたのは、秘密だ。
「はい。そんな感じになっておりますので、投扇興、坊丸歌留多を納入しなくてはなりません。まぁ、2つとも何度か作っているので、こちらは問題ないかと思っています。あ!福島さんが居ないから木工部分ができないか!」
「福島殿は、木下秀吉様の御親戚衆兼土木担当らしきものになっているようですからな。まぁ、墨俣城の改修の時に知り合った木こりや大工たちに声をかけて見まする。この小牧山城の近くに移り住んだ者もおるようですからな、声をかけてみる所存」
「それがしも、鍛冶屋の伝手で木工の得意な者を捜してもらうといたしましょう。投扇興はたしか試作品を取っておいたので、それを見せればどうにかなりましょう。坊丸歌留多は、竹丸様、千代丸様の為に作った質素なものがありますから、これも大丈夫でしょうな。では、さっそくとりかかるといたしましょう」
そう言うと、立ち上がりかける加藤さん。しかし、二人とも優秀だわ〜。段取りもすぐできそうで良かった良かった。
さて、そんな二人に最後の問題を暴露しますか。
「いやぁ、あと一つあるですよ。新作の遊戯を五徳姫様がご所望なのです」
「なんと!」
「新たな遊具ですか…。何かお考えはあるので」
びっくりしたような声をあげたのは、文荷斎さん。それに対して、一度立ち上がりかけた加藤さんはすぐに腰を下ろし、こちらをじっと見て来ました。その視線の感じから、坊丸様ならなにか考えがあるんだろうと期待されるんだろうけれども。
正直、新作なんか作れねぇよ!と叫びたい。が、そんなわけにもいかないわけで。
ここは異世界転生物での新作ゲーム導入の基本のあれ、そう、ハムレットの四大悲劇のうち一つから名を取った「オセ◯」もしくは、ルールが少し違う似た者同士である「リバーシ」さん。君たちを開発したふりをしてお茶を濁すぜ。
うん、それが良いよね。納入期日的にも。さて、どんな遊戯、競技か説明しないといけないけれども、どうやって説明しようかな…。
『オセロ・Othelloは登録商標です。 株式会社メガハウスは「オセロ・Othello」の専用使用権を所有しており、㈱メガハウスの許諾無く勝手に本商標を使用する事は出来ません。 但し、㈱メガハウスは本商標を許諾する事が出来ます』
日本オセロ連盟の「オセロ®」の権利関係についての文章を抜粋の上、一部改変。
もともとは水戸市の長谷川五郎が基礎を開発し、株式会社ツクダと提携して1973年に発売開始。
その後、ツクダオリジナルに権利と製造が移管されながらくツクダオリジナルの商品でしたが、ツクダグループが倒産し、ツクダオリジナルも2002年に倒産。その後、株式会社パルボックスをへて、ツクダオリジナルに関連する権利はバンダイナムコグループの株式会社メガハウス社に譲渡され、現在は株式会社メガハウス社がオセロ®の権利を所持しております。
古い世代にはオセロ®といえばツクダオリジナルのイメージが強いのですが、栄枯盛衰ですね。




