表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

326/482

326話 メイキング・オブ・ドラグーン 中段

前後編にしようと思ったら、滝川一益殿が…

ども、坊丸です。


「滝川様もこのようにおっしゃられておりますし、虎の子の鉄砲や鉄砲撃ち、鉄砲に慣れた馬を使い潰すようなことはしないほうが良いかと…」


「まぁ、なんだ。基本は、坊丸の方針で行く。行くのだが、な。

戦は生き物。そうも言ってられん事もある、という話じゃ。

で、だ。鉄砲を撃った後の攻撃は、刀を抜いて斬りつけることになるだろうからな。撃った後の鉄砲を鞍に上手くくくりつけることができんかな。なぁ、坊丸」


「ふむ、鉄砲を鞍にくくりつけるのですか。面白いですな、柴田殿。それができれば、馬を操る時両手を空けられるので、そちらに集中できますな」


「だろ?一益。いい考えだろ?と、言うわけで、坊丸。よろしくな」


あぁ、もう!また、仕事が降って湧いた!


「分かりました。鞍に銃架を組み合わせてみますね」


「そこに火縄銃を置けば、抜刀して戦えるな!本当は槍の方が良いんだが、まぁ、しかたあるまいて」


本当に、戦いの事を考えてるときの親父殿は楽しそうですね。



「銃の先に槍の穂先を必要な時に後付することもできるとは思いますよ。そうすれば、銃自体を短槍の様にできますし。

それに鞍にあわせて乗せるなら、普通の火縄銃よりも銃身を短くしないと危ないでしょうし。いっそ、専用の短銃身の火縄銃と付属の槍の穂先、それを銃剣に装着するための部品のようなものを作ります。作らせていただきますよ」


最後、ちょっと、やけな感じになっちゃった。良くないね、うん、良くない。


で、短銃身の火縄銃と銃剣ね。

銃剣のアイデアは前から知ってたし、いつかは作ろうと思っとったけど。

銃剣作る時は、鉄砲隊の護身用のイメージだったんですがね。

まさか、鉄砲騎馬隊における射撃後の武装として開発することになるとは思っとりませんでしたよ。


「坊丸殿考案の織田筒ならば、短い銃身でも命中しやすいでしょうしな。

それに、槍の穂先を火縄銃に組み合わせる事ができるという話ですし、撃ち終わった火縄銃が短槍として使えるのも良いですな。

ふむ。すると、鉄砲隊が雨でも、弾を打ち尽くしても、戦力として使えることになるのか…。

これは、凄い事かも知れんな…」


いや、銃剣は本来はあくまで射撃間隔の長くなりがちな前装式の銃を使ってる時、装填中に接敵を許してしまった場合の迎撃用のつもりなんですが。


なんで、柴田の親父殿も滝川殿もこんなに前のめりに銃剣付きの火縄銃で人を突き殺そうとするかしら?

時代か?時代が悪いのか?この戦国時代の風潮がこうなのか?


「分かりました。加藤さんたちと一緒に火縄銃の改良をしていきます。でも、まずは鉄砲騎馬隊用の方を優先しますからね。一般の織田筒の方の銃槍というか銃剣の装着するための改良はその後ですからね」


とりあえず断りを入れとかないと大変な事になりそうだし。

物事の順番付けって大切だよね。特に仕事はね。


「そういえば、小姓衆や母衣衆達を鉄砲騎馬隊にする案は坊丸殿発案だとか。

おかげで、それがしの仕事が増えましたぞ。ハハハ」


なんか、すんません。

母衣衆とかに言うこと聞かせることができそうな鉄砲が上手な人って、滝川一益殿しか思いつかなかったんだもの。


「滝川様は家中随一の鉄砲の上手でござりますから。小姓衆や母衣衆の気性や得手不得手の事もよくご存知と思いますれば。

幼子の自分では、母衣衆の方々に鉄砲の事や戦法、運用の事などお教えすることは、恐れ多いことにございますから」


滝川一益殿がこちらをジト目で見た後、ため息をつきました。

ん?なにか間違ったかな?


「まぁ、そういうことにしておきましょう。

ところで、この騎馬と鉄砲をあわせた戦い方をした者に、坊丸殿は随分とご執心とか。その為に薬の知識も勉強したと聞いておりますが?」


なんか、探るような感じの滝川一益殿の言い方に少し嫌な感じを受けますが、まぁ、滝川殿の言葉は大筋で間違ってはないからぁ。 


たぶん、桃花さん経由で手に入れた情報の確認とか、桃花さん経由で伊賀衆に依頼を出したことことに対する嫌味とか、そんなところかな?


「はい!我が配下の加藤清忠は、鍛冶師にして鉄砲の腕も悪くなく

、何よりも()()伯父上から仕官の話を断ってまで、自分の側に居てくれる者ですから!その様な忠義者を得るのは武家の誉れです!」


どうだ!うちの加藤さん、凄いんだよ!と誇ってみた。


「それはそれは。で、薬や医学の知識は何処で手に入れたのですかな?」


あ、そっち。そっちかぁ~。

うん、虎哉禅師の名前で誤魔化しきろっと。


「はい!政秀寺の虎哉禅師に師事しておりますれば、そちらで。

かつて虎哉禅師が学んだ甲斐では何やら、甲斐を治める武田晴信様も温泉や薬の知識がお有りとか。なので、仕込まれております。

虎哉禅師は、政秀寺に薬草園を作っておりますので、そこの手入れを手伝いしながら学んでおります!」


「おお、政秀寺の薬草園な、儂も見たことがある。あそこの手入れをしながら覚えたものか、あの知識は。

虎哉禅師は博識にして軍事にも明るい。ちと、へそ曲がりな対応や物言いをするところを除けば、誠に良い師父よな」


ナイス!親父殿。これで誤魔化せる!


「そうなんですよ、少し癖がありますよね、虎哉禅師って」


「ハッハッハ、坊丸ほどではないと思うがな」


そう言って誤魔化すと、少し考え込むような様子の滝川一益殿。

虎哉禅師を警戒対象、監視対象にするか考えているのかな?


てっ、おい、親父殿。

こんな有能で良い子の坊丸君を捕まえて、虎哉禅師よりもクセがあるって、ソイツは聞き捨てならねぇぞ、っと。

少しでも「面白い!」「続きが気になる」と思った方は、下の★でご評価いただけると、作品継続のモチベーションになります。

宜しくお願いします。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ