312話 天使級との対話
数日あきましたが、ぼちぼち書いていきます。作品へのモチベーションはまだありますからご安心ください。
ども、坊丸です。
天使級10598号さんにコンタクトを取ろうと祈りを捧げましたが、なかなか反応してくれず大変でしたよ。
何事も諦めない心って大切ですね。
はい、そんなわけで、天使級10598号さんと白い謎空間で面談中です。
『さて、人の子よ。此度は何を乞い願うか?』
『ペニシリンの作り方…いや、待ってください。』
呼吸器の感染症にとりあえず抗生物質という考え方にどうしても引っ張られてしまう自分。
抗生物質の適正使用ガイドライン的にも。あ、この時代関係ないですね。まず、抗生物質が存在してないんだから。
でも、実際作ろうとすると大変ですよね。
脳外科医が幕末タイムスリップしてペニシリン作りましたっていう某漫画でも、青カビの培養して、工夫して抽出して、更に薬効確認の試験して…と面倒くさそうな経過を経てやっとペニシリンが単離できていた気がする。
実験の際に使うガラスのシャーレとかの器具も作れないし…。和ガラスって何時くらいからできたんだろう?
しかも、今から抗生物質をゆっくり作ってる暇ないし。
じゃ、現物もらうか?
って一回コッキリの現物支給は、次回の天使級10598号さんからのギフトが五年後であることを考えるとなぁ…。
やっぱりここは漢方薬の知識をゲットする方向で行くべきだな。
虎哉禅師の薬草園の生薬にうまく必要なものがあれば、比較的速やかに作れるはずだし。
『こちらに来る前、研修医だった時に株式会社ツム◯が配布してくれた漢方薬の書籍の知識を得ることはできますか?』
『◯ムラの書籍とな?確認が必要だ。しばし待て』
天使級10598号はすぐに取り出せない知識を確認する時は、何か知らんけど回るんだよね。
ウインドウズが動き悪い時もリングみたいなやつがクルクル回ってたなぁ…。
それと似たようなものなのかなぁ…等と考えながらぼんやり見ていると、天使級10598号は急停止。
『確認した。複数の書籍がある為に、確認が必要である。全ての書籍をそなたの脳にダウンロードすることは可能だが、重複情報が多数あるため、必要なもの一、二冊にすることを推奨する。
また、そたならの表現で言うところの江戸後代、明治時代の処方の知識がいくつか含まれているが、時代に大きな影響を与える危険な技術の配布には該当しないと判断した為、これらの知識も含め供与することは可能だ。
いくつかの候補を提示する。吾に触れることを特別にさし許す。触れよ』
今まで触っていいとか言われたこと無いから、大丈夫かなぁ。
まぁ、必要なんで触りますけど。
あ、なんかひんやりして硬い質感。見た目通りで白磁とガラスの間くらいの触り心地。
そして、同時に流れ込んでくる情報。脳に強制的に情報が流れ込んできて、少し頭痛。そして、なんか吐き気してくる。
って、情報がきたきた。
ツ◯ラ医療用漢方薬製剤ポケット版、
◯ムラ医療用漢方製剤 製品ラインナップ 冊子版、
漢方製剤活用の手引、
洋漢統合処方から見た漢方製剤保険診療マニュアル、
研修医のための漢方ハンドブック、
ツム◯生薬一覧…、etc.
『確認できたか?できたなら、疾く離れよ』
はいはい。離れますよ。
『では、いずれにするか?』
『ちなみに何冊まで大丈夫です?それに前回は予想よりも長く意識を失ってたんですけど』
『前回の意識消失時間に関しては、身体と脳の状態が小児であることを失念していた。
前回の予想時間は成人にかの書籍のデータ量を脳にダウンロードした場合のものだ。
基本的に預言や知識の供与は成人した人の子に行うものであるからな。
身体や脳の未発達な小児の場合を考慮していなかった。
今回は更に五年が経過し、身体や脳に余裕も出ていよう。
機能停止となる時間は成人の場合の予想時間の1.2から1.5倍程度の範囲に納まるものと予想する。
ちなみに今候補に上げた書籍であれば、大人なら最大でも5-6分といったところである』
大人で5-6分か…。最大の情報量の書籍でも7-9分のはず。
なら、2冊行けるか?
一冊目は、ツ◯ラ 医療用漢方製剤 製品ラインナップ 冊子版にして…。
二冊目は生薬がどこで取れるか、日本国内で調達できるかを知りたいから…。
あ、生薬一覧だとどんなものから作るのかと効能効果は書いてあるけど、産地の情報はないのか…。
たしか、Essential生薬一覧みたいのがあったはずなんだけどな…。他社だったのか?
『一番、情報が使いやすそうな◯ムラ 医療用漢方製剤 製品ラインナップ 冊子版をお願いします。あと、生薬の細かい産地とが乗っていたEssential生薬一覧ってのがあったはずなんですけど…。他社かもしれません。検索できます?』
『できる。吾を舐めるなよ、人の子』
今度は二、三回クルクル回ったらすぐに止まりました。
また、触れっていうのかなって思って手を出すわけですが、止められました。
『此度は触らなくて良い。◯洋学術出版社Essential 生薬ファインダーがそなたの指定する条件に一致した。一冊のみであるゆえ、触らずとも情報を提示できる』
あ、触って無くても何か情報が流れ込んできた。
うん、この書籍は見たことある。確かこれだ。そして、また、頭痛がするなぁ。
とりあえず、天使級10598号さんてファジーな情報提供でも検索可能なのね。実は、グーグル先生並の検索機能持ってたんだね。少し見直したわ。
『この書籍です。先程の製品ラインナップと一緒にデータをいただけますか?』
『可能だ。機能停止時間は人の子の時間感覚、かつ成人の場合ならあわせて10分程度。身体、脳の発育を考慮して最大15分程度と見積もる。これで良いか?』
『お願いします』
『では、そなたの脳に必要なデータを書き込む。書き込み開始とともに今回の顕現は終了となる。良いな』
『わかりました。宜しくお願いします』
『今回は前回と異なり、データ書き込みの手順も習熟している。では、さらばだ』
おい、最後、なんつった。
前回は手順よくわかんないままぶっつけ本番みたいにやったのかかよ!
って、目の前が暗くなりながら、グワって歪むこの感じがぁぁぁぉ!
浮遊感と頭痛と胸焼けが一度にやってくるぅぅぅ!に、二回目だけどツ、ツラいぃぃ!キ、キツいぃぃ!
今回文中に出た書籍はほぼ実在のものがあるか、株式会社ツムラのホームページに同様の内容があります。
東洋学術研究社さんは中医学関連の書籍を出版する実在の出版社です。
脳外科医が幕末に転生しちゃう漫画は、実写ドラマになったアレです。
天使級10598号さんは預言の書き込みは、前回初めて行ったのでかなり手間取ったご様子。ヤレヤレだぜ。
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