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298話 永禄六年 坊丸の秋冬

ども、坊丸です。

今年もあと少しで終了です。今年もいろんなことが有りました。


先込めの火縄銃でライフリングを切り、弾丸も工夫してライフル火縄銃を作り上げました。

後装式にするには、雷管を開発してパーカッションロックを現実のものにするか、火縄銃のままで冶金技術を上げて中折式で固定する精度を上げるまで頑張るか…。こっから先はおいおいですね。まずは、小牧山城内でのライフル火縄銃の量産体制の確立が先ですからね。


このライフル火縄銃と加藤清忠殿の乗馬技術が上がったことで、鉄砲騎馬隊の可能性が出てきました。加藤さんみたいに足が悪い人でも鉄砲の腕が良ければまだまだ前線で活躍できる可能性が広がったわけです。

実際、加藤さんは新加納の戦いでは当初は鉄砲隊の補助役として参戦したはずが、戦国初の鉄砲騎馬隊(ドラグーン)として活躍したらしいですし。凄いよね。


そして、今までは足にけがすると行軍できないので下っ端の兵は引退するか留守居役的なお仕事しかできなかかったわけですが、鉄砲と乗馬の技能のいずれかが高い人はまだまだ前線でこき使…、活躍できる可能が出たんですからね。


ただ、火縄銃の射撃音と煙に驚かない馬を育てるっていう難題があるんですよねぇ。そこら辺は、信長伯父さんが鉄砲騎馬隊というロマンあふれる兵科に価値を見出すかどうかですが。


あ、そういえば新加納の戦いは負け戦だったようです。

なんか、いろいろ策を弄したようですが、織田軍の動きを敵の総大将長井道利に読まれた感じであったと柴田の親父殿が言ってました。

まぁ、負け戦でも柴田家の主要な面々は死傷者を出すことなく、皆さん帰ってきてくれました。

しかし、激戦だったのは間違いないようで親父殿と一緒に戦った森可成殿は左手の指一本を失ってしまったそうです。

なので、最近の森可成殿のあだ名は『十九』だそうです。両手足の指二十本から一本欠けて十九本だから『十九』とよばれているらしいです。まぁ、年齢なわけないもんね。

ちなみにすこし侮蔑の要素も入っているから、本人の前で絶対いうなよ!となんども念を押しながら、でもすこし楽しそうに柴田の親父殿が教えてくれました。最初、振りなのか本当に悩みましたが、本当に言っちゃダメなやつらしいです。


夏になり、小牧山城が完成しました。みんなで移動するもんだと思っていましたが、なんとお千ちゃんが魚屋の三郎さんと結婚し、寿退社することになりました。


まぁ、もともといい感じでしたから、いつかは結婚するだろうなとは思っていましたが。まさか、結婚を機に寿退社とは!昭和か、昭和のOLか!戦国時代には寿退社って概念自体なさそうですが。

そんなわけで、長らく自分を支えてくれた女性スタッフが幸せをつかんだわけで。そして自分の側からいなくなったわけで。その結果、おめでとうっていう気持ちよりも少しだけ寂しさが勝ってしまったのです。


そんな気持ちを押し殺して、小牧山城改め、火車輪城のお披露目に奇妙丸様の小姓として参加したわけです。

理由を聞いても火車輪城ってかなり厨二病入っている命名だとは思いました。飛車山から火車輪城ってどんだけ飛躍してるんだよって思っても信長伯父さんには直接つっこめない、チキンな自分を実感したりしました。


チキンといえば、先日、朝告鳥(にわとり)を正式に潰して食べてよいという許可をいただきました。くっくっく。今度は養鶏だぜ!


吉乃殿の鉄欠乏性貧血を治すために、野鳥のレバーを使った料理を開発したんですがね。野鳥のレバーの供給は結局、狩猟に依存するわけで。安定的に手に入れるのに、鶏のそれを手に入れたほうがいいんじゃないですか?と提案したわけです。ついでに、今回の褒美にじぶんにも同じ権利がほしいですとも。


仏教の影響が強いので、食肉の文化が平成令和と本当に違いますからね。(けがれ)を避けるのと益になる家畜は食べちゃ駄目って文化が入り混じって狩りでとった野鳥や野ウサギ、イノシシくらいしか食べられないんだよねぇ。

それを無視していいっていう許可を尾張の国主たる織田信長こと信長伯父さんからいただきました。


その許可をいただけたということは、つまり、吉乃殿の体調がよくなってきたということなわけです。

いや~。鉄欠乏性貧血からのプランマー・ビンソン症候群だから、口内炎や嚥下障害に気を使った

食べやすい形態で鉄分の多い食材を使った料理を継続的に食べてもらえれば、きっと治るとは思っていましたが、本当に良かったです。


あ、そうそう、お千ちゃんが辞めたので、小牧山城に移ってから柴田の屋敷は慢性的に人手不足だったんですが、くノ一腰元ツインズのうち桃花さんが出仕してくれました。


ただねぇ。自分や柴田の屋敷の中の情報が、お桂殿、滝川一益殿を経由して信長伯父さんにダダ漏れなんですよね。まぁ、叛意はありませんから、漏れても基本は問題ないんですがね。


一応、三河松平の忍、服部党が何故か自分や柴田の屋敷を探っているから、それに対する防諜目的という事らしいです。ライフル火縄銃の情報とか漏れたら大変ですからね。でも、自分の知らないところで影からそっと防諜してくれる方がいいんですけどね。

足りない女中さんを補うという名目で桃花さんが送り込まれたし。


さてさて、小牧山城に移って初めての年末年始です。

今年は天ぷら蕎麦ではなく、鶏蕎麦と唐揚げで年越ししますかね。


「ちわ~、三河屋の三郎です!年末年始用にクロダイとタコを持ってきましたよ!」


「お、いいタコだね。お千は元気かい!タコとクロダイはそこに置いといれくれるかい。お~い、坊丸様ぁ!お妙!三郎が来たよ!桃花もいたら台所に来ておくれぇ!」


どれ、呼ばれたから、台所に行ってみますか。お千ちゃんの様子も聞きたいしね。それと年越し用に鶏唐揚げもお滝さんに頼まないといけないからね。


「はぁい、お滝さん、今行きまぁ~す」

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