207話 墨俣城改修作戦! 幕間(弐ノ前段) 〜閑話休題 或いは坊丸の巻き込まれ型の日常〜
ども、坊丸です。
着々と墨俣城の改修に向けて必要な交渉事が進んでいるのを実感している坊丸です。
川並衆の協力は、吉田次兵衛さんが秀吉殿経由で取り付けたし。
材木を切り出す山々は、なんとなく目星がついたし。
後は、材木の確保のために尾張三山の神主さんたち宛と可児川の水運の利用の事で、土田家の当主、土田甚助さんの協力を取り付ける為に、信長伯父さんの書状が必要そうなんですよね。
信長伯父さんに書状を頼むのは、さすがに柴田の親父殿の仕事。
先日、お願いに行ったみたいですから、後は信長伯父さんや右筆の人の仕事待ちって感じでしょうか。
ちなみに次兵衛さんと文荷斎さんは、加藤さんと福島さんを連れて、現在のところ、墨俣城に行ってます。
丹羽長秀殿の改修の方針や希望の聞き取りと現場確認ですね。
木工関連と鍛冶関連の技術者二人を連れて行ってもらったから、改修の希望と実際の現場を照らし合わせて、材木の本数や加工、釘などの金物の準備や必要性をその場で検討してもらう予定。
そして、今日は自分の勉学や監督する人がいないので、朝の鍛錬が終わったら、ダラダラするつもりです。
弟達と戯れてもいいかなぁ。理助達と久々に一緒に遊ぶのもいいかな、石合戦以外なら。
なんて、思ってたんですよ、柴田の親父殿との鍛錬直後は。
「坊丸。本日は、清須に殿が書いてくれた書状を取りに行くぞ。殿からお主も顔を出せとのことだ。伴せい」
「え?書状の受け取りでございますか。わかりました。ご一緒します」
書状の受け取りなら、自分、いらないじゃん?というのを顔に出しちゃったため、親父殿に軽く睨まれました。
だから、睨まれたあとは素直に「わかりました」と言うくらいの世間知はつきもしたよ、坊丸君も。
なので、朝食後は、親父殿と轡を並べて清須城に登城です。
轡を並べるって表現を実践しているよ!自分!
「捲土重来。またソロモンのように轡を並べよう!」って言ってた人が居たんですよ、宇宙世紀に。
それを聞いてから、憧れてたのよ。轡を並べるって奴に。
ま、宇宙世紀の人の場合は、一緒の戦場に立とうって意味なんでしょうが。
「何をニヤニヤしておる、坊丸?」
「乗馬の練習を始めた時から、親父殿と轡を並べて遠乗りするのが夢でしたから。夢が叶ったなって」
「そういうものか。なら次は、戦場にて轡を並べるのが、目標だな。儂も、その日を楽しみにするとしよう」
そんな感じの雑談をしながら、清須城に到着です。
で、話が通っていたらしく、すぐさま信長伯父さんとの謁見に大広間に通されました。
「勝家、坊丸。大義。勝家より申し出のあった書状は、出来上がっておる。佐脇、勝家に渡すが良い」
そう言うと、三方に載せられた書状二通が、親父殿の前に来ました。
「憚りながら、改めさせていただきます」
一応、内容確認するんですね、親父殿。
「時に坊丸。先日勝家の話ではこたびの仕儀、お主の発案とか。勝家の話では何故、土田と尾張三山の神主宛に書状必要か、説明せい」
ええっ!柴田の親父殿、信長伯父さんに全部説明してくれたんじゃないの!
仕方ないから、説明しましたよ。川並衆を使って材木を上流から流してから墨俣城に一気に運び入れる流れを。
信長伯父さんは聡いお方だから川並衆、上流ってキーワードだけで途中から気がついた様子でしたけど。
あれ?川並衆関連のところを伝えてないってことは、もしかして、秀吉殿に繋ぎを頼んだことを信長伯父さんに伝えたくなかったのかな?親父殿は。まぁ、良いけどさ。
そこはそれ、信長伯父さんにキチンと報告しますよ、坊丸は。
川並衆への協力要請は、木下秀吉殿に仲介を頼んだことを。
信長伯父さんが、柴田の親父殿の方を少し冷たい目で見ましたが、親父殿は、書状を改める振りをして、やり過ごしやがりましたがね。
「殿からの書状、しかといただきました。お手間を取らせ申し訳ございません」
「良い。墨俣のことは勝家に儂が命じたのじゃ。命を果たすのに必要なら、書状くらいの骨折りはする。が、儂の名も出すのだ、墨俣城の改修、しかと果たせよ。勝家、坊丸」
「「ははっ」」
と、柴田の親父殿と息を合わせて平伏します。
さて、用事は済んだし、帰りますか。
「権六。今日は坊丸も騎馬にて登城したと聞いておる。奇妙達が坊丸に会いたいと言っていたので、坊丸を借りるぞ、良いな?」
帰ろうとした矢先に、これかよ…。
良いなとか言ってるけど、実質的には強制で命令でしょ?
柴田の親父殿が拒否るわけ無いし。
「坊丸、騎馬にて一人で帰宅できるな?」
「できまする」
「坊丸も一人で帰れると申しておりますので、お預け致しまする」
「で、あるか。ならば、坊丸、佐脇に案内させる故、奥にゆくが良い。儂は権六と先程の書状の事で少し話す」
そんな感じで、奥御殿にご案内です。ま、信長伯父さんとやり合うのに比べたら、奇妙丸様達と少し遊ぶか話すだけだろうから、全然オッケーですよ。
またまた、幕間ですみません。
お気づきの方も多いとは思いますが、こういう回を使って伏線を張っているわけです。
何が伏線かは申しませんし、直近の伏線もあれば、遥か先のお話の伏線もあるわけなんですがね。
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