183話 永禄四年 新年の儀 弐の段
ども、坊丸です。
現在、清須城で永禄四年の新年の儀の真っ最中です。
信長伯父さんは、三河方面、美濃方面の両面作戦を家臣の皆さんに告知しちまいました。
三河方面に攻め込んだら、松平元康こと後の徳川家康が、反織田になって今川家に助けを求めて面倒くさいことになると思うんだけどなぁ。
先日、将棋盤の前で進言した通り、今川が負けが込んで来て領地が減ったら、今川氏真のことだから、武田と北条に躊躇なく泣きついて援軍要請するだろうし。
そうなると、泥沼になると思うんだけどなぁ。
「我ら家臣一同、殿のご指示の下、いずれの国において如何なる戦にても奮戦する所存でございます」
森可成が信長伯父さんの言葉に答えて言いました。
うん、模範回答。そして、戦場における戦術及び局所戦闘は頑張るけど、戦略は殿に任せてますからね!っていう意味のお答えですよね。
「で、あるか。春までに三河、美濃に攻め込むつもりである。各自、戦の準備は怠らぬようにいたせ」
「「「「ははっ」」」」
信長伯父さんの戦の準備をしておくようにという命令に対して家臣一同、平伏して応えました。
そして、今年も新年の挨拶を信長伯父さん、奇妙丸様が受けるのを奇妙丸様の斜め後ろに控えながら見ていきます。
挨拶は例年の如く重臣から開始です。
佐久間盛重殿が亡くなったので、重臣筆頭として一番最初に挨拶をするのは、森可成殿。
ついで、鳴海城城主となった佐久間信盛殿。
三番目に我が預かり親たる柴田の親父殿。
その後に佐久間盛次殿、林秀貞殿。
続いては、部将格。
筆頭はやっぱり、丹羽長秀殿。
ていうか、佐久間盛重殿が戦死して、重臣が一人減ったんだから、そろそろ重臣扱いに格上げされても良いと思うんだけどなぁ。
丹羽殿は、桶狭間の戦いでは活躍しなかったけど、浮野の戦いで活躍したし、岩倉城の織田信賢を下した後は、尾張上四郡の統治に尽力したんでしょう?
尾張上四郡の統治が上手くいったからこそ、桶狭間でも尾張上四郡の土豪・小名たちが参戦してくれたわけだし。隠れた功労者だと思うんですがねぇ。
そういえば、信長伯父さんって、本能寺の変の数年前から各方面を担当する大軍団を作ったのが有名だけど、現状でも各方面担当をしっかり決めている感じだよね。
尾張の東側から三河方面担当は今は亡き佐久間盛重殿と現二番家老の佐久間信盛殿の佐久間家コンビだった感じだし。
尾張の北側、美濃方面担当は、森可成殿と丹羽殿がメインの担当の様子だし。
尾張の西側、伊勢方面担当は現状決まってない印象だけど、「信長公記」の知識を鑑みると、滝川一益殿を抜擢するはずだし。
林秀貞殿と佐久間盛次殿は内政担当かな?
あれ?三番家老なのに、柴田の親父殿って特に担当持ってなくない?
干されているのか?いやいや、軍事の才能なら、佐久間盛重殿、森可成殿以上だし、忠誠心は見せてるから、稲生の戦い、信行パパ謀反の頃よりは重用されているはず。
きっと、軍事面でのスーパーサブ、ユーティリティープレイヤー的な立ち位置のはず。
きっと、多分。自分の希望的観測も含んでいるけど。
って、そんなことを考えていたら、他の部将格の方々が挨拶しています。
丹羽殿の次は、桶狭間の戦いでその情報収集能力と信長伯父さんの意図をくみ取ってしっかり動くことができた梁田正綱殿。なんてったって、いまや沓掛城の城主だもんね。
信長伯父さんは、仕事ができる人はきちんと評価して抜擢するのが偉いよね。
信賞必罰ってやつ。きちんと功績を上げれば、古くからの有力家臣じゃなくても一足飛びに城主だからね。
その後は、坂井政尚殿。蜂屋頼隆殿。木下秀吉殿。
梁田正綱殿が一気に席次を上げた以外は去年と大体同じ席次かな。
佐々政次殿や千秋季忠殿もここらへんだったけど、討ち死にしたからなぁ。すこしこのあたりの人材が薄くなった気がするけど…。
続いて母衣衆。黒母衣衆筆頭は川尻秀隆殿。伝え聞くところによると信行パパが清須城で謀殺された時、信行パパを斬った人らしい。人伝えに聞いた話だから、本当かどうかは知らないけど。
赤母衣衆筆頭は、鉄砲指南役を兼ねる滝川一益殿。最近、急速にその地位を上げている感じ。あ、あと、奇妙丸様の乳母役のお桂殿の縁者らしい。「信長公記」の知識だと、滝川一益殿は、最終的には関東方面を任される重臣になるんだもんね。これくらい当然かも。
母衣衆には、池田恒興殿、佐々成政殿、金森長近殿、中川重政殿、津田盛月殿、塙直政殿などなど。
佐々成政殿は馬廻り衆からの抜擢。佐々の家の三男坊だったんだけど、長男で柴田の親父殿の義弟の佐々政次殿が桶狭間の戦いで討ち死にしちゃったからね。次男の孫助殿は稲生の戦いで戦死しているし。たぶん、上の兄弟二人の忠義の討ち死も考慮しての母衣衆抜擢なのかな?
転生した当初は、織田家の家臣でも超有名な人しか知らなかったけど、「信長公記」の知識と清須城に時々出入りしているおかげで、すこしマイナーな人の名前も覚えたよ!
ま、津田盛月殿は同じ津田って苗字だから、昨年の新年の儀で気になっただけだけど。
自分と同じ織田弾正家の縁者でもとは織田の苗字だったけど、信長伯父さんから津田の苗字を名乗る様言われたんだって。そして、中川重政殿はそのお兄さんで同じく、中川を名乗る様に言われたらしい。
ま、ここら辺は中村文荷斎さんの受け売りだけどね。
つまりは、自分と同じ感じで織田から津田・中川になったっぽい。ま、こっちは信行パパの謀反のせいだけどね、
その後は、馬廻り衆の人、右筆、同朋衆の人なんかがご挨拶。
奉行クラスの村井貞勝殿や島田秀満殿は知ってるけど後は、さすがに…。知らない人ばっかし。
そろそろ、挨拶を受けるのを見ているのも飽きてきたなぁ…。
今回は、後でからんでくる織田家家臣の人をすこし顔出し。
地位が少し違う場合もありますが、それは「天使が演算中の別の時間線」ってことで。
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