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176話 奇妙、茶筅と五徳 

ども、坊丸です。

信長伯父さんに美濃の斎藤義龍が来年死ぬよって伝えました。

あまり信用していただけない様子でしたが、「信長公記」に記載されてる歴史的事実だしねぇ。


色々やってきたけど、さすがに斎藤義龍の寿命に影響を与えるようなことはまだしていないはずだから、「信長公記」の記載内容から大幅に逸脱しないはず、だけど…。


それはさておき、奇妙丸様の弟、妹に会うことになったよ。


信長伯父さんとなかなかプレッシャーのかかる問答の後だから、小さい子をみて心を癒したい。

あ、まだ自分も小児ですがね。


お桂殿の後について帰蝶様のところに行こうとしたら、奇妙丸様が自分の手を取って、お手てつないだ状態に。

ニカァ〜っとした感じで、奇妙丸様からすごくいい笑顔を向けられると、こちらもいい笑顔になってしまいます。


あ、いやいや。

このまま、帰蝶様のところに行って大丈夫でしょうか?

世継ぎの奇妙丸様と手をつなぎながら主君の奥方様に行くのは、ちょっと…。

不安になったので、お桂殿の方を見ましたが、小さく頷くとスタスタと帰蝶様のお部屋の方にあるきだしてしまいました。


森虎丸君には、何故手をつなぐ?って感じで見られるし。佐久間牛助君には不思議そうな顔されるし。

こんな時は、小さいことは気にしない理助の平常運転ぷりがありがたいです。


「坊兄ぃ。坊兄ぃは、近頃清須のお城には来ないけど、どうしたの?」


あぁ、確かに一昨年、昨年はなんだかんだと清須城の奥向きに顔を出してましたね。


作った料理を食わせろと無理を言う偉い人の無茶振りに応えて饗応したり、鉄砲関連で相談に来たら投扇興を開発する羽目になったりとか。


おっかしいなぁ。現代知識で戦国時代をチートするはずだったのに、織田信長の無茶振りに応えることにしかチート知識を使ってない気がする…。


あ、そうだ。奇妙丸様に答えないとね。


「そうですね。伯父上に以前に言われた火縄銃の改良をしたりしておりました。

今川義元を伯父上が討ち果たした際のことですが、焙烙玉を戦場に持っていくよう手配したことを伯父上からお褒めいただいたらしく、柴田の親父殿の加増分からそれがしにも俸祿を分けていただけましたので、それで蕎麦なんぞを作っておりました」


「ほうろく?」


「あぁ、申し訳ございません。同じ音ですから、奇妙丸様には分かりづらかったですね。最初のホウロクは、焙烙玉といって武器にございます。後のホウロクは、扶持米のことにございます」


「ふぅん。坊兄ぃは、色々知ってるんだね」


「奇妙丸様より少しばかり長く生きておりますから。奇妙丸様も今の坊丸と同じ年になれば、今の坊丸よりもっと色々と知っておられますよ」


後ろで、虎丸君と牛助君が少し驚いたような感じがありましたよ。


はっはっは。君達よりも立場や身分的には弱いかもしれないけど、坊丸君は既に、信長伯父さんから俸禄をもらう直臣の身分なのだよ。恐れ入ったか。


五人扶持の小身な上に、お金やお米の管理は、柴田の婆上とお妙さんに握られてるけどな。


うん、そして、理助は今の発言を気にならなかったご様子。さすが、理助は理助です。


お桂殿の後を、奇妙丸様と手を繋ぎながら、廊下を歩いていくと、お桂殿が立ち止まり、こちらを振り返りました。


「こちらの襖の奥が帰蝶様のお部屋になります。奇妙丸様は問題ありませんが、皆様は、大人しくお願いします。茶筅丸様、五徳姫様もおりますので、くれぐれも失礼の無いように。良いですね」


お桂殿に念を押されたので、後ろの三人には、プレッシャーがかかった様子。自分は何度もお会いしてますからね、帰蝶様。


それどころか、吉乃殿や、お犬の方様、お市の方様にもお会いしてますが。

あれ、そう言えば、前に奥向きに来たときには、お桂殿に会ってないな。奇妙丸様の乳母なら会っていてもいいはずなんだけど。

何故だ?

そう思っていると、廊下に座るよう指示されました。



「帰蝶様、お桂にございます。奇妙丸様と奇妙丸様の小姓役の四名をお連れしました」

と、お桂殿が声をかけた後、襖を開け、帰蝶様の私室に入室。


奇妙丸様の後、虎丸君達に先を譲ろうとしたら、虎丸君から顎をしゃくって先に行けと言う感じの合図が。

ん?いつもと順番変えるのかな?まぁ、良いけど。


奇妙丸様の後から部屋に入り、奇妙丸様の斜め後ろに着座。

それを見て、虎丸君達が自分の隣に順次ならんで座りました。


「母上、奇妙にございます。急なお目通りのお願いにも関わらず、ありがとうございます。本日は、それがしの小姓役の四名を紹介いたしたくまかり越しました。あわせて、彼らに茶筅と、五徳に会わせたく存じます」


おお、奇妙丸様、難しい口上も使いこなしている!自分だったら、どっかで不敬な一言差し挟みそうだよ。


ちなみに、茶筅と五徳って言うののどちらかが、妹さんの名前のようですが、どうなんでしょうか。


ちなみに茶筅って、お茶を立てるときの道具、だよね。

そして、五徳って、囲炉裏とか火鉢にある鍋と焼き網を乗せるあれ、だよね。


どっちにしても、女の子の名前としては微妙な感じがしますが。強いて言うなら、五徳かな。

茶筅姫と五徳姫なら、やっぱり五徳姫の方が良いもんね。


しかし、さすが、織田信長。

子供の幼名が、奇妙に茶筅に五徳ですか…。なかなか理解し難いセンスですが、気にしたら負け、なんでしょうね。

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宜しくお願いします。

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