173話 父と子の時間
体調不良とプロットが固まらないことの二つの要因で、時間が開いてしまいました。
ここからは、週2~3回の更新を目標にしていきます。
よろしくお付き合いいただきたくお願いします。
ども、坊丸です。
奇妙丸様と理助達と将棋崩しを楽しんだあと、後片付けをしようとしたら、信長伯父さんの足音が聞こえてきましたよ。
そして、襖が勢いよく開くとそこには、仁王立ちの信長伯父さんがそこにいました。
「ふむ、奇妙丸達が将棋をしていると聞いたが、もう、終いか」
さすがは織田信長、突然の父上様もしくはご主君様のご登場ですよ。
子供達、ビクッてなってますよ。
「これはこれは、信長様。いましがた、終わったところでございます。でも、将棋ではなく、将棋崩しでございます」
お桂さんが上手く答えてくれている間に、子供達も思考停止から回復です。
「父上、わざわざのお越し、ありがとうございます」
奇妙丸様が、そう答えるのに合わせて、子供たち、一斉に平伏。
そして、片づけ途中の将棋盤の前にドカッと腰を下ろす信長伯父さん。
「誰ぞ、将棋の打てる者はおるか?」
って、子供相手に将棋打つつもりなんですか?信長伯父さん!
短時間の懇親だから将棋崩しになったのに、ここで一局打ち始めたら帰宅時間とか、待ってる親たちとかいろいろ問題が出る様な気がしますが…。
そして、顔を見合わせる子供たち。そりゃそうなるよね。うん。
ん?なんか、信長伯父さんがこっち見てる気がしますが、きっと気のせいですよね。ハハハ。
「殿。小姓役に選ばれた子らを家に帰さねばなりませんので、今から一勝負というのは、厳しいかと。子供らを帰した後に、奇妙丸様と親子で将棋を楽しまれるのが良いかと」
お桂さん、すげぇ。
なかなかに冷たい声で信長伯父さんに反論しましたよ。
いや、有り難いんだけどさ。
「で、あるか。奇妙と後で、か。まぁ、それもよかろう」
「父上、ぜひお願いします」
奇妙丸様が、ちょっと食い気味にお願いしてますよ。やっぱり、信長伯父さん、忙しくて、子供との時間とか取れないのかな?
ちなみに、信行パパとは、親子関係って言うところまで行く前に謀反からの誅殺のコンボで死んじゃったから、よくわからんし。
柴田の親父殿とは、監視対象者と監視人って関係じゃなくなって、最近いい感じだと思うけど。温かく見守ってくれている感じだけど、一歩引いていた保護者っていう感じの時が多いから、父と子っていうのとは少し違う気がする。
あ、そうだ。柴田の親父殿が、信長伯父さんに会った時、加増のお礼しとけってな感じの事言ってたっけ。
「伯父上、おそれながら」
「ん?どうした、坊丸。何事やあるか?儂と将棋を打ちたくなったか」
立ち上がりかけた信長伯父さんが、将棋盤の前に座り直し、せっかくしまった将棋の駒を盤面にぶちまけました。
って、どんだけ、将棋打ちたいんだよ。子供とじゃなくて、自分の小姓たちでも相手に打てばいいじゃないかなぁ。
「恐れながら、それがし、酔象の入った将棋はまだ学んだことがなく、残念ながらお相手は致しかねまする。しばらく前になりまするが、今川義元を討ち果たしたこと、おめでとうございまする。その際にそれがしが柴田の親父殿に手渡した焙烙玉を使っていただいたとのこと。ありがとうございまする」
「あぁ、あれか。あれは良かった。それに、橋本一巴亡きあと、水に強い火縄の工夫を続けたのも、良かったぞ。雨上がりでも、当方は火縄銃を使うことができたが、敵方は出来なんだ。雨の後の火縄銃は無用の長物とばかりに、銃を撃つこともなく捨てて逃げるありさまよ。坊丸。褒めてとらす」
「お褒めの言葉をいただき、恐悦至極にございまする。柴田の親父殿が加増いただいた分の一部を回していただき、五人扶持としていただきました。ありがたき幸せにございます」
「うむ、勝家より聞き及んでおる。以前の二人扶持にから五人扶持にしたとな。勝家の加増分から考えれば、もすこし多くてもいいとは思うがの。まぁ、年を考えれば致し方あるまいて」
小姓役の同僚三人がざわっとしました。
あ、三人は自分が既に俸禄をいただいていることを知らなかったのかな?
フッフッフ。君たちは、単なる重臣のお子様だけど、こちらは既に子供ながらに直臣なのだよ。
まぁ、こっちが現状の俸禄のままで、君たちが家督を継いだら、もの凄く逆転されるんだけどね。
でも、現世知識と「信長公記」の知識からすると、順調にいけば、磯野員昌さんの養子になって近江の高島郡を引き継ぐはずだから、そこまで格差出ないはず。きっと、多分。
そして、「信長公記」の知識で気になっていた点も聞いておこうっと。
信長伯父さんって、桶狭間の戦いの後、すぐに松平元康こと徳川家康と同盟を結んだとばかり思っていたんですが、「信長公記」だと清須同盟を結ぶ前に松平元康と一戦してるんだよね。
これってどういうことなのかな?無駄な戦なんかせず、時間もかけずにサクッと同盟結べばいいのに。
「恐れながら、伯父上。もう一つ宜しいでしょうか?」
「坊丸、今度はなんだ?なんぞ面白きことでも考え付いたか?」
いや、面白いことではないんだけど、貴方に聞きたいことがあるんですよ、伯父上様。
森可成の嫡男、森虎丸くんこと森可隆は父の森可成より先に戦死してしまうので、史実では家督は継げなかったのですが、本作品ではどうなるでしょうか。
史実通りにしたい気持ちともう少し長生きさせてあげたい気持ちが現状半々ってところです。
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