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156話 桶狭間の戦い 第三段

ちょっと、話の入りがいつもと違いますが、ご容赦を。


手違いで、155話の後部分1/3ほどが正常に反映されていないことが判明しました。

8/29 8:00頃に大幅追加をしています。8/29に7:00-8:00に155話を読んだ方は、軍議以降の追加分を再読のほどお願います。

ここでまた、時間は少しばかり戻る。


さて、前段の柴田勝家が、本作品で出てくる柴田勝家にしてはその言動、その態度が少し理知的過ぎるのではないかと思われた読者諸賢も居られたことだろう。


本段ではその理由を(つまび)らかにしていくことになる。すなわち、本段は「坊丸と柴田勝家の物語」である。

で、あるからして、()()()のようにリスタートする事をお許し願いたい。


〜・〜・〜・〜・〜・〜・


ども、坊丸です。

昨日、永禄三年五月十三日、今川義元が本格的な軍事行動を開始した情報が織田家に入ったようです。


ようですっていうのは何故かというと、新年の儀以降、奇妙丸様の小姓役のお仕事では呼ばれてないから。

火縄銃の修練には呼ばれていますが、信長伯父さんと色々と話すような機会は特に無かったわけで。

今回の情報は柴田の親父殿が清須城に登城した際に聞いてきたものなわけです。


五月十三日夕食後、柴田の親父殿から自室に来るよう言われました。まぁ、夕食時に今川が攻めてくる話は少し出たから、それに関連する話なのは明白なわけです。

つまりは、今回の呼び出しは、自分が何かやらかしちまったわけではないので、比較的心に余裕がある状態で訪室できるわけです。


「親父殿。お呼びにより参上いたしました」


「おう、坊丸。入れ」


自室で何やら書状を書いている様子の親父殿の前に着座。


「書き物仕事がおありのようですが、出直しましょうか?」


「いや、もう終わる。なぁに、西三河の知り合いに殿の書状に目を通してくれと頼むだけの書状だ。あとは花押を記してっと」


「親父殿は右筆は用いないのですか?」


「右筆を側に置くほど、書類仕事は多くないからな。それに次兵衛の義兄(あにじゃ)に手伝ってもらえば済む話だ。最悪、文荷斎も使えばいい。あ奴は信行様の元右筆であるからしてな」


そんな話をしているうちに、記すべきことが終わったらしく、書状に再度目を通した後、書状と白紙の紙を丁寧に折りたたんで文箱にしまい、紙以外の文房四宝や文鎮を意外と几帳面に硯箱に納めていく柴田の親父殿の様子を見つめる。


「待たせたな。坊丸」


「いえ、それほどでも。して、お呼びの用事はどのようなものでしょうか?」


「夕餉の折にも少し話したが、今川が数日のうちに攻め寄せてくるらしい。正月にそなたが倒れたとき、白山権現のお告げがあったのを思い出してな。他に白山権現は何か言っておったかと思ったわけだ」


ああ、あの時ですね。東からの脅威が来るみたいな言い方で桶狭間の戦いの警告をしましたっけ。

その後から、柴田の親父殿は今川と戦うかもしれんから気張れよって声をかけながら若衆の教練に熱が入ってますもんね。

頭の中にダウンロードしてもらった「信長公記」の桶狭間の戦いの項を読み返すに、今川義元本体に近づく直前に、雹交じりの雨でも降るような記載があったから、自分も加藤さんと火縄銃の雨対策をさらに進めてますよ。

ただ、何度確認しても桶狭間の戦いの項には「柴田勝家」の名前は出てこないんだよね。

あまり詳細を語って、そこから情報漏えい、今川軍の動きが変わってしまうと大変なことになるからなぁ…。どこまで話すのが正解なんだろう…。


「少し前のことなので、あまり覚えてはおりませんが…。奮戦すれば脅威は遠くに去る、伯父上を信じ一丸となるが大事、といったありふれた様なことしか伝え聞いていなかったかと」


「そうか…。あれから、追加でお主の枕元に白山権現が立っていたりしないかと期待したのだがな…。奮戦すべしということと殿を信じることが大事か。まぁ、いずれも家臣としては当たり前のことよな」


「ただ、敵の大軍を前に、それを行うはなかなか難しいかと。織田家よりも自分や一門が大事という者もおりましょう」


「まぁ、そうよな。譜代ならいざ知らず、最近信長様に拾われたものや先年まで岩倉の守護代に仕えていたものは厳しいわな」


いやいや、一番寝返りで怪しいのは、重臣の林秀貞殿なんじゃないんですか?

名前は出さんけど。


「伯父上の性格では直前になって決断を下すこともあるでしょう。他の重臣の方々も親父殿の様に準備万端ならば良いのですが…」


「忠義に篤いものならば、敵が近づいている時に準備不十分の輩がいるとは思わんが、清須に登城した折には周りの者どもにも抜かりなく準備すべし、と声をかけよう」


「あ、あと水にぬれても火が付きやすい蝋引き火縄の数がそろったので、清須に行く際にはお持ちいただき、伯父上にお納めのほどお願い申し上げます」


「相分かった」


その日は、そんな感じで柴田の親父殿と話をしたのでした。

そして、運命の五月十九日、その前の晩に時間は移るのでした。

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