表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/482

145話 お節料理

ども、坊丸です。

永禄三年になりました。今日は元日です。

今年の新年の儀で奇妙丸様の小姓役を務めるわけですが、去年みたいに何も知らされてない状態のサプライズではないので、心の準備ができています。

それに今年は森虎丸君や理助も居るし、一人で悪目立ちしないのが確定しているから、すこし安心。


それと今日からで数えで六歳です。今年中に満で五歳になります。

五年に一度くらい頻度で、この時間線の管理者、天使級10598号の奴に連絡が取れるはずなので、そろそろ一度連絡を取ってみたいところ。

アイツ、自分でそう言ったんだけど、その事実を覚えているかな?


そんなわけで、明日は清須城に柴田の親父殿と一緒に登城です。

今年は、自分も馬上の人となって颯爽と登城予定。


さて、新年の挨拶の時間だな。


柴田家の広間、上座には柴田の親父殿と婆上様が鎮座しています。

広間に若党、中間の方々が揃うと柴田の親父殿が挨拶を開始。


「皆の者、新年朝早くからの集合、ご苦労。昨年は岩倉城攻めがあったが、皆の奮闘により攻め手の一翼を担う大将の任を全うできた。また、戦があったにも関わらず、昨年と比べて誰一人欠けることなくこの場で新年の挨拶ができること、誠に目出度い。今年も宜しく頼むぞ」


「殿、明けましておめでとうございます」

義兄にして筆頭家老の吉田次兵衛さんが、そう応えると、一同が一斉に新年のご挨拶。自分もタイミングを合わせて挨拶しましたよ。


例年は親族枠の末席に一人寂しく座っていましたが、今年は一つ下の弟、次丸も座ってます。一番下の弟、菊丸はさすがに幼いので、お妙さんと与えられている離れの部屋にて待機。


挨拶の後は若党、中間の人たちに酒を振る舞い、昨日のうちにお滝さん達が準備した餅を配ると、若党中間の人達は解散です。


しっかり宴会をやる家もあるらしいですが、柴田家は柴田の親父殿に奥方様がおりませんし、女衆(おなごしゅう)も多くないので、餅を配って終了、と言うことらしいです。


後は、吉田次兵衛さん以下数名の家老格、重臣格とささやかな酒宴をするようですが、例年この時点で餅と勝栗、少しの漬け物等をいただいて離れに引き上げる感じなので、酒宴が盛り上がってるかは知りません。


ちなみに、台所を取り仕切るお滝さんは、通いなので、年末に三が日過ぎまでの分、大量の餅と日持ちするお料理を作りおきしていただいています。


お餅は、年末に柴田の親父殿と若党の人達が、筋トレと祭りを兼ねたような変なテンションと熱いパッションでつきまくったもの。

元服前くらいの年齢になったら自分もあのテンションで餅をつかねばならないのだろうか…。

日持ちする料理は、やっぱりお節料理につながる感じなのでしょうね。

ただし、平成令和のお節料理と違い、かなりシンプル。品数も少なめで、一つ一つが大量な感じ。


お勝ち栗、煮蛸、大根メインの根菜の煮物、芋がらの煮物、里芋の煮物などと雑煮のみと言う感じ。しかもまだ醤油がないので、味噌メインの味付け。


ふっふっふ。

しかし、この坊丸、煮物ばかりでは辛いので、お滝さんに頼んで幾つか違う料理も作っていただいております。


まずは、勝ち栗を水で戻して、水飴や蜂蜜で煮た栗の甘露煮っぽいもの。

栗きんとんは、サツマイモがないから無理でも、各種甘味料が手元にある今、甘露煮ぽいものは作れます。

本当は普通に茹でた栗を使いたいけど、勝ち栗が新年のお膳として準備されてるからそれを利用して作りましたよ。


それと蛸の唐揚げ。

これも蛸の煮物用に蛸があったので、うどん粉を軽くまぶして、菜種油でカラッと揚げました。

ちなみに平成令和の自分が食べていたお節料理だと酢蛸だったんですが、こちらだと蛸の煮物の様子。

お滝さんに酢蛸の話をしたら、東の方だと酢蛸だと言われました。関東関西で違うパターンでしょうか。


冷えても美味しい蛸の唐揚げとお餅をもらって離れに下がろうとしたら、柴田の親父殿から、重臣達の宴会に顔を出せと言われました。えぇ~。


しぶしぶ、柴田家の重臣たちのいる広間の宴会に参加。

いつも柴田の親父殿の与力として働くことの多いの人達も挨拶に来たみたいで、玄久さん他数名が増えていました。


「坊丸、こちらに座れ」

って、柴田の親父殿の隣に座るの?預りの身なのに?

言われた通り柴田の親父殿の隣に座りましたが、柴田家中の人たちはなにも言わない感じ。むしろ温かく向かえてくれてます。


「今は亡き信行様の忘れ形見として、ここにいる坊丸を預かってはや数年。皆も坊丸の働きは見てきたものと思う。それが実って、明日は新年の儀で奇妙丸様の小姓役を務めることと相成った。実に目出度い」


その後、口々に目出度い、良かったと言ってくれる柴田家中の人達。

では一献と言ってみんなで乾杯。

ま、自分は流石に酒は呑めませんが。


嬉しくなったので、自分達用に作った蛸の唐揚げを出したら、旨い旨いと宴会はヒートアップ。

広間で相撲とかとりだしたので逃げ出しました。


ちなみに、明日、轡を並べて登城ですなと柴田の親父殿に言ったら、明日はたくさん人が集まるから馬で登城できるのは重臣たちだけとのこと。

自分は柴田の親父殿の馬に同乗する感じだそうです。

新年に轡を並べて登城は、柴田の親父殿並みに偉くならないと駄目みたい。ハハハ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ