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14話 柴田勝家に預かられました!

ども、織田坊丸、改め、津田坊丸です。


信長伯父さんの命にて、名字が変わりました。

織田家の傍流の名字らしいです。つまり、織田家の家督を継ぐ権利がなくなった、織田の一族だけど明確に家臣扱いになった時に名乗る名字が、津田氏みたいです。良くわかりませんが。


そんなわけで、柴田勝家の家に住むことになりました。


ちなみに勝家のことを何て呼ぶか、末森城での仕置きのあとに、本人に聞いたら、かなり困ってました。

「父上」にするって言ったら、なんかすごく恥ずかしがってたので、他の呼び方を二人でいろいろ出しあったあげく、「親父殿」に、なりました。「父上」とそんなに変わらない感じだと思いますが、正式に養子になったわけでないのに「父上」は、こっぱずかしいらしいです。


「親父殿」だと、寄騎についた部下扱いの武将とか国人の方々なんかにも同じように呼ばれることもあるから、ちょうど良いといってました。勝家がそれが良いなら、文句は無いので、今後呼び掛けるときは、「親父殿」にするようにしますって伝えておきました。柴田の親父殿は「うむうむ」とどこか嬉しそう。善きかな善きかな。


ちなみに自分のことを勝家が呼ぶときは「坊丸」と呼び捨てにするか「坊丸殿」と呼ぶそうです。外では呼び捨て、家のなかでは「坊丸殿」にしたいっていってました。


「殿」ってかしこまりすぎでないかって言ったら、子供に準じて養育するが、元服したら信長伯父さんの直臣になる予定なのだから客将として預かっている感じに近いようなものなので、こう呼ぶのが良いと言ってました。とはいっても、元服までは10年以上あるんですが、勝家のこだわりなんだから仕方ないね。ウンウン。


というわけで、末森城内から柴田勝家こと親父殿の屋敷に移りました。二人の弟も一緒です。

子供三人一気に増えるのはお世話が大変とのことで、自分の乳母のお妙さんと一番下の弟の乳母の人、あとお千ちゃんが、一緒についてきてくれることになりました。

知り合いが一緒っていいよね。


で、柴田の親父殿の家ですが、さすが織田の重臣、かなり広いですし、庭も広い。厩に数頭の馬もいます。屋敷の北側、六畳間の続き部屋が我々、信行の子供たちとお千ちゃんの部屋とのこと。ちなみに乳母の二人は通いということになりました。


で、柴田の親父殿のうちの人と顔合わせです。

まず、柴田の親父殿のお母様。お梅さん。一応、柴田家にお世話になっている間は祖母と思っていただきたいって言っていただきました。呼び方は婆上でいいって言われました。


そして、柴田の親父殿。


最後に、下男下女の皆さん。


以上。


あれ?奥さんは?お子さんたちは?


柴田の親父殿、遠い目をしながら、乾いた笑いをもらしてます。婆上は、微妙に優しい笑顔。


「坊丸殿、うちのバカ息子には、今は連れ合いがおりません。そして、跡継ぎとなる実の子も」


「そ、それは、失礼いたしました」


「いえいえ、うちのバカ息子は、いまだに亡くなった妻が忘れられないようなのですよ。後添えをもらえ、跡継ぎをつくれ、と、口を酸っぱくして言っているのですが、どうにも母の言うことを聞かぬ始末」と、頬に手を当て、小首をかしげながらジト眼で柴田の親父殿をみる婆上様。なかなか圧のある視線です。


「はっはっは、先妻の、お歌は良きおなごでござったゆえぇ」自分の母から露骨に目をそらして、仏間の方を見ながら乾いた笑いで誤魔化す柴田の親父殿。


知ってますよ、これは。

いつも親子でやっているやり取りのパターンですね、きっと。

そして、ここで、下手に意見を言ったりすると、嫌な感じに両方の板挟みになったり、何故そちらの肩を持つんだって言われるやつですよね、きっと。

君子危うきに近寄らず、が正解ですか?ですよね。

ここは、ニコニコ笑って二人の顔を見ながら、わかったような感じで、うなづいておきましょう。ウンウン。


ま、そんなこんなで、柴田の親父殿のおうちで養育されることになりました。


あ、そうだ、下男下女の皆さんに、以後お見知りおきを!って感じで挨拶廻りでもしておこっと。

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