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136話 ぶんぶん、分蜂のために蜂が飛ぶ。

ども、坊丸です。

不浄な牛乳を飲む許可を主君に願い出て、免状をいただいた坊丸です。


肉も牛乳も駄目って、文明開化で肉食禁止が解けた後150年くらいたってる平成令和の人には、ほんと信じらんない世界です、戦国時代。


肉喰わないと力でないだろ!って思いますが、そこはそれ、大量の米を食していると大丈夫らしい。凄いな、米。


ま、牛乳からの乳製品づくりは、おいおい進めていくとして、まずは蜂蜜、蜜蝋、菜種油の確保です。


蜂蜜は自分の甘味計画の一環だけど、蜜蝋や菜種油は鉄砲の防水やメンテに使える戦略物資になる予定だからね。当然、灯明としても使うつもりですが。


菜種油はできれば、食料にも使いたいな。ただ、鉄砲の方で消費されるだろうから、油をたくさん使った料理はしばらくお預けかなぁ。天麩羅とか食べたいけどねぇ~。



で、だいぶ暖かくなって初夏の頃、石田村の仁左衛門さんからご連絡がありました。

設置した巣箱の周りに蜂がたくさん飛び回っていて、危険な感じがするとのこと。


いや、それ、分蜂するにあたって下見に来ているんだと思いますが。

養蜂の第一段階、分蜂した蜂に巣箱に居着いてもらうのが、成功の予感。


なので、加藤さんと見に行くことに。

自分も加藤さんも騎馬での移動なので、移動がスムーズ。


加藤さんは、柴田の屋敷から馬を借りている状態ですが、馬上の加藤さんは少し機嫌がいい気がします。

やはり、武士は馬に乗ってなんぼなんですかね。


石田村に到着し、仁左衛門さんの屋敷に声をかけると、速やかに巣箱を設置したところにご案内。


あれ?巣箱の周りにそこそこ蜂が飛んでますが、そこまでではないごようす。


「仁左衛門さんのお話だと、危険なくらいに蜂がいるって聞いたんですが?」


「坊丸様、ご連絡した日には、蜂がうじゃうじゃいて、気持ち悪いくらいだったのでございますよ。

蜂が集まりすぎて団子になるくらいでござりました。村の者も恐れてその日はこの近くに寄らなかった程でござりました」


あぁ、じゃあ、その日に分蜂の集団が移動したんですね。


「なら、蜂はもう居着いたと考えて良いですね。そのうじゃうじゃいたのが今は巣箱の中にいるはずです」


「はぁ、そういうものなのでございますか…。しかし、巣箱の中に蜂が居着いたとして、蜂蜜を採るのは、どうなさるのですか?

蜂達を刺激したら、たくさん刺されて大惨事になってしまうのでござりませんか?」


うん、仁左衛門の心配、よくわかります。誰も蜂に刺されたくないもんね。


「そうですね。蜂に刺されないように全身を包んだような服を作ろうと思います。目の部分は細かい網を着けて蜂が入れないようにしつつ、視界を確保するつもりです。

それと巣枠から蜂蜜を採る仕掛けを作らねばなりませんね」


「仕掛け、でございますか。次から次と作らねばならないものが出てきますな。それがし、休む間もございませんな」


農業実践系男性アイドルの豪腕でラッシュな番組や山田な養蜂場提供の短時間番組で見た巣枠を嵌められる遠心分離機っぽいやつね。


加藤さん、いつもいつも、ありがとうございます!

他の鍛冶師と違って、色々作れて楽しいでしょ?加藤さん。


ちなみに巣枠の底には、針金ではなく蜜蝋を塗った和紙を採用。

巣箱だけでなく巣枠にも蜜蝋を使うことでニホンミツバチさんに馴染んでほしかったから。


「巣箱の中の具合を確認するために、蜂に刺されないようにした服は、早急に作らねばなりませんね。蜜を搾るのは夏頃でしょうかね」


「蜜を採る時期ですか。村の者で蜂の巣を探すものは、だいたい秋の彼岸前後に探しに行くようですな。その頃にならないと蜜が多くないそうです」


あ、貴重な情報ありがとうございます、仁左衛門さん。

蜜を取るのは秋頃かぁ。


「蜜を採るしかけは、秋までで大丈夫みたいですよ、加藤さん」


「はぁ、承りましてございます」

そんな微妙な面で承らなくてもいいと思いますよ、加藤さん。


「それはさておき、菜種ですが、来年の葉野菜として育てるための種籾分以外は、それがしの蔵で保管してございます。ご指示の通り、乾燥させてございますぞ。お約束どおり買い取っていただくということで宜しゅうございますか?」


「分かりました。乾燥させた菜種、約束どおり買い取ります。ただ、今日は手持ちがないのと、運ぶ手間のこともあるので、後日、親父殿の屋敷に届けてもらってよろしいですか?」


「えぇ、買い取っていただけるなら、殿様の屋敷に運ぶことなど造作も無いことでございますよ。明日にでも届けます」


仁左衛門さん、揉み手をしながらの笑顔、名主さんというよりは商人の顔になってますよ!

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