129話 石田村養蜂場…準備中
多忙と体調不良から少し回復。
週3更新に戻れると良いのですが…
LCLでの飛行機移動は、執筆には不向きと痛感。wifi完備の新幹線が恋しくなりました。
ども、坊丸です。
石田村で麦畑の様子を見て、仁左衛門さんの屋敷に帰って来たら、呼んでいないのに文荷斎さんが来てました。
何で?
「坊丸様、石田村にて、蜂で何やら始めると柴田様から聞いたので、やって来ましたぞ。今まで石田村の発展にともに頑張ってきたのに、今回は声をかけていただけないとは、この文荷斎、悲しいですぞ!」
あ、いや、文荷斎さん?
貴方のお仕事は、末森城の城番が一番のお仕事ですよ?
それに、石田村の開発に貴方が手伝い始めた理由は、いろんなところと交渉するときに子供だけだと舐められるからだったはずですが…。
開発の報告書を信長伯父さんに提出して、信長伯父さんからのご下命は結果を出して一段落したし。
「文荷斎さん、ご無沙汰してます。昨年秋の収穫を伯父上にご報告いただいたことで、一緒にお仕事するのは、一段落かと思っていました」
「まぁ、信長様からのご下命についてはその通りなのですが、柴田様からは、坊丸様を適宜手伝うように仰せつかっていますから、良いんです」
「は、はぁ」
「ちなみに、蜂で何をするのですか?」
「昨年、菜の花の回りに蜂が飛んでいたので、その蜂を育てて、蜂蜜を取れないかなぁ…と」
「ん?坊丸様、蜜蜂に糸を掛けて蜂の巣を見つける訳ではないのですか?」
仁左衛門さんから質問が出ました。
「それだと、一回しか蜂蜜とれないでしょう?木の箱を作ってそこに蜂達を誘導して長い期間巣作りしてもらうのはどうかなぁ、って」
「ふむ、あまり聞いたことがないのですが、できるかもしれませんな。ただ…」
「ただ?」
「蜂が新しい巣作りをするのは一、二ヶ月先だったと思いますぞ」
やっちまったぁ。知らないこととはいえ、季節が合わないとは…
落ち込んでいる自分を見て、加藤さんや文荷斎さんが慰めてくれます。
「坊丸様、知らないことは仕方ありませんぞ。今知ったことを糧にどうするか、が肝要かと」
と、文荷斎さん。
「蜂の巣別れまで、時間ができたと考えればよいではありませんか、坊丸様」
と、加藤さん。
なんて優しいだ、二人とも。
名のある武将になったら、取り立ててあげるからね。なれるかわからんけど。
二人に励まされて、蜜蜂の巣箱づくりのはなしを開始。
蜜蜂が入れてオオスズメバチは入れないくらいの高さの巣門、蜂の巣のもとになる巣枠などを説明。加藤さんがメモをとってくれて、これを福島さんに持っていって巣箱を作ってもらうことに。
あとは、巣箱の側に季節の花を追加したい。
某番組では、ブルーベリーを近くに植えていたけど…。
ブルーベリーなんて無いしな。近い花と言えばドウダンツツジかな?たしかブルーベリーもツツジ科たった気がするし。
「文荷斎さん、加藤さん、仁左衛門さん、巣箱を設置するにしても、菜の花だけだと蜜蜂が蜜をとる花が少ないので、巣箱の側に花を植えたいんです。巣別れする時期ならドウダンツツジとかどうですかね。まぁ、ドウダンツツジに似た花をつける樹木で甘酸っぱい実をつける奴があれば最高なんですが」
「ドウダンツツジに似た花で甘酸っぱい実をつけるなら、シャシャンボですな」と文荷斎さん。
「少し花が赤くて良ければ、ウスノキと言う選択もあるぞ。あの実は赤くて旨いからな」
これは、仁左衛門さんの意見。
「酸っぱい実をつけるなら、スノキではないでしょうか」
酸っぱさだけだと辛いんですけどね、加藤さん。
うん、ブルーベリーの代用品無いか聞いてみたら、みんな違う樹木を挙げて来ました。
とりあえず、近くの山に生えてるなら、移植してほしいんですが…
「そうですな、シャシャンボもウスノキも近くでみた気がします。多くは実らないかもしれませんが、わざわざ山のなかにいかずとも近くにあれば、村の者にも自然の恵み、自然の甘味になりますな。村の者共にも声をかけ、見つけたら、この辺りに移植するよう話しておきます。シャシャンボ等が見つからなければ、ドウダンツツジを植えておくようにします」
「仁左衛門さん、そうしてくれると助かります。宜しくお願いします。あぁ、そういえば、菜の花の種を搾って油を取ったりしないんですか?」
「菜の花の種を搾るんですか?あまり聞いたことがないのですが?あれは花や新芽を野菜として使う程度でしたが…」
その後、文荷斎さんと加藤さんにも聞いてみましたが、菜の花の種を搾ってとる菜種油のことは知らない様子。
油は、大山崎に所属する油売り達が、油を売りに来るのを買うもんだと言われました。柴田の屋敷でも見ましたが、胡麻油っぽい奴ですね。
少し癖があるから、売り歩いてるのって荏胡麻油なのかなぁ?
「加藤さん、火縄銃の底を止めているネジの構造ってわかりました?」
「おお、籔から棒に、今度は火縄銃の話でございますか。以前、坊丸様から伺ったネジ止めの構造は、理解しておりますよ。斜めの溝の切り方がなかなか難しいのですが、火縄銃の自作のために、工夫してそれなりには、作れるようになりましたが…。それがどうしました?」
「火縄銃の火皿と銃身の中をつなぐ火穴も作れますよね?」
「もちろんです。橋本一巴殿の遺品である短筒を坊丸様よりお預りしてから、日々鍛練し、もう少しで自作できるところまで来ております」
って、加藤さん、もう鉄砲自作できるだけの技術力身に付けつつあるの?早くない?
お陰で、圧搾機を作る基礎技術力は持ってる様子だから、有難いんだけどさ。
「火縄銃も造りたいんですけど、その前に、こういう機械を作ってもらえませんか?ネジの構造を持った筒で、底の辺りに火穴を数個作って…」
地面に棒で圧搾機の構造を書くと、加藤さんが食い付いてきました。
加藤さん、武士よりも技術者向きのメンタリティだよね、本当に。
「ふむ、これで押し潰すように搾るわけですな。で、菜種を搾ると油がでると。実に興味深い。わかりました。作ってみます。ただ、試作に数日、実際に搾ってみて、更に改良と言う感じですな」
いやいや、それで何も問題ありませんよ。
どうせ、菜の花の時期が終わらないと菜種とれないしね。
「う~む、それがし、あまり役に立ってないでござりますな…」
いやいや、文荷斎さん、今回は、たまたまですよ?交渉役だから、交渉事が出来たら活躍してもらいますよ。きっと、たぶん。
石田村から帰る段になって、加藤さんが福島さんのところに行くから、文荷斎さんに自分を柴田の屋敷まで送り届けるよう頼んでました。
え?帰宅は加藤さんの引き馬じゃないの?
文荷斎さんは普通に騎馬で来てたよね?どうすんの?
結果から言うと、石田村から柴田の屋敷までの帰り道は、騎馬の練習になりました。
そして、文荷斎さん、ここぞとばかりに張り切って、意外とスパルタ。
まぁ、騎馬がいきなり上手になったけどさ、なったんだけどさぁ。なんか納得いかぬ。
シャシャンボ、ウスノキ、スノキは、ブルーベリーの近縁種。日本のブルーベリーとか言われることもある樹木です。




