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124話 焙烙玉、河原にて炸裂。

ども、坊丸です。

焙烙玉っていうから焙烙に火薬や鉛玉を詰めればすぐできるかと思ったら、焙烙は平べったい上に持ち手がついた注ぎ口が無くなった急須みたいな器具でした。

仕方ないから、小さい壺に鉄砲の弾と火薬を詰めて焙烙玉っぽいものを作りました。


福島さんが壺の口と火縄に合わせたぴったりの木栓を作ってくれたので、自分のイメージらしいものが出来ました。

火薬を入れた小さい壺を黒く塗れば、ゲームで見たボンバーマンの爆弾に見えるんじゃなかろうか。

そんな思いで焙烙玉を見ていると、加藤さんから質問が。


「坊丸様、最初、壺の底に鉛玉を敷き詰めましたけど、あれっているんですか?」


ん?加藤さん、鉄砲の弾を詰めた理由をご理解いただいてない?

まぁ、花火のイメージで作ったからね。花火の中にある火薬でできた星の代わりに散弾銃のイメージで破壊力アップの鉛玉ですよ。


「あれは、火薬の爆発で不規則に硬い塊の鉛玉が飛ぶのが良いんですよ。火薬だけだと、爆発力は高くなるけど、殺傷力は鉛玉が入っている方が強いと思います。きっと」


「それは何となくわかります。坊丸様。でも何故、壺の底に敷いたんです?それと小石やさびた鉄釘なんかでもいいのでは?」


うん、そうだね。加藤さん。鉄砲の弾じゃなくて、小石や鉄釘、鉄くずでも全く問題なしな気もする。

花火の内部構造や火薬の星のイメージに引っ張られすぎたかも。てへっ。


「壺の底に敷き詰めたのは、一番底で多くの鉛玉を詰めて、多くの方向に飛び散る様にですね。それと、鉄砲球を入れたのは、綺麗な球形に近いからある程度きっちりならんでくれるかな、と。きっちり並べば、飛び散るものとしての数も稼げて、火薬もその分少なくできるかなと思いました。まぁ、小石や鉄釘でも飛び散るものとしてはいいと思います。そっちのほうが材料費浮いてお値段がお手頃になりそうだし」


「そういうことでしたか。ならば、焙烙玉の底に詰めるのは、大きさがある程度そろった小石にしてはいかがです。以前、坊丸様が早合を作る時に、手傷を負い戦働きができない兵や後家に作業させると言いましたが、この焙烙玉の小石集めや小石交じりの火薬をつめるのも同じ感じでできるものと存じます。あとは、そうですな、油紙は高いのでかんな屑やおがくずでもいいのでは?」


「それは湿気次第ですね。木栓と鉋屑やおがくずだと雨の多い時期は火薬が湿気りそうですが。雨の少ない時期ならいいんじゃないですかね」


加藤さんはすこし考えていましたが、まぁまぁ納得していただいたようで、紙に焙烙玉の製造方法を書き留め始めました。


「あとは、これをある程度数を作って、伯父上に報告ですね。伯父上の許可がいただければ、清須の方で量産体制を組んでもらうことと、実際に岩倉城攻めで使えるかどうかですね。柴田の親父殿は岩倉の陣中だし、文荷斎さんも末森城で詰めてるからなぁ。次兵衛さん経由で伯父上に献策、献上するしかないか…。ねぇ、加藤さん」


「ん?ああ、そうですね。吉田様にお願いするのが良いかと」

記録に集中して、多分、話あまり聞いてなかったですよね、加藤さん。

でも、その集中力のおかげでいろいろ開発の手伝いをしてもらっているから文句言えませんが。


ちなみに、吉田次兵衛さんが本日の柴田邸でのお仕事を終えて自宅に帰る前に、焙烙玉できたから献上したいって伯父上に連絡取りたいから手続きお願いって言ったら、ものすごく大きなため息をついた後に了承いただきました。


ごめんね、次兵衛さん。お仕事増やして。でも、打ち上げ花火の話をしたら、兵器転用できそうな焙烙玉の話をしたのは、貴方ですからね、次兵衛さん。


そして、数日後です。

いつも鉄砲の試射や修練を行う清須城側の河原にて鉛玉入り壺花火改め焙烙玉のプレゼンです。

早合のプレゼンの時と違い、今回は、吉田次兵衛さん、自分、加藤さんと福島さん。

ちょっとどころじゃなく格落ちのメンバーですが、頑張ります。


しかも、信長伯父さんは比較的興味があるのか面白がっている感じですが、小姓の人たちは岩倉攻めの前にめんどくさいイベント入れやがってって感じですこし殺気立っているご様子。

最近は信長伯父さんへのプレゼンに慣れて来てましたが、最初の頃の様なアウェー感。

ほんと、信長伯父さんが興味なさげな無表情でないのが救いです。


まずは、次兵衛さんと自分とで焙烙玉の説明や開発経緯を信長伯父さん以下清須城の方々に説明。

書状でもある程度の内容は連絡済みなので、ここは難なくクリア。

次兵衛さんの汗のかき方が尋常じゃない気もしますが。


説明終了後に、手投げと簡易の投石機での試技を準備していることを話しました。

信長伯父さんは手投げ、投石機の順番で試すように即答。

戦場で使うとき、手投げなら何の準備もいらないが、投石機は組み立てや戦場までの運搬が大変だからとのこと。戦国武将らしい考え方に納得。


その代わり、小姓衆で投石が得意な人にやってもらうようにお願いしました。

加藤さんは長良川の戦いの古傷があるし、吉田次兵衛は文官タイプだし。福島さんは筋力体力ともに問題ありませんが、織田の殿様の前にいきなり出る羽目になって超絶緊張してるし。

この面子じゃぁ、予想より手前に着弾してみんな怪我しそうだし。


で、小姓衆のうちで、幼少の頃一番石合戦で活躍していたということで、岩室長門さんが投げることに。投石も戦では大切な攻撃方法らしく、石合戦で活躍することは良いことらしいです。

だからと言って、伊助たちみたいに遊びと言えば石合戦ばっかりするのは如何かと思う。


あの第六天魔王こと織田信長をこんなことで怪我をさせるわけにはいかないので、一応、陣幕をすぐに広げられる様にしたり、木の盾を準備してもらってはいます。

自分もこんなことで怪我したくないし。

あ、あと、散弾になる小石や鉄砲の弾の量はかなり減らしています。火薬の量も。


もろもろ、準備完了したのち、長谷川橋介さんが点火した焙烙玉を岩室長門さんに手渡しました。

今回は火縄短めにしてますから、岩室さん、即、投擲。

岩室さんの投げた焙烙玉は、綺麗な放物線を描き、頂点を越し、落下態勢に。

頼む、川の中にぽちゃんと落ちる前に爆発してくれ。そうしないと、自分の面子や未来が大変なことになるから。


川面の少し上で焙烙玉、爆発。

予想を超える爆発音。めっちゃビックリしたので、即、木の盾の後ろに隠れました。

ほとんどの人は、木の盾の内側に隠れ、その炸裂音に呆然としています。いくら鉄砲の試射で音と煙になれているからって言っても、爆弾は別物だったご様子。


信長伯父さんはというと、木の盾の後ろからすぐに出て、既に皆が身を潜めた盾や陣幕をチェックしてます。陣幕は当然のようにボロボロだし、木の盾にも小石や鉛玉が食い込んでいたり、一部木の盾が欠けていたりします。


「坊丸、でかした。この焙烙玉は使えるぞ。お前が陣幕や木の盾の後ろに隠れるように言っておったから、皆無事だが、これが敵の頭上で突然破裂してみろ、鎧兜を着込んだ名のある武者ならいざ知らず、雑兵は総崩れじゃ。鎧兜を着ていても近くで爆発されれば、危ういかもしれん。次、投石機で投げてみよ」


信長伯父さんは、興奮気味です。そして、この兵器の有用性にすぐきづいたご様子。

流石、織田信長、賢いぜ。


投石機で投げた焙烙玉は対岸で爆発。冬枯れの蒲や河原に生えた低木を木っ端微塵にしてしまいました。

その様子を見たほとんどの人がざわつく中、信長伯父さんは上機嫌です。


「坊丸、岩倉攻めに焙烙玉を持っていくことにする。まぁ、試しに使う程度ではあるが、10や20、準備いたせ。儂は明後日に出陣予定じゃ。できればそれまでに。出陣までに間に合わずとも良いが、その場合は岩倉の陣まで持ってこい。良いな」


信長伯父さんに焙烙玉認めてもらったのはいいけど、仕事が増えました。とほほ。

pixivでエヴァンゲリオンの二次創作始めました。

「シン・ウルトラマン」「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」構想の影響を受け、ノリで書き始めちゃった上に、主人公は時田シロウというテレビ版エヴァンゲリオン第七話とゲームにしか出てこない人という作品。お暇なときにご笑覧ください。


https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17587256


上記URLから宜しくお願いします。

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