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122話 炎色反応、覚えてます?

ども、坊丸です。

信長伯父さんから、琥珀糖の褒美として砂糖と火薬をいただきました。


甘いものの褒美で甘いものをもらうのは、得してるのか損してるのかわかりませんが、水飴よりも使い勝手が良いお砂糖ゲットです!


それと、火薬です。今までと違い、二斤、自分の感覚では一キログラムよりちょっと多いくらいと言う量をいただいたので、自分の趣味で色々工夫できそうです。


柴田の屋敷に帰って来て、二つの包みをオープン。

開ける前からどっちがどっちかはわかってますよ。だって、火薬の方は硫黄の匂いがするもの。


火薬の方は、誘爆&湿気ると大変なので、油紙に包んで、小さい壺に小分けにして保存。藁や炭で湿気対策もしておきます。


砂糖の方は、かなり茶色い。

うん、この時代は、精製のレベルがまだまだなんでしょうね。ブラウンシュガーや粗糖って感じです。

でも、お砂糖はお砂糖です。

すぐに砂糖を使ってお菓子を作るつもりだったんですが、婆上様に止められました。


褒美としてもらったものなんだから、柴田の親父殿が戦に勝って無事帰宅してから報告して、その後に使うように言われました。


というわけで、こちらも壺に入れて保存です。紙の紐をかけて神棚に。

この紙紐を破った奴はぶっ飛ばします。例え、婆上様でも。例え、お妙さんでも。当然、お千ちゃんもな。あ、お滝さんが料理で使いたいと言っても駄目ですよ。


当面使えるのは、火薬のみ。

火縄銃の火縄に松脂とか炭とかいろいろ練りこんでる工夫しているんですが、すこーしだけ火薬練りこんでみようかなと。


で、翌日加藤さんと火縄銃の工夫です。


「加藤さん、以前話した雨の日対策に火縄に炭の粉を混ぜたもので火縄銃の試し打ちをしたいんですが…」


「坊丸様、それは構いませんが、火薬はあるんで?」


「実は、伯父上から火薬を賜ったんですよ。ほら」

加藤さんに小壺に入った火薬を見せながら言いました。


「ほう、これだけあれば、少しくらい試し打ちに使っても大丈夫ですね。では、以前試作した炭の粉を混ぜ込んだ火縄で試射してみましょうか」


「すこし火縄を湿らせてから火が付くかですね」


結果、松脂や炭の粉を混ぜ込んだ火縄なら少しくらいの湿り気でも着火できましたし、発砲もできました。火薬を練りこんだのは、着火しやすくはなってない感じ。

大雨の日は無理でも小雨や雨上がりくらいならいけるかもっていう感じの試作品ができました。


で、加藤さんが試射をしている間は手持無沙汰ですから、端切れの油紙と少しの火薬で線香花火ぽいものを作りました。ま、少量の黒色火薬を油紙で巻いただけですが。


「何やってるんです、坊丸様?油紙で紙縒り(こより)なんか作って」

試射を終えた加藤さんが、こちらの手元を覗き込んできます。


「線香花火っていうんですよ。火薬を使ってちょっとした遊びみたいなもんです」


「火薬、勿体無くないですか?」

うぐぐぅ。加藤さん、そんな正論を吐かないでください。娯楽ってのは大概、無駄と浪費の中にロマンを感じるものなんだから。


「まぁ、火をつけてみましょうよ」

うん、火薬が火で爆ぜてパチパチは言うけど、自分が思い描いていた線香花火とは違うなぁ…。

花火と言えば、炎色反応だよね。中学生の理科で習うやつ。


『リアカー無きK村動力借りるとう、するもくれないので馬力で行こう』ってやつ。

でも、リチウムやストロンチウムは戦国時代じゃどうやっても手に入らないよねぇ…。

何とか手に入りそうなのは緑色の炎色反応を起こす銅の粉末くらいしか思いつかないよ…。あとは鉄粉とか。鉄粉って炎色反応は起こさないんでしょうね。習ってないし。

でも、スチールウールを燃やす実験ではそこそこ派手に燃えた記憶があるので、投入してみましょう。


「加藤さん、銅や鉄の粉末って手に入ります?」


「銅や鉄の粉末?そんなもの何に使うんです?まぁ、鍛冶屋ですからね、鉄は手元にありますからすこし削れば手に入りますし、銅ならどうせ使いものにならなそうなビタ銭の表面を削ってしまえばいいんじゃないですか」


鉄粉はそれでいいとして、ビタ銭とはいえ、通貨でしょ?削って良いの?大丈夫?法に触れない?

あ、加藤さんが躊躇なくビタ銭の表面を削り始めました。うん、出来ちゃったね、銅粉。


「どうぞ、坊丸様、こちらが銅の粉、こちらが鉄の粉です」


いや~、すごいよ加藤さん。あっという間に準備してくれたよ。

加藤さんが準備してくれた銅の粉と鉄の粉をすこし混ぜた火薬で線香花火に再度挑戦。

そして、着火。


「ほぉ、これは面白い。火花が緑色になるとは。そして、先ほどと違い、赤い玉の様なものができるのが面白いですな。また、玉が落ちるのが儚げでいい」


うん、金属粉を入れると、溶けて線香花火独特の玉ができるんだね。一つ学習。

そして、線香花火の風情を理解してくれる加藤さん、最高です。

ただ、冬だから自分の中の季節感とは合わないけど。


「鉄砲の音が聞こえなくなって見に来てみれば、坊丸様、加藤殿、何をやっているのですかな?」

いつの間に、背後を取っているんですか、次兵衛さん。


「いや、伯父上にいただいた火薬ですこし風情のあるものを作ってみただけですよ。夏場に暑気払いとかでやりたいですけど」


「いやはや、吉田様。坊丸様の作りし線香花火というもの、素晴らしいですぞ。火薬というものは赤い火花を散らすものと思っていましたが、緑の火花を散らすものがあるとは!」

銅粉入り線香花火に感動していただいた加藤さんが援護射撃です。


「それでですね、鉄粉や銅粉を混ぜた火薬を鉄砲玉と同じくらいに丸めて、玉の中に敷き詰めた大型の花火もあるんですよ。それが空に討ちあがるとものすごく綺麗なんです!」


「ふむ。玉の様なものに火薬を詰めて破裂させるとは、瀬戸内のあたりの海賊が使うと伝え聞く炮烙玉のようですな?」


「炮烙玉?」


「瀬戸内海の海賊どもは、海賊同士の戦いやや大名、小名に攻められたときに相手の船に火薬の入った陶器製の炮烙を投げつけるらしいのです。炮烙の欠片や爆発で船の帆や船体に傷をつけたり、松脂を入れて火矢の代わりにしたりするらしいですぞ」


ふむ、炮烙玉ってのは散弾銃や焼夷弾みたいなもんね。

せっかくだから、打ち上げ花火の技術を流用して、それ、作っちゃいますか。

岩倉攻めにも使えるかも知れないし。

pixivの方で、「新世紀エヴァンゲリオン外典外伝 時田シロウ勇躍す~ジェットアローン再開発秘録~」と言う作品書き始めました。

小説家になろうは二次創作に厳しいので、pixivに出張して書いてます。


え?時田シロウって誰だって?


新世紀エヴァンゲリオン テレビ版 第七話にしか出てこない人ですが?なにか?

あとの登場作品はゲーム「エヴァンゲリオン2」の特殊パターンの時だけ!

そんな人を主人公にして作品作り始めちゃったので、興味ある方は是非。


まだ2話しか投稿してませんが。

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