閑話 今年の新入生(カリナ視点)
ちなみにカリナは村人Aぐらいに思っていただければ大丈夫です。
私の名前はカリナ。
今年から魔法学園の3年生。
今日は始業式(1年生にとっては入学式)。あぁ、嫌だなー。
入学式は毎年、理事長はともかくほかの先生達の話は毎年長い上に似たような感じの話ばかりするから、途中から寝てしまわないように耐えるので必死ですごく退屈。
「あぁ!!ごめんカリナ、私忘れ物したからちょっと取りに行ってくる!先行ってて!」
「えっ!ちょっと!」
止める間もなく一緒に歩いていたリルは一目散に寮へ引き返して行った。さすがの足の速さ、瞬く間に見えなくなった。
「……もう、しょうがないな」
しかたがないので先に始業式が行われるダンスホールへ入ってく。少し早めに寮から出て来たので中はまだ人が少なめで、みんな仲のいい子とおしゃべりを楽しんでいた。
その中で仲のいい友達を見つけたのでリルが来るまで時間を潰そうかと思い近づく。話しかけようとした瞬間、なんか後がガヤガヤし始めた。どうしたんだろうと後ろを向いた。
みんな視線の先をたどると、ちょうど今ホールに入ってきた女の子が目に映った。その子が多分みんながガヤガヤし出した原因なのだろう。新入生だろうか、あたりをキョロキョロ見渡してはダンスホールの広さや豪華さに驚いているように見える。
しかし新入生なんてさっきから何人も入って来てるし、なんでその子に注目が集まっているのかが分からない。
「……えっ?」
女の子が帽子から隠れていた顔を上げた瞬間、驚いた。サラサラしたの純白の髪、シミひとつないぷくりとした白い肌、透き通るような水色の瞳、まるでお人形さんのような子だった。着ているふちに金色の刺繍がしてある黒いマントも、少しひらひらとした服もその子にとてもよく似合っていた。
もちろん可愛い子なんて他にもいるけど、その子はなんだか
不思議な雰囲気を持っていた。
「なにあの子可愛いー」
「ねぇ、あの子やばいよねー」
「お人形さんみたい!」
周りにいる人達も近くの人と意見交換を始める。
「ねぇ、ねぇカリナ。さっきの子凄かったね」
「えっ!?」
気づいたらいつの間にかリルが隣に立っていた。
「い、いつの間に戻ってきたの?びっくりした」
「ちょっとー、失礼ね。あの子の隣から入ってきたのに気ずいてなかったの?」
「ご、ごめん」
「まぁ、しょうがないわよね。あの子結構目立っていたし」
「あ、あはははは」
リルの少し怒っている顔を見て、思わずから笑いが出てしまったのはしょうがない。もう一度ちらっと扉の方に視線を向けたけれどもうさっきの子はいなかった。多分1年生の場所へいったんだろう。
―――今年は騒がしい一年になりそうな予感がする。