2話 寮
「わぁー、すっごーい!」
一ヵ月馬車に揺られ続け、ついに王都に到着した。ずっと馬車の中に座っていたから、全身すごく疲れた。早くふかふかのベットでお昼寝をしたいをしたい。
それにしても、本に書いてあったけど、王都の高い建物は全部魔法で建てたんだって。凄いなー。
私もまだ魔法学園に入学していないけど、将来は一人前のかっこいい魔法使いになりたいな。
「それにしてももおばあちゃん家はすごく田舎にあったからこんなにたくさんの人を見るのは初めてかも!」
周りを見渡すとたくさんの人達が歩いていて、買い物をしたりお喋りをしたりしていて、すごく賑わっている。さらに、あちこちの屋台から美味しそうな匂いが漂ってくる。
「じ、じゅるり」
はっ!行けない行けない。思わずよだれが!早く学園の寮に行かないと。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「ここがミーティア魔法学園?」
おばあちゃんから貰った地図を見て、人の波を掻き分けながらたどり着いたのは立派な門の前だ。どうやらここは学園にある寮に1番近い門みたい。
でも、しっかり閉まっているしどうやって入ればいいんだろう?
よし、あそこにいる門番の方に聞いてみよう。
「あの、すみません。今年から魔法学園に入学する、イブと言います。寮に行きたいんですけどどうやって入ればいいですか?」
「新入生ですね、入学証はお持ちですか?」
入学証って確かちょっと前に届いて書類のうちの一つだっけ。確かこの辺りに入れてたはず……。あっ、これだ!
カバンから出した入学証を門番の方に渡す。
「はい、大丈夫です。寮は門をくぐってまっすぐ行った所にあります。中は広いですのでお気をつけください」
教えてくれた門番の方にお礼を言い、私はいつの間にか開いていた門から中へ入っていく。
「おぉー、噂通り中広い!気をつけないと迷子になりそうかも」
歩きながら、道の周りに沢山咲いている花を見る。綺麗だなー。誰がお世話しているんだろう?
しばらく歩くと、お花に囲まれたオシャレな建物が見えてきた。どうやらあそこがこれから住む寮みたい。中はどんな感じになってるんだろう。
立派な木製のドアを開けて中へ入る。
「あら、新入生かしら」
中に入ったら、奥の方から声が聞こえた。そっちを見ると奥にあるドアからスタイルのいい綺麗なお姉さんが出迎えてくれた。わたしも将来こんなお姉さんになりたいな。
あれ?このお姉さん耳がとんがってる、エルフ族なのかな?初めてみた!
「あらあら、そんなにじっと見つめられると照れちゃうわ」
あっ!他の種族が新鮮で思わずじっとみていたみたい。
「ご、ごめんなさい!」
「大丈夫よ、エルフ族が珍しいのかしら。確かに基本的には森の奥から出ない種族だからね。でもこの学校にはたくさんの種族がいるから、いちいち驚いていたらキリがないわよ。
そういえば自己紹介がまだだったわね。私はここの寮監長のシルファよ」
「私はイブと言います。今日からよろしくお願いします!」
「まぁ、これからよろしくね。はい、これ部屋の鍵よ」
渡されたのは、真ん中に透明の魔石が埋め込まれた小さな鍵。真ん中の魔石は綺麗にカットされていて、すごく綺麗。
「この鍵は卒業まで使う大事な鍵だから無くさないように注意してね」
「はい!」
「じゃあ、今からこの寮のルールについて説明するわ
まず、この寮は男女共同でつかうわ。まぁ部屋に鍵はしっかりついているからそんなにしなくて大丈夫よ。
そしてこの寮は1階から6階まであって、
1階からはみんな共通のリビング
2階はお風呂と食堂
食堂は朝6時から夜の9時まで開いていて、その時間を過ぎるとご飯が食べられなくなるから注意してね
3階から5階はみんなの部屋
イブちゃんの部屋はまだ決まってないし、空いている部屋ならどの部屋を使っても構わないわ。イブちゃんはちょっと早めに着いて、ほとんど埋まってないから好きなところを選べるわ。
ドアについてるプレートに色と名前がついてる部屋はもう人がいるってことだから注意してね
1番上の6階は自由部屋
使いたい日を事前に申請してくれれば自由に使えるようになるわ。その名の通り自由に使うことが出来る所で、最後に元に戻せば好気なように使っていいわ。
あと、寮共用の資料室も6階にあるから覗いてみるといいわ。卒業した先輩達が残していった資料などが置いてあって役に立つものもあるかもしれないわ
(でもみんな適当に置いていってるから、すごく散らばってるのよね……)
そして門限は夜は8時までだからしっかり守ってね。どうしてもなにかある場合は私に連絡すること
今言ったことは部屋に備え付けてある本棚に置いてある冊子にも乗っているから、忘れたらそこを見てね
最後に、今部屋に置いてる家具は仮のものよ。自分の物はきちんと自分で揃えるべきだからね。毎年新入生は入学証を見せれば無料でお店で家具を揃えることができるからきちんと自分が好きなように揃えなさい。卒業まで使う部屋だからね。
もちろんその後にも買うことができるけど自分のお金を使うことになるから今揃えた方がいいわ。
じゃあ、はいこれ地図。家具を揃えるならここで揃えて方がいいわよ、種類たくさんあるし近くにあるからね。
あと、行くとしたら学園で着る用に持ってきた服を着なさい。そっちの方が魔法学園の生徒だって一目で分かるから。
はい、これで説明はおしまい。長々と話してしまってごめんなさいね。
改めて、これからよろしく。イブちゃん」
説明ばっかりで申し訳ないです。
次は家具を買いに行きます。