表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

1話 旅立ち

初めての投稿です

よろしくお願いします

 わたしの名前はイブ。

 今年から王都にあるミレティア魔法学園に通う10歳。

 魔法学園は魔法使いの資質を持つものが通う所。そこで将来の役に立つように勉強する場所。噂では学園の中すごく広いんだって。迷子にならないか心配だな。


「イブ、出来たぞー」


 わたしはおばあちゃんに呼ばれて、読んでいた本を閉じながら慌てて近づいてく。最近ずっと作っていたものがついに完成したみたい。

 完成するまで見ちゃダメって言って見せてくれなかったから、どんなふうなのか楽しみ。


「ほら、どうだい?」


 満足気な表情を浮かべるおばあちゃんから渡されたのは、立派な黒いとんがり帽子。


「わぁー!! ありがとう、おばあちゃん!」


 この黒いとんがり帽子は、魔法使いの証。魔法使いが大事な場面で正装したりする時に使うもの。子供が魔法学園に通う年になると親が作り贈るのが昔からの伝統なんだ。

 子供がその帽子を使うと少しだけ加護がつく。まるで頑張ってって言ってるように。

 わたしはおばあちゃんの子ではないけど丁寧に作ってくれて嬉しいな。おばあちゃんの作ってくれていた帽子をかぶると、なんか暖かい気持ちになる。


 わたしが帽子をかぶって喜んでいるのを見て、おばあちゃんは嬉しそうに笑った。


「サイズもピッタリでよかったよ。この帽子はイブが大きくなっても使えるように魔道具になっているからね。大切に使うんだよ」

「もちろんだよ、ありがとう!」

「ああ、あとこれも渡さないといけないね」


 おばあちゃんから渡されたのは1セットの丁寧に畳まれた服だ。なんだろう?


「学園で着るための服だよ」


 学園では制服という決まった服装はないけど、規定で上が白で下が黒色の服を着なければならない。もちろん上が白で下が黒だったらなんでもいいので形とかもかなり自由だ。上にマントなど上着を来ても大丈夫みたい。

 でも毎年お金持ちの人で服に派手な飾りや刺繍を布の色が見えなくなるぐらいたくさん付けて、先生に怒られる人もいるからあまりやりすぎるのはダメらしい。


 畳まれた服を広げてみると、マント、白いブラウスそして黒のスカートが畳まれてたことがわかった。


「か、かわいい!」


 マントは黒色で縁には金色の刺繍がしてあり、上の部分は金色の星のバッチで止めるようになっている。

 そして白いブラウスはふんわりとした袖で、襟には小さいフリルがついている。さらに黒色のスカートはふんわりとして、両サイドにはリボンが結んであった。


 これを毎日学園で来ると思うと、今から学園がすっごく楽しみ!


「ふふ、気に入ってくれたようだねぇ、よかったよかった。それにしても、あんな小さかったイブがもうすぐで学園に行くのか、寂しくなるねぇ」


 おばあちゃん家は学園から遠いため、3日後には家を出なければ入学式に間に合わない。おばあちゃんとはなれるのを想像して思わず鼻がツンとしてしまったけど、慌てておばあちゃんににっこり笑ってみせる。心配かける訳には行かないもん。


「大丈夫だよ!お手紙たくさん送るから!」

「そうだねぇ、イブからの手紙楽しみにしてるよ」


 思わず大きな声で言ってしまい、おばあちゃんは一瞬目を丸くしたあと柔らかく微笑んだ。




 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆




 ついに今日は出発の日。もうちょっとおばあちゃんと一緒にいたいけど、入学式に遅れる訳には行かない。


 今日は朝早くから、おばあちゃんがお昼のためのお弁当を作ってくれていた。学園はここから遠いから、ほとんど卒業まで家に帰れない。またここに帰るとしたら多分卒業をした後だから5年後になってしまう。5年後って遠いな、やっぱり寂しいよ……。

 そんなわたしを見ておばあちゃんはゆっくりと頭を撫でてくれた。


「ほらほら、イブ、そんな寂しそうな顔しない。もう一生会えないわけでもないんだからね」

「う、うん」


 出発するまで笑顔でいようと思っていたのに、顔が暗くなってたみたい


「それにしても、良く似合ってるねぇ」


 おばあちゃんは、わたしの今日来ている服を見てしみじみと言った。今わたしが着ているのは、おばあちゃんが今日のためにわざわざ新しく作ってくれた服だ。

 白いセーラワンピース、その上にこの前渡してくれた学園用の黒色マントを羽織っている。このワンピース、すっごく可愛い上に動きやすい。もう早速お気に入りだ。それにマントともよく似合っている。


「……イブ、もうそろそろ行かないと入学式に間に合わなくなってしまうよ。もう行きなさい」

「う、うん……」

「たくさん手紙が届くのを楽しみに待ってるよ」


 そう言っておはあちゃんはわたしの背を押し、笑顔でわたしが見えなくなるまで手を振り続けて、見送ってくれた。

 おばあちゃんが見えなくなると、目から涙が1滴こぼれ落ちた。




 ――――そして、1ヶ月後。

 馬車に揺られ、ついに王都に到着した。

最後までお読み頂きありがとうございます


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ