きみの聲
~きみの聲~
ある年の瀬、きみは蘇り
ぼくにしか分からない言葉で こう囁くの
『愛してる』
周りの人たちには理解しがたい 聞くに堪えないその言葉で
きみは懸命に囁くの
『愛してる』
あぁ、なんと心地の良い
ぼくだけは分かるんだ
ぼくだけの きみの聲
~めんつゆ~
おはよう
夏バテを煮詰めたような日だ今日は
茹だる暑さに 唸るきみ
伸びたそうめんが 皿の上で死んでいる
チリン、と風鈴が
数少ない風に吹かれると
あぁ、夏なんだな
当たり前な認識が ぼくの脳裏をよぎる
そんな夏を
きみとふたりで
~縁側に油圧式カワイイ~
脚を放り出したきみ、気色ばむ
自然の法則に従って
交互に往き来する両足 もたれ掛かる体
密着した衣服は 概念と化した
ぼくに伝わる熱量が
ふつふつと ぽつぽつと
きみの口から漏れ出るガソリンで
加熱され
させられ
さらされて
ふしゅー
~ウェルカムな儀式~
ここは異世界 果ての果て
きみの持つその普通は
何にも通じないし
きみの持つその正義は
何ものにもなれない
だからといって 悲観することはないさ
きみを粗末に扱うことはない
きみを傷付けるつもりは さらさらない
大丈夫 何も心配するな
そう言いながらぼくは
きみに刃物を突きつけた