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第一話:追われる二人


 薄暗い洞窟の中、二人の男女が大量のモンスターに追われていた。男は白銀の鎧を身にまとい、剣と盾を持っていた。女はフード付きのローブを着ていて、宝石が嵌めこまれた杖を持っていた。


 二人は必死に足を動かし、迫ってくるモンスターたちから逃げていた。50センチはありそうな大きなハチに、下半身はヘビ、上半身は人間のヘビ人間、燃えるしっぽを持った巨大な犬といったモンスターたちが二人の命を刈り取ろうと追いかけていた。


「走れ!」


 男が女の手を引きながら叱咤する。


「このままだと追いつかれる。戦士だけでも逃げるんじゃ」


 女が息も絶え絶えに声を絞り出す。


「ここまで来て見捨てることなんてできるかよ。良いから足を動かせ!」


 戦士と呼ばれた男は女を励ます。


 しかし……女の顔には疲労が浮かんでいた。もうすぐ走れなくなってしまうだろう。そしてモンスターに囲まれて……。


 なんとかしてこの状況を打開しなければならなかった。


 二人が走っていると、洞窟の壁が狭くなり一人がやっと通れるくらいの通路があった。


「ここだっ!」


 戦士は女を通路に先にくぐらせると、立ち止まり、振り返り、モンスターたちと対峙した。


「ここで食い止める。俺が時間を稼ぐから、魔法使いはここで退魔の香を焚いてくれ」


「わ、わかった」


 魔法使いと呼ばれた女は頷くと腰につけたポーチからゴソゴソと物を探す。


「よっしゃ少しの間お前たちの相手をしてやるよ。俺と遊びたかったんだろ」


 戦士は盾と剣を構えた。不敵な笑みを浮かべながら。


 人が一人ほどしか通ることができない通路。モンスターたちも一斉に襲いかかることができない。ここでなら戦士は鉄壁の要塞となれた。正面のモンスターにだけ集中して、きっちりと防御し、一撃を決めていけばいいのだから。


 戦士は一体ずつ列をなして襲い掛かってくるモンスターの攻撃を盾で受け止め、剣で斬りつける。それは流れるような動作だった。一体ずつ確実に仕留めていく。


 戦士の纏う鎧はモンスターの返り血によって赤く染まった。


「魔法使い、まだか!」


「もう少しじゃ!」


 くそっ。


 戦士が一瞬油断した隙に、モンスターの鋭い爪が戦士を引っ掻いた。戦士は膝をついてしまう。


「戦士っ!」


「大丈夫だ!」


 戦士は剣をふってモンスターの首を跳ね飛ばした。


 「点いたっ!」


 戦士の後ろからツンと鼻をつくような香りが漂ってきた。戦士に襲いかかっていたモンスターたちは、その香りから距離をとるように後ろに後ずさった。


 ……助かった。


 退魔の香によってモンスターたちは逃げ去っていった。この香の効果がもつまでのあいだはモンスターたちも近寄ってこないだろう。


「なんとかなったな」


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