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56話 弓

 村へ戻ると多くの村人たちがログハウスを興味津々で眺めたり触ったりしている。


「おお、ダイゴロー戻ったか」


「ダイゴロー殿!!」


 いきなりリヒトに抱きつかれてしまい思わず荷台を落としそうになる。


「ちょ、ちょっとどうしたんですか?」


「あの大量の食材にあの建物、貴方が来たのは昨日の夜だ!

 何が起きたんだ!? 貴方は神か!?」


「お、落ち着いてください……ちょっと朝早く目が覚めたので昨日聞いたとおり、このあたりを開拓させてもらって、それを作って小屋を一つ取り急ぎ作っただけです。

 あと、これも解体してきたので食料にどうぞ」


 担いでいたハイルシュの肉を降ろす。

 

「内臓は早めに食べたほうがいいので、朝食はこれ使いますか」


 袋に入れておいた内臓も取り出す。やっぱり肝臓とか心臓は新鮮な方が美味しいからね。


「お、いいねぇ! 網用意するぜ!」


「おねがーい」


 トットが荷物から網を取ってきてもらううちに適当に石を組んで火をおこす準備をする。

 木材を適当に刻んで組んで魔道具で炙れば簡単に火が起きる。楽ちんだ。

 あっという間に火をおこすだけでも村の人達はめちゃくちゃ驚いている。

 結構火をおこすのも大変なんだよね……


「もしよかったら皆さんもどうぞ~」


 蜘蛛の子を散らすように各自部屋に戻っていく、食器を持って皆が戻ってくる。

 小さい子達は目を輝かしている。

 手早く肝臓や、心臓あたりをスライスして塩と香辛料を振っておく。

 肉の方も同じように薄く切り出して味付けをする。

 癖が強いので香草は強めに使っていく。


「おまたせ!」


 商人から手に入れた網を火にかけてドンドン焼いていく。

 すぐに香ばしい香りが広がる。

 俺はレバーとかしっかり焼かないタイプなのですぐに半熟で皿に取る。

 リヒトさんに渡していくと皆が我先にと取り合っている。

 口に入れて破顔するのを見ると俺も嬉しい。


「リヒトさん、周囲の地図とかって出来てたりしますか?」


「いや、恥ずかしながらほんとに近い部分しかないな……」


「そうですか……そしたら、午前中は診療して午後は周囲を把握して食材集めしてきますね」


「……ダイゴロー殿!! このリヒト、村を代表して御礼申し上げる!」


 いきなりリヒトを始めオーバルや村人たちが皆土下座をしてきた……


「武士か!? や、やめてください! やりたいからやってるだけですから!」


 なかなかやめてくれないから、それなら出ていきますって言ってやっとやめさせた。

 こういう扱いは嫌いだからもうやらないようきちんと釘を刺す。


「皆さんも早く体調を万全にして、自分たちの村は自分たちで発展させてください!」


 

 診察してみると、基本的に皆栄養失調状態、軽い感染症は多いが、トットの村よりも深刻な病気は少なかった。

 あとでトットが教えてくれたが、あまり重い病気を持つものはこの村には入れてもらえない、もっと奥の村へと行くようにっていう暗黙のルールがあるそうだ。

 仕方ないだろう。

 皆、自分たちが生きるのに必死なので重病人を養う余裕はない。

 出来る限り動ける人間を労働力として村に置くと言うのは、帝国領から近い場所に村を構えた人達の特権なのかもしれない……


 ログハウス建築は部品さえ作ってしまえば村人とトットだけでも1日に1軒くらい建てることが出来る。

 数日すると建築速度は慣れてきたのか上がっていく。

 そして俺はオーバルと狩りに出るようになった。

 

「この先にいると思うんだけど……あ、いた、木の上」


 俺が指示するとオーバルが弓に矢を番える。

 俺はそこから繋がっている紐を握りしめて強化をかけている。

 こんな単純な方法で他人の武器に強化をかけられた。

 ホントに盲点だった……

 オーバルが放った矢はまっすぐと獲物へと吸い込まれて貫通して飛んでいく。


「よし!」


 オーバルはもともと戦士だったので弓の腕も一流だった。

 人間であっただけで奴隷に落とされ、烙印を押されたせいで弓を扱えなくなっていた。

 治療して以前と同じように弓の名手になったオーバルは素晴らしい狩人になった。


「これでライッチョが5匹、ツチブタ一匹、一回戻ろうか」


「はっ! ユキムラ殿!」


 なんか、すっかりこんな扱いになってしまった……

ライッチョは大型の鳩みたいな鳥類でさっぱりとした美味しい鳥だ。

獲物を乗せたカートも木製とは言えタイヤつきの物を作成した。村でも手押し車のような作業用の物をいくつか作成した。

建築班に切り開いた森林に以前と同じように農場も作っていく予定だ。

水路作りも急ピッチで進めている。

やはり、水が自由に使えると色々と捗るのはわかっている。

水のはいった桶で川までの道を往復する生活ではそれだけで大事な時間が過ぎてしまうし、何より農場なんて夢のまた夢だ。


そんなこんなで次の商人が来る日まで俺は村の発展のために協力をおしまないのだった。



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