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46話 腰痛

----------ゴルデ---------------

種族 犬型獣人

年齢 52歳

症状 右足の痛みとしびれ、屈みこむなどの時に強い痛みを覚える。


---------------------------


 ゴルデさんは、少しややこしいがゴールデンレトリバーではなくてラブラドールレトリバーに似ている。

 まだ中年ぐらいの年齢だけど、腰をかばって足を引きずって歩く姿は老齢に感じさせてしまう。


「それじゃぁ、ちょっと触れますね」


 俺はいつも通り手を繋いで全身的な診察から開始する。

 診察を受ける相手はほのかに暖かくなるようで、満腹な性で少し眠そうだ。

 船を漕ぐゴルデさんに少し萌えながら診察を続けていく。


「そしたらゴルデさんちょっと横になってみてください」


 近いところからアプローチしてより詳しい症状を見つける。


「実は真横にはなれなくて、いつもこう横向きにてるんじゃ」


 右側を上にして横になるゴルデさん身体を横にするのも痛むらしく顔が苦痛に歪む。

 そっと手を当てて腰を中心に診察を進める。


「あー……架橋出来てるなぁ……右腹側から軽い圧迫もある……変形性関節症だなぁ……」


「びょ、病名がわかったのですか?」


「腰の骨が慢性的な炎症によって変形していってしまって悪さをしているんだと思います。

 足のしびれは腰から足につながる神経が圧迫を受けているせいでしょう」


「シンケイ?」


「身体を動かす司令を伝える大事なものです」


 出来る限り簡単な言葉で説明を心がける。

 さて、変形性関節症は対処療法が主体になって、根本的な解決が出来ない。

 

 日本でなら、だ。

 ここは魔法が有る異世界なのだ。


「ネズラースちょっと集中するから周囲の監視お願い」


「頼まれた」


 豪勢な焼き鳥したし、魔物や野獣がきてもおかしくない。

 そっちへの配慮はネズラースにやってもらう。

 俺は指先に集中してゴルデさんの体内のイメージを明確にする。

 相手の身体と自分の体をはっきりと魔力で結ぶことで、トットにもやったみたいに相手の体内で魔法を行使する。

 今回は慢性関節炎に伴う過剰仮骨の除去と炎症の軽減だ。

 体の中のシステムを魔法で誘起させる。

 身体の中には骨を破壊するシステムがちゃんとある。

 その仕組を明確にイメージして、司令を与える。

 今回は破骨細胞に不必要な関節を固めるように発生している架橋と呼ばれる部分の排除だ。

 関節の動きが柔らかくなれば周囲への負担も動かした時の痛みも改善するはずだ。

 同時に神経細胞の炎症を抑えていく。

 炎症による腫れも圧迫に悪影響を及ぼす。

 そして、最期が周囲や関連する筋肉の疲労軽減だ。

 悪い部分をかばうために筋肉が無理をして、それが長期間に及ぶ生活ですっかりアンバランスな形になっている。

 それを出来る限り解きほぐして、全体のバランスを取る。

 幾度となく自分の体と向き合いながらやっていた魔力操作は以前とは比べ物にならないほどスムーズに行える。

 まるでビデオの早回しのように見る見る仮骨が薄くなりマクロファージなどに処理されていく。

 これは、ここでしか味わえない感覚だ。

 はっきりといって、面白い。

 トットの背中の回復も異常だ。

 俺は3週間位を考えていた。

 魔法治療楽シス!


「はい、終わりましたよー。どうですかー?」


「くーん……ムニュウ……」


 50を超えた同性中年の居眠りに萌えるとは、異世界怖い。


「ゴルデさーん。終わりましたよー」


「んー? おお、すまんすまん。あったかくて気持ちよくてのー……よっこいしょっと……」


 目をこすりながら身体を起こすゴルデさん。

 いちいち行動が可愛く見えてしまうから獣人の罪深さよ……


「ん……? おお……?」


 立ち上がり恐る恐る身体を動かし始めている。


「あ、あんまりは無茶しないでくださいね。まだ何回かは治療しないといけないですから……」


「おおおおお、おおお!! しびれがない。

 ふ、普通に歩けるぞ! おお! なんと!! すごい!!」


 周りで見ていた村人も驚いている。

 両足でスタスタと歩くゴルデさんの姿を見たことがないんだろう。

 隻腕のワースさんが時々ハラハラしている。

 なんだかんだ、村人同士は優しいんだよね!


「あとは癖になっている身体の使い方を、解きほぐしながら複数回炎症を抑えていけば、いい状態を維持できると思います。ただ、基本的には慢性的な病気なので、姿勢を良くしたりとか柔軟とか運動とかは今後やっていきましょう」


 薬が合成できない以上、リハビリなどが最重要な治療のオプションになってくる。

 そこらへんはしっかりと話していかないといけない。

 

 目の前で長年の持病がウソのように改善して、全員の目が光る。

 

「ハイハイ! 私! 私見てくださいダイゴローさん!!」


 猫型獣人のスフィアさんが早かった。

 バルド、ワース両名を素早く押さえて躍り出てきた。一等賞!



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