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33話 一路東へ!

 道産子のような強靭な馬にまたがりパリトンの街を出発して東へ進む。

 ついでに、この世界の馬具はやや古臭く、一部では馬の体を傷つけかねない仕組みだったので、出来る限り知識をひねり出して馬にも登場者にも優しい物に改良した。

 馬車なんかも揺れが酷く酷いものだったのでタイヤやサスペンションの知識などを広め、昔より遥かに改善している。

 大森林と言うのはこの世界アニモルトの一王国であるこの国フェリカ王国の東に存在する広大な森だ。

 まだ全域の調査は全く出来ていないが、とにかく広い。

 オーストラリアに似た形のこの国の国土の、東三分の一は大森林、そう言えばイメージが伝わるだろうか。

 東の国カナー国にも大森林は入り込んでいて、大森林内の国境線ははっきりしていないそうだ。

 野生の動物や魔物、散在する特殊な文化をもつ村、さらにダンジョンも複数あるだろうと言われている。

 今回向かっているダンジョンはそんな中比較的森の外側に存在していて、さらに森の外とも交流が有るジーリス村の側に発見された。

 森の中は独特のルールがあって、王国内とはいっても治外法権に近いので、あまり権威をかざしての調査も遅々として進まないのだ。

 キンドゥは王国内いたるところにフラッと行ってはいろいろなものを発見して帰ってくるし、なぜか地元住人と大変親しくなってくるので、その後王国と正式に交流を持つようなことも多い。

 結果、王国内で誰一人頭が上がらないのだ。

 仲良くなりすぎて良く後継者争いの火種を作ってもいるのだがね……


「ここからは森の領域だ! 馬は返すぞ!」


 パーティメンバー以外にも帯同者はいる。

 森内部に馬は乗り継げないので、出来なくはないが病気などで使い捨てになる、森の手前で長期キャンプを張って帰りを待ってもらわないといけない。

 ここらへんは大きな組織の強みだ。

 

「それではキンドゥ様、我らはここで帰りをお待ちしております」


 長期キャンプもキンドゥクラスになると魔法によるアイテムボックスを保有しており、大量の資材を利用して村みたいなものを形成できる。

 森にはルールが有り、勝手に木を大量に現地で使用すると揉めることになる。

 きちんと自前の物を持ち込み、森に礼を尽くす。

 こういところもキンドゥの強みだ。


「御武運をお祈りしております!」


 キャンプ班に見送られながら森へと入る。

 何度か来ているが、やはり独特の雰囲気は心地よい。


「ナウパ君は元気でしたか?」


 俺はキンドゥに尋ねる。


「ああ、すっかり大きくなって今では村の自警団の隊長などと抜かしておったわ」


 息子の話をにこやかに話す顔は、すこしおじーちゃんっぽいが、やってることは最悪だ。

 村へ行ってすっかり馴染んで、美人だったから口説いて子供を作らせた。

 まぁ、当人と奥さん(?)が納得してるので何も言うまい。


「まったくキンドゥはこれ以上養育費を増やさないで欲しいニャー」


「無駄無駄、こいつは未だに俺だって抱くんだから! 我慢なんて出来ないって!」


 マジさんはシュッとしてクールな外見とは裏腹に存外言葉づかいが悪い。


「ふにゅー、私も昨日……もーエッチなのはダメですぅー」


 ルペルさ「ちゃんでしょダイゴローちゃん?」……心を読むのは止めていただきたい。

 ルペルちゃんも独特の言葉遣いだ。

 

「流石はキンドゥ様。流石だ」


 ゴーザ君はキンドゥを盲信しているから、流石だぐらいしか言わない。


 こんな感じで、パーティメンバーだろうが、いいと思ったものには止まらないそうだ。

 ユキミに会うまでは常勝無敗だと自慢していた。


「敵意だな、身構えろダイゴロー」


 頭上のネズラースが敵襲を伝えてくれる。

 高性能レーダーみたいなものだ。


「皆さん、森からの歓迎のようです」


「おお、やっとかぁ!」


「ユキミちゃんもう火は使っちゃダメなのよー!」


「わかってるニャ! 私は学ぶ女なのニャ!」


「ああーあんときゃ面白かったからなぁびゃっはっはっは!」


「キンドゥ様がいなければ大変だった……流石だ」


「ユキミ嬢のためなら粉骨砕身頑張るのじゃ!」


 ガサガサと俺達を中心に何かが距離を取りながら移動している。

 この速度、それに数も多い。


「精霊よ、森の精霊よ、その目でその耳で彼の者を示したまえ……あー、こりゃめんどくせぇ。

 狼だが、魔物だ」


 魔物化した者はそうでないものに比べると厄介だ。

 脅しても逃げないし、基本的には全滅させるまで襲い掛かってくる。


「こんな森の浅いところで魔物化か……やはり進んでおるのかのー」


「報告どおりだと嫌なスピードですよね……」


「ダイゴローでも魔物化はどうしようもないニャ」


「あれは病気ってわけじゃないからねぇ」


 そういう危機敵状態であっても普段と変わらない。


「なかなかこないニャ!」


「ユキミー一緒にこいつらのケツに突っ込んでろーぜー!」


「わかったニャ!」


 二人の魔法が開始される。

 それと同時に前線組は後衛3人を囲うように位置取りする。

 どの方向から来てもいいように身構える。

 木を使った頭上からの攻撃にもしっかりと気を払う。


「プラントミューテーション!」


「茨の戒め! くらいやがれぇ!!」


 魔法で変化された植物が魔物たちを喰らわんとその触手で何匹かを捕らえて喰らい始める。

 同時に茨の壁がグルグルと回っている外側にそびえ立ち、鋭いトゲの付いた茨が魔物を中央、つまり俺達に向かって伸びる。

 狼型の魔物たちは仕方がなく中央にいる俺たちに襲いかかるしか無い。


【ギャララララララ!!】


 血走り狂ったように飛びかかってくる。

 待ち構えている俺達に飛びかかってくる。

 この時点で、魔物たちの命数は消えている。


 俺はアッパーで下顎を粉砕し、そのまま蹴り足で刈り取るように地面に叩きつけ、渾身の打ち下ろしで頭部を粉砕する。

 ビクリと全身が震え、魔物が死ぬ時、つまり灰になって消えていく……


 時間差でゴーサに飛びついたものは多分気がついていないだろう、すでに自分が串刺しにされていることを、空中に飛びかかった格好のまま灰になって消えていく。


 キンドゥに襲いかかった魔物も、下段に構えた大剣がいつの間にか背中にしまわれていることに気がつくだろうか? 首が転がってから気がつくのかもしれないな……


「終わりかー?」


「ちっ、なんだよつまんねーな終わりだってさー」


「きゃー皆つよーい、ルペル何もしなくてよかったよぉ~」


「流石キンドゥ様だ」


「おーっし進むぞー、日没前にはジーリスに入るぞ!」


 キンドゥの号令で進み始める。

 その後も何度か敵襲は有るものの難なく撃退する。

 キンドゥの言葉通り、日が傾き始めたころ、夕餉の煙が立ち上がるジーリス村へ到着する。


 そして俺とユキミは食生物食物をもとに戻していないということに気がついて、二人で必死に引き返して往復する羽目になったのであった……

 勘弁してよユキミさん……

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