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蟻は永遠に  作者: ナス
レッツ信仰
8/9

第8話

エンペート王国さん、お疲れさんでした。


まあ、結果から言うとエンペート王国は滅びました。


私がやったドッキリで、国民から国の幹部まで全員気絶、自害、発狂してもう大変な事になってしもうた。


そんなん他の国から攻撃なんか受けたら、滅んじゃうよね。しゃーない。


そんな戦争なんて一方的で、もうつまらん。


エンペート王国は何にも攻撃しないし、相手のビール帝国はただ切ってかかっているだけだし。


分かりきった戦いは見たくないわい!


んじゃ、次はビール帝国にでも行って遊ぼうかな。


そうだなぁ……縛りプレイをしようか。


ただ単にやってちゃ私強いし、人間弱いし、そんくらいしなきゃつまらんもんね。


デンジャラスに行こうぜ、デンジャラスに。



それじゃあ縛り内容は、人間の姿のまま、人間の力のまま、それでいいかな?


一応いつでも元に戻せるようになってるから安心!


よーっし!それじゃあ【人化】あーんど【弱体化】!


ビール帝国にレッツジャンプ!


スキップをしながらニコニコ笑顔を浮かべ私は走っていった。



☆☆☆



エンペート王国が滅んだ。帝国軍の圧倒的な勝利だと聞く。


しかし、おかしい。エンペート王国は軍の力が強い国だったはずだ。こんな小さな国が勝てる国ではない。


一体何が起こったのだろうか。不安がよぎる。


何か、恐ろしい事が起こっているような気がする。ただの杞憂であればいいのだが……。


そんな事を考えていると、笑顔でスキップしている女の姿が見えてきた。


なんだこいつは、頭がおかしいのか。


しかし、女は止まらずにこちらへ向かって来たので、私ともう一人の門番、ギルは女を止めた。


「身分を証明するものは持っているか」


ギルは女に向かってそう言い放った、相変わらず威圧的な態度だ。


そう言われて、女はどこからか冒険者ギルドのギルドカードを取り出した。


この女は冒険者だったのか。私はギルドカードを受け取り、その時ランクが目に入った。


「ランクA!?」


この女は相当な実力の持ち主だったようだ。やはり高ランクの者は頭がアレなのだろうか。


声に出てしまったが気をとりなおして女に向かって言った。


「本物かどうか確認させてもらう」


そう言うと私は魔法を唱える。


「【鑑定】Lv2】」


ーーーーーーー


ギルドカード


名:アリー

ランク:A


ーーーーーーー


本物のようだ。


「よし、入れ」


そう言うと、女は何も言わずに笑顔のままスキップで通り過ぎていった。


変な女だ……。



☆☆☆



やぁ。


んじゃ、目標でも決めておこうかな。


んとーそうだな。


国を滅ぼす……人間の力じゃ難しい。


国王になる……人間の力じゃ難しい……。


ハーレム作る……人間に興味はない。


…………


……あっ!いい事思いついたぜ。


これなら楽しめそうだな。


にっひっひっひっひ……。



それじゃあ行動開始といきますか。



☆☆☆



最近、なんだか街の様子がおかしい。


白い布で顔を隠し、全身を真っ白い服装で身を包んだ者が増えてきている。


はじめは何かの流行かと思ったが、流石に顔まで隠すのはおかしいと思った。


これは……なんだ?


「おい、ギル。なんで白い服をきてるやつが多いんだ?」


私がそう言うとギルは落ち込んだように応えた。


「ああ……あれは白蟻教とかいう宗教の服装だそうだ」


「どうしたんだよ、なんか元気ないぞ?」


私はギルを心配して言うとギルはこう応えた。


「うちの家族全員がそれに入っちまったんだ……家じゃ白蟻教の事ばっかり。起きた時から寝る時まで真っ白い服を着っぱなしなんだよ……」


なんと、そんな事があったとは。白蟻教とはいったい何なんだ、気になる。



私は交代の時間になり、ギルと別れ、家に帰った。すると、いつもは嫁が迎えてくれるのだが、今日は声の一つすらかからない。


もしや、倒れているのではないかと思い、俺は急いで家の中に入った、すると。


居間の椅子に座り、パンを千切って食べている、白い姿。


あれは、私に嫁のメリア……か?


「おい、メリア!何をしている」


私は、怒鳴るようにメリアに言った。


「何って、パンを食べています」


そう言う嫁の声はいつものような優しい声ではなく、非常に不自然な平坦な声だった。


「おい、何があった」


「何があったって、パンを食べていました」


「違う!なぜお前は白い服を着ているんだ!」


私はもう一度怒鳴るように言った。


「なぜって、そうだからですよ」


理由にすらなっていない。非常に不自然で不気味な声が響くのみだ。


私は、今までにないほど恐ろしく感じた。


「出て行け、白蟻教だかなんだか知らないが、そんなもんから抜けてからここに戻ってこい」


私は、変わってしまったメリアを家から追い出そうとした。


ここから出て行ってしまえば、メリアも行く宛ても無く、ここに戻るしか無いだろうと思っていたのだが。


「わかりました、さようなら」


そう平坦な声でメリアは言うと、食べていたパンを置き椅子から立ち上がって家から出て行ってしまった。


予想外だった。なんの抵抗もなくこの家から出て行ったからだ。


私とメリアは結婚してもう10年が経つ、メリアと結婚した時、この家を買った。


メリアもこの家に少しは思い入れはあるだろうし、少しは抵抗してもおかしく無いと思ったが。


しかし、何の抵抗もなく出て行ってしまった。


私は、何も言う事ができず、メリアが出て行ったのを見たまま、その場に立ち尽くした。


私は、喪失感に襲われた。


何故だ……私達は愛し合っていたはずじゃないか。


それなのに何故……。


……白蟻教、それは一体なんなのだろうか。



私は、それを調べるため、メリアの部屋の戸に手をかけた。

見てくれてありがとうございます。

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