プロローグ
もう死のう。何度そう思った事だろう。誰でもいい。私を殺してくれるなら。死ねないのなら強制的に殺してくれて構わない。だからどうか…。
「あと3ヶ月だ…」
椅子に深く腰掛け苦い顔をしながら男が呟いた。
「あと3ヶ月か」
沈み行く日の光を浴びながら窓際で呟いた。
かつて世界は魔王に支配されていた。魔王は横柄な態度を取り人々を次々と魔界の生贄に捧げ世は暗黒時代だった。
というのはある一部の人間の妄想に過ぎない。自分の中の鬱憤や世の中の理不尽さ、不条理さを全て魔王のせいにすることにより、自分達人間を正当化してきた。
しかし実際は魔王が長となることで世界は平和だった。
魔王は人間が好きだった。どうにかして人間と魔物、魔人との共存が出来ないか考えていた。
そして魔王は1人の女を愛した。女も魔王を愛し、2人には子供が生まれた。
「魔物が生まれたぞ…!」
「俺達を皆殺しにする気だ!」
「魔王を殺せ」
「女を殺せ」
裏切り者とされた女は殺された。
魔王は怒りに狂い、この世の全てを、人間を呪った。
「何故なんだ」
「悲しまないで。いつものように笑って?また、会えるから」
女の最期を聞き届けた魔王は子供を魔力の込めた棺に入れた。
「この子が目覚める時、全てを終わらせる」
これはずっと昔の話だ。