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第一章-爆弾低気圧-

「天宮爽、わたしの部活に入れ!!!」

「断るッ!!!!!!」


唐突に突き付けられた要求を

クロスカウンターの如く断る。

反射スピードで言えばツバメ返しより早い。

多分、哲也もびっくりするくらい。


その要求をしてきたジャイヤニズム全開の

相手は、五十嵐晴。髪はながく青みがかった黒髪。よほど手入れをしているのか、艶っぽい。そして何より目立つのはキツそうな目。

例えていうなら日本人形の目がキツい版みたいな。

五十嵐の事は何度か見たことはあった。ルックスで言えば目立っていたし、テスト結果が貼り出された時は常に上位の位置にランクイン。さぞかし人気者なんだろと思っていたが、人とコミュニケーションをとらず常に1人で過ごしていると噂になっていた。

そんな彼女からの突然ジャイアン発言を受けた俺は

拒否宣言をしたものの未だに状況を理解出来ないまま立ち竦んでいた。

なんでこんな状況になったのかと言えば・・・


振られてから一週間。そりゃもう毎日落ち込んでました。

食べ物も喉を通らない、動く気にもならない、勉強する気にもなれない。

寝る前なんて、振られている状況を何度もフラッシュバック。

誰とも話したくないし、もう放っといてよ状態で唯一、夏美とは少し会話するくらい。


「今日、科学の小テストだよねー?」

「そうだなー。」


「勉強したー?」

「そうだなー。」


「そーくん、ちゃんと聞いてるの?」

「そうだなー。」


「全然聞いてないじゃーん!!!」


あっ、これって会話じゃないんですか。

まぁこんな上の空な日々を過ごしました。

回想終了!!

そして一週間後の放課後、突然嵐はやってきた。いつものように帰り支度をして、下駄箱に向かう。周りの生徒たちは、帰りにあそこ寄ってかないなどキャッキャウフフしながらリア充オーラ全開で笑いながら歩いている。

リア充爆発してくんないかなーなんて思っていると、自分の名前を呼び止められた。


「天宮爽だな?」

「そうですけど・・なんか用っすか?」


「このリア充から転落した負のオーラ。間違いない、天宮爽だな!」

「だからそうだって言っただろ!わざわざ人のキズ抉るんじゃねぇよ!ってか何で知ってるんだよ」


「簡潔に言おう。天宮爽、わたしの部活動に

入れ!!!」

「断るッ!!!!!!」


「なぜだ?」

五十嵐の鋭い目から威圧感全開の眼差しを向けられた。むむ、このプレッシャー。ニュータイプか?


「俺は今そんな気分じゃないし、第一部活動には興味がない。」


と、俺が言い終わるかどうかのタイミングで

五十嵐はハガキサイズくらいの何枚かの紙を俺に差し出してきた。


「天宮にとって悪い話しではないんだと思うがな。」


「お前どうしてこんなものを・・・?」

渡された何枚かの紙は写真だった。

そこに写っているのは紛れもなく我輩。

秋葉原のフィギュアショップで食い入るようにロリっ子フィギュアを見つめてる我輩。

CDショップでアニメのDVD(初回限定版、イベント優先券付き特製フィギュアセット)を予約している我輩。他数枚。


「私の部活動は2D部(ツーディメンション)

二次元をこよなく愛する人の為の部活動だ!

どうだ?悪い話しではないだろう?」


そんな言葉は耳に入らなかった。

今まで誰にも話さず隠し続けてきた秘め事。家族にだって、夏美にだって話したことはない。そう、俺はヲタだ。しかも真性の。

漫画、フィギュア、アニメ、ゲーム。

これらに費やした時間、お金は数知れない。

どんな時だって隠してきた。友達がアニメの話しをしている時も、あぁ聞いたことあるけど見たことないとか、興味ないわとか言ってバレないように切り抜けた。なぜかって?

そりゃ世間体が良くないからだ。やれオタクだのキモいだの言われて蔑まれる。学生なんて、それがキッカケでハブられぼっちになり寂しい学生生活が待っている。そうならない為にも絶対にバレないよう、細心の注意を払ってきた。のに。なぜ。泣


「お前...なぜ...俺の秘め事を...orz」


「細かい事はどうでもいい。どうだ?入らないか?」


その細かいことが俺にとって重要なんだけどな。こっちの気持ちも察してよね!ってツンデレっぽくなっちゃった。


「入らない! 俺はぼっち生活なんてゴメンだ!じゃあな!!」

そういって俺は五十嵐の前から立ち去った。いや、逃げ帰ったと言ったほうが正しいかな。


「いつでも待っている、天宮爽!」

遠くの方から五十嵐の声が聞こえた。

そういえば、五十嵐が喋ってる所初めて見たな。













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