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詩集④

君を笑わせるから

作者: 桜ノ夜月

桁の低い点数を、惜しげもなく皆に伝える。


まるで僕は、滑稽な道化師ピエロだね。


―馬鹿だよねー

―あー、本当に良かったぁ。

―笑えるわぁ。


嘲笑わらわれても構わないんだ。


そうすれば皆、幸せになれるって解っているから。



―ごめんねー!



汗ではがれかけた白塗りの顔を


醜い仮面で覆いつくした。

何が正しいんだろう?


何も解んないよ。


解んないな。



僕は人前に出ることが、本当は嫌いで。


本当は独りが好き。


でも、『独りぼっち』は嫌い。


どうやら、大好きな君はそれを知っているみたい。



今日は苦手な綱渡り。


怖いから下は見ないように。


残り数センチで渡り終える。



「…ああ、怖いな。」



でも、客席から不安そうに君が見ているから。


「大丈夫だよ」って笑わないと。


君に心配かけたくないんだ。



―…大丈夫だよ。



あと一歩で渡り終える。


君は笑ってくれているかな?


大好きな君の笑顔がみたいんだ。


横目で見れば、泣いている君が居た。



―…どうして?



バランスを崩して、綱から落ちる。


観客は笑い、歓声をあげる。



早く君を笑わせなきゃ。



―やめて!



君が駆けてくる足音が聴こえる。


そんなに急いだら転んでしまうよ。


冗談めかして教えてあげたいのに、何故だろう?



身体が動かないな。



―…僕は本当は、嘲笑わらわれたくなんてなかったんだ。


皆と友達になりたくて、いつだって笑っていて欲しくて。


独りぼっちになりたくなくて。


気付いたら、僕はこんなに醜くなってしまった。



君はいつだって優しかったね。


「ありのままの姿が、一番綺麗だよ」って。


僕がおどける度に悲しそうにそう言った。



―…すごく、嬉しかったんだ。



瞳を閉じた僕の顔に、君の涙が落ちてくる。


…ねぇ、ありのままの姿が一番綺麗なら。


僕でも、綺麗になれるかな?



「…なれるよ。」



不意に、君の声が聞こえた気がして。


うすくをあけると、涙でくしゃくしゃの君が居て。



「…綺麗に、なれるよ。」


そう言って、微笑んでくれた。



…ねぇ、どうやら僕は。


変わらなくて、良かったみたいだ。


君はずっと、こんな僕を見ていてくれたから。


本当の僕が好きだと言ってくれたから。



―…だから僕は、素直に生きるよ。



君を笑わせながら。


君と笑い合いながら。



助け合って、生きていくよ。



…ねぇ。



照れくさくて、なかなか言えなかったけれど。


ありのままの僕が今、君に伝えられること。



「…ありがとう」



これからも、君を護り続けるよ。



…ありがとう。




感想、アドバイス等頂けましたらとても嬉しいです。

ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました。

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