表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

アラクネ(前編)

以前短編で投稿したアルケニー洋裁店1作目とほぼ同内容です。

長目なので前後編に別れています。

挿絵(By みてみん)



 転生したら半人半蜘蛛の妖女アルケニーだったよ!


 うん、何を言っているのか分からないね!

 私も分からないよ(泣)

 私こと新倉あらくら 志織しおり(24)は、市内の生花店で働いていたはずなんだけど……

 店内に暴走トラックが突っ込んできたところまでは覚えている。

 …

 ……

 …………つまりあれだ。

 転生トラックと言うヤツですね!

 RPGゲームやネット小説などが好きで、ちょいとオタク入っていた(あくまでちょっとだ! 多分……)私は意識を取り戻してほどなく、今の状況を理解した。

 そうか、死んじゃったのか、と。


 だって理解せざるを得ない。


 私の母や姉妹達は上半身は銀髪の絶世の美女(美少女)。なのに下半身は巨大な蜘蛛・・、なのだ。

 私のRPGの知識と照らし合わせれば、「アラクネ」、「アルケニー」等と呼ばれている半人半蜘蛛の魔物にそっくりだ。

 これはどう考えても地球じゃありえないでしょ……

 で、前世にたいして未練の無かった私はあっさりとこの状況を受け入れたんだけど……

 問題は姉妹達がよだれを垂らして私に襲い掛かってくることだ。


 いや、百合とか性的な意味では無くて。


 アルケニーは同時に生まれた100匹近くの姉妹で共食いをして、最終的に強い数匹の個体だけが生き残り、次代のアルケニーとなるらしいのだ!

 実際、生存競争ともぐいに勝ち残った姉妹達は敗者の力を取り込んだかのようにより強く大きくなっている。

 だけど、日本人の意識を持つ私は姉妹を殺して食べるなんて事は出来なくて……ただひたすら姉妹達から逃げ回っていた。

 それでまあ、食事はというと、芋虫やら兎やら山鳥やら掴まえて何とか生き延びてた。

 ……いくら魔物とはいえ、姉妹を食べるくらいなら芋虫くらい食べますよ。意外と美味しかったし。

 だが、当然そんな事をしていれば成長に影響が出る。

 前世の意識を取り戻して一月も経った頃には姉妹達は数人にまで減っており、母そっくりの妖艶な美女となっていたのだが、私はまだ幼さの抜けきれぬ……人間で言えば12~13歳位の外見であった。

 幼い頃の栄養状態がその後の成長に及ぼす影響というのは莫迦に出来ないものがあると聞いたことがあるが、だとすれば私はこのままロリアルケニーとして生きていかなくてはならないのだろうか。

 レベルも(この世界にはRPGみたいなレベルやステータスの概念があるのだ!)姉妹達は軒並み20以上なのに私だけはいまだレベル5……

 ただ、姉妹達から必死になって逃げていたせいか、私の逃げ足と回避の上手さだけは姉妹の誰よりも高いレベルにあると思う。

 そのお陰で今まで生き延びてきたようなものだが。

 だがこのままではレベル差は開く一方……姉達にバリバリと美味しく食べられてしまうのは目に見えている。

 なので、私は、一ヶ月を過ごした森の中のアルケニーの巣から……母と姉妹の元から逃げ出すことにしたのだ……


「やっぱり逃げるなら人間の街かなー」


 私はひたすらお尻から糸を出し、その糸を下半身――蜘蛛の前腕の間に張っていた。

 ある程度の幅になると、今度はその横糸の間を縫うように縦糸を通していく。

 しゅるしゅると出るアラクネの糸は私の意志である程度自在に動くので、機織り機など無くてもきっちりと織られ、布になっていく。

 ……人の街に逃げるなら全裸はまずいだろうと思い、服を作ることにしたのだ。

 絹だって元は蚕の糸だし、蜘蛛の糸でも布が作れないかなーと思ったら、意外と簡単に出来て吃驚した。

 それどころか、私の糸は粘着性の有無も調整でき、下手なワイヤーよりも強靱で絹よりも滑らかなので、考えてみれば外出着にぴったりである。

 等と考えているウチに布が織り上がる。

 1メートル×0.6メートル位の大きさだ。


「これで、えーと……4枚目か。足りるかな」


 私は事前に作っておいた同様の布を手に取ると、それをナイフのような爪で必要な大きさに切り、粘着性と速乾性を持たせた糸を接着剤代わりに他の布と貼り合わせていく……と生成りのワンピースの完成である。

 流石に染色までは出来ないが、それは贅沢というものだろう。


「うん、上出来上出来……」


 マタニティタイプのワンピースみたいに、腰から下がダボダボなのは、アルケニー本来の姿でも人化した時でも破かずに着れるように作ったからだ。

 それでも結構布が余ったから、バッグでも作ろうか。

 旅用の丈夫で大きめの……背負えるタイプが良いかな。

 後は食料。森を出れば狩りで食べるという訳には行かないので、血抜きした兎を3羽ほど私の糸で繭状にして持って行く。

 防腐剤代わりにもなるアルケニー糸マジ便利。

 ……母などは自分を倒しに来た冒険者を糸でパッケージングして保存食にしているほどだ。

 ん、準備はこんなものかな……


 それでは今生のお母さん、生んでくれてありがとう。

 お姉様方……食べられてあげられずにごめんなさい。

 私は1人でも強く生きていきます……


 私は母や姉妹達が居る巣の方に向かって一礼すると、手作りのバックパックに食料と服を入れて森の外へと向かって歩き始めた……。


          ※



 一方、そんな志織を巣の中からその超視力で見つめるアルケニーが数匹。


「娘達よ……シオリは行ったかい?」

「ええ、母様……やっと出て行ったようですわ」

「ううう、シオリたんが……シオリたんが……」

「泣かないでお姉様……このままここに置いていたら……襲っちゃうもの」

「うん、私も自分の本能にあらがう自信ない……食欲面でも性欲面でも」

「あのぷにぷにの肌! きらきらのお目々! ぷるんとした唇! まさに青い果実! 同い年なのに……ああ、やっぱり1回味わってからにするんだった!! 主に性的に!」


 種族的に男性の生まれないアルケニーは、子孫を残す時には人族の男をさらってきて種を搾り取る。

 それ以外の性欲の解消は必然的に同族同士、同性同士となる。

 つまりアルケニーは一族総レズビアンなのだ。

 おまけに母の遺伝子をほぼ100%受け継ぐのでクローンのように皆同じ姿となる。

 その点、シオリの外見は姉妹達とは明らかに違っており……あどけない美少女といったその容姿は姉妹らの眠っていたロリコン趣味を誘発し、過激な愛情表現につながったのであった。

 だが、同時に弱者は食料、という本能もあり、このまま巣に置いておけばいずれ我慢が出来なくなった誰かがシオリの命を奪うだろう。ならば……と、シオリが出て行くのを黙って見送ったアルケニー一家なのであった。


          ※



 さて、その頃私は母や姉妹達の胸中も知らず、ひたすら森の中をアルケニー形態で進んでいた。

 華奢な上半身と違って、蜘蛛の下半身はたくましく大地をえぐり、その8本の足で森を駆け抜けていく。

 疲れもほとんど無いし、上半身にも不快な揺れはほとんど伝わってこない。

 決して足場の良いとは言えない森の中をこれほど快適に進めるのは、やはりアルケニーの8本の足のお陰なのだろう。

 私にしてみればちょっと早足、くらいの感覚で足を動かしているのだが、景色はどんどん流れていく。

 自転車くらいのスピードは出ているかな。

 姉妹の中でも出来損ないの私がこれなんだから……アルケニーの身体能力半端ない。


 ……そういえば、人間形態でも身体能力って高いままなのかしらん。


 うーんと、とりあえず能力やスキルの確認でもしましょうかねぇ……

 人間の街で暮らすなら、そこらへん明確に把握しておかないと、なんか失敗しそうだし。

 アルケニーとして生まれて一ヶ月、正直今まで姉さん達から逃げるのに必死で、能力なんてよく確認してなかったし。

 ちょっと右手の指先に力を入れて『触覚糸』(センサーウェブ)を起動させる。

 すると、するすると目に見えないほど細い糸が一本、私の人差し指から伸びていき、その先端が私自身にぴたっとくっつく。

 途端に私の脳裏にまるでゲームステータスのように浮かぶ、私自身の情報。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 氏名 志織しおり・アルケニー 24歳 女性

 総合レベル 5 

 種族 アルケニー

 クラス 仕立屋ドレスメーカー

 HP  90(MAX90)

 MP  65(MAX65)


 ステータス基本値(LV補正)(捕食補正)

   STR 25 (35) ()

   VIT 25 (35) (+1)   

   DEX 18 (25) (+1)

   SPD 18 (25) (+10)

   INT 13 (18) ()

   MID 13 (18) ()


 称号

  機織り姫

 固有スキル

  魅了、糸、柔糸、回避率上昇(大)、逃走率上昇(大)、

  触覚糸センサーウェブ、ウェブシールド、裁縫、機織り

  捕食、人化、気配察知、

  再生、4連撃(人形態不可)

装備 

 アルケニーシルクのワンピース

 アルケニーシルクの鞄

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 これは私が本能で使えた数少ないスキルで、もちろん他人や無機物にも使える。

 食べ物の毒の有無等も分かるので、この一ヶ月のサバイバル生活中、一番お世話になったスキルかもしれない。

 どうも、こういう風にゲームステータスっぽく見えるのは私の認識に合わせての事らしく、姉さん達は同じ触覚糸センサーウェブを使っても、もっとおおざっぱにしか分からないらしい。

 ……まあそれはともかく。

 クラス 仕立屋ドレスメーカーって……ああ、ワンピース作ったからか……

 おまけにスキルに『裁縫』『機織り』があるし……これならなんとか街でも働けそうね。

 そう言えばアルケニーって、地球の神話だと「神様より機織りが上手い」って自慢して、半人半蜘蛛にされたんだっけ。

 なんか関係あるのかもね。


 「『回避率上昇(大)』、『逃走率上昇(大)』は、姉さん達から逃げまくってたせいかな。『捕食』ってのは……?」


 いまいち効果が分からないので『捕食』に意識を集中すると詳細が表示された。おお、便利。

 えーと、何々……


 『魔力を持つ生物を食べた場合、ある程度ステータスが向上する(恒久)。また、新たなスキルを覚える場合がある。より強い魔力を持つものを食べると上昇率も高い』


 おー……凄いチートっぽい能力。

 それでかー……おねーさま方と私の差は……

 あっちは同族の……魔力バリバリ持っているアルケニー同士で共食いしているんだもんな、そりゃ強くなるよ……

 あ、でも私もステータスに捕食補正がちょっと入っているな。

 ……と言うことは、私がただの山鳥や兎だと思って食べてたのって、魔物の類だったのかしらん。

 まあ、でも人間の街で生活するなら魔物を食べる機会なんてそうそう無いだろうし、気にしないでいいか。

 後は……『再生』は文字通り時間経過で傷が治る能力。時間を掛ければ腕の一本くらい生えてくるらしい。

 流石半蜘蛛アルケニー。これは医者いらずで助かりますね。

 問題は人化した時にどれだけこれらの能力が残っているかということだけど。


「まあ、実際試してみるのが手っ取り早いですねぇ……んしょっと」


 人になーれ、人間になーれ……と念じると、すすすす……と下半身が縮んでいき、すべすべの2本の足になる。

 更には額に赤い宝石のように輝いていた6個の眼(蜘蛛だから全部で8個の目があるのだ!)も、とぷん、と体内に沈んで消える。


「うわー……視覚せまっ!人間ってこんなに視覚せまかったっけ……足も……なんか安定感無くて頼りない……」


 どうも私は自分で思うよりこの一ヶ月でアルケニーの体に慣れてしまっていたようだ。


「で、ステータスはと。『触覚糸』(センサーウェブ)……うーん……気配察知と4連撃が人の体だと使えないのか。額の目や蜘蛛の足に依存するスキルなんだろうからしょうが無いか。他には……STRとVITが25から18になってる……結構落ちてるなー……でも人間の女性ならこんなもんか」


 ブツブツと独り言を言いながら森の中をステータスを見ながら歩く。

 前の世界なら確実に不審者だ。

 そんな私の耳に、それ(・・)が聞こえてきたのは、更に10分ほど経った頃だった。


「……これって……剣戟の音?」


 遠く響いてくる鋼同士の打ち合う音。

 こんな森の中で鍛冶屋でも無いだろうから、人型種族同士の戦闘と考えて良い。


「うーん、どうしよ。介入するべきかな」


 この姿じゃ爪とかの武器も無いから、介入するにしても糸で縛って動けなくするくらいしか出来ないけど……事情も分からないし。

 とりあえずもう少し近付いて様子を見ようか……


「音の聞こえた方はこっちだったな……うーん、人間の足だと裸足じゃ歩きにくいなぁ……後で糸で靴も作らなきゃ……けぷっ!?」


 などと考え事をしながら歩いていると、いきなり私は薮の中から伸ばされた太い腕に首を絡め取られていた。

 そのまま、その腕の持ち主に抱きすくめられる。


「お頭ぁ!こんな所にも隠れていやしたぜ!」


 私を捕らえた男はそう大声を上げて街道の方に手を振った。

 そう、いつの間にか私は森の中を通る街道の近くまで来ていたのだ。

 しかし、こいつ……野太い声に据えた匂い。ぼろぼろの革鎧に目の前に突きつけられた短剣。

 はい、どう考えても山賊か人さらいの類ですね。

 とするとこの男が合図したお頭とやらは山賊の頭か何かか。


「おう! でかした! ちぃっとガキだが、その手の趣味人には高く売れそうな上玉じゃねぇか!」


「やっ! やめなさい! その人は関係ありません!」


 そう私を庇う声をあげたのは、20代前半に見える上等な服を着たブラウンの髪の美女。

 その美女も大柄な盗賊に右手を捕えられている。

 ざっと見て……盗賊は5名位。

 美女の周りには護衛だったのだろう、武装した男が3人倒れ伏している。


「……ええと……状況を確認したいんだけど、あなたたちは盗賊か人さらいのたぐいで、そちらのお嬢様を拉致している途中ということで間違いない?」


 一応確認しておかないと。顔だけで善悪を判断するのもなんだしね。


「ぶっ……ぶははははは! 良い度胸だな娘っこ! それとも怖すぎておかしくなったか?」

「……答えて。間違いない?」

「いひゃひゃひゃ……そうだよ!俺たちはなぁ、泣く子も黙るドーエ盗賊団よ! 分かったら諦めておとなしくしてろよなぁ……大人しくしてりゃ優しく俺が味見してやるぜぇ……ぎゃはははは!」

「け、ナージン、てめぇの趣味は相変わらずだな」

「お、おりゃあこっちの女の方が良い」


 お頭、と呼ばれた男の代わりに、私を捕まえていた男がぺらぺらとしゃべってくれたので助かった。

 これで心置きなく反撃できる。

 なので早速指先から糸を伸ばして私を掴まえていた男の首を縛る。


「くきゃ!?」


 男は何が起きたのか分からない様子で、急に息苦しくなったのどをかきむしる。

 もっとも私の糸は目を凝らさなければ見えないほど細いし、それでいて強度は並のワイヤー以上にある。

 素手で切ろうとしても無理だ。

 まあ、やろうと思えばスパッと首を落とす事も出来るのだが……流石にスプラッタは遠慮したいので糸の粘度を増して意図的に切れ味を鈍らせてある。

 これによって男の気道と頸動脈を一気に締め上げ、意識を刈り取ったのだ。


「ば……ぐ……」


 どさり。

 私は青い顔をして泡を吹き出した男を大地に投げ出すと、残りの4人の方へと踏み出す。


「お、え?お前何をしやがっ……くきゅ!?」

「はひゅーはひゅー」

「いひ、いひができなひ……」

「くっ!てめぇぇぇぇっ!喰らえ!」


 流石に私が何かを(・・・)して部下達を倒したことに気が付いたのか、4人を倒したところで1人残った盗賊の頭は問答無用で背後から私に長剣を叩き付けた。

 流石にその衝撃に私は吹き飛ぶ……が、思ったほど痛みは無い。

 ひょい、と立ち上がって盗賊のお頭の方へ向き直ると、勝ち誇った表情だったお頭が、ぽかんとした表情になる。


「……な、なんで切れねぇ!? 鉄の鎧も切り裂く鍛造仕立ての剣だぞ!」


 戸惑ったような盗賊の頭の声。

 元々この世界のアルケニーの魔物としてのランクはかなり高い。

 母さんなど高レベルの冒険者を返り討ちにして食料にしているくらいだ。

 そのアルケニーの糸で作った服は結構な防御力を持っていたようである。

 かといって服である以上完全に衝撃を殺す訳にもいかず、多少痛いことは痛い。

 なので、盗賊のお頭さんにも糸で頸動脈と気道を締めてお仕置きを敢行。


「へくっ」


 あ、落ちた……くそう、もっと苦しめてから落としてやろうと思ったのに。


「あっ、あのっ……ありがとう御座いました! 魔術師様!」


 あ。奴らに捕まってた女性がいたんだっけ。忘れてた。


「いえいえ、お気になさらず……あと、私は魔術師じゃなくて一介の仕立屋ドレスメーカーです!」

「仕立屋……さん? え?」


 私の自己紹介に、混乱する女性。まあ普通は仕立屋が盗賊退治なんてしないよねぇ。

 盗賊に続いてその女性もが呆けた表情になったのだった。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ