6/7
冴惠の日常(1)
馬鹿が見る。とは、誰が考えた言葉なのだろう。小学生?いやはや、大の大人かもしれない。気づいたら使っていたこの言葉で、どれだけの人が騙されて来たのだろう。
冴惠は勉強で頭がいっぱいになっている頭で、余計なことを考えている最中だった。
目の前には白紙のノートがある。これは国語用だ。そう、彼女は勉強を中途半端にしているのだ。彼女に
「ちゃんとやれよ。」
と言おうものなら、条件反射でこう返ってくるだろう。
「だって、苦手なんだもん。」
彼女自身、それが言い訳だと、分かっているが、分かったところで国語が得意になるわけじゃないのが事実だ。彼女は今、非常に悩んでいる。
(馬鹿が見る)
何というひどいいたずらだろう。