序章
稚拙な文章ですが、楽しんでもらえたら嬉しいです
津々井冴恵は中学三年生の女の子だ。どこにでもいる、普通の女の子。自分でもそう思っている。変わっているのは兄たちだけだと、そう思っている。彼女の兄は二人いる。一人は高校二年生、一人は会社員をしている。高2の兄は今17歳でバスケ部に入っている。彼女自身は吹奏楽部に入っていてトランペットを吹いている。さて、その兄たちだが、ちょっと変わった趣味を持っている。それは、アニオタであるということだ。彼らは普通に感じているが、冴恵にとっては苦痛でならない。特に会社員の兄に関して言えば、23にもなってフィギュア集めをしている始末だ。彼女はそれをとても気持ちが悪いと思っている。この前も新しいフィギュアを買ってきて、彼女をびっくりさせた。どこで買ったのか尋ねると、秋葉原だという。彼女は以前そこへ行ったことがあるが、フィギュアの値段の高さに驚いた。一体いくらしたのだろう。と彼女はその場で不思議がった。それに給料をそんなものにつぎ込むなんてバカバカしいと思うのだった。
彼女には姉もいる。年が会社員の兄より2つ上の姉だ。今は結婚して苗字が変わっているが、以前から家に居なかった。理由は、高校を卒業して上京したからだ。冴恵は彼女をすごく慕っている。半年にいっぺんしか帰ってこないが、いつもお土産を持ってきてくれるのだ。この前帰って来た時も、冴恵の好物を買ってきてくれた。冴恵は末っ子なので、少し我が強い。この前、2番目の兄の一希と喧嘩したばかりだ。と言っても、一希もまた、我が強いのだが。会社員の兄の希夢は温和なので喧嘩にはならないのだが、姉の明音とはたまに喧嘩をする。電話越しだが。冴恵は希夢より明音の方が好きだ。それを本人たちも知っているようだ。だから、希夢の方からわざとそっけなくなったりする。冴恵自身がツンデレなのにそれ以上にツンデレになる。それもそうだろう。明音はシスコンなのだ。希夢や一希にはそんな趣味はないのだが、長女は特殊なようだ。彼女はまだ高校生だった時に家族兼用のパソコンで何やら検索していた。それを冴恵は見てしまった。何やらいけないサイトのようだったが、そこまではよく見えなかった。それ以外で使っているときもあったので何とも言えない。彼女の様子を他の誰かが見ることはなかったので、夜中に何かを検索しているところを見たのは冴恵だけだ。変な家族だと思う。もしかしたら、兄たちと同じくアニオタなのかもしれない。と冴恵は思った。冴恵の親はアニメやテレビを禁止するという厳しい人なのでバレないようにいつもこそこそしている。冴恵に色々発見されてる兄たちは両親に見つからないように必死なのだ。しかし、冴恵がまだ幼稚園生の時、希夢のフィギュアが見つかってしまった。その時、冴恵はドアの端から見ていたのだが、父に怒られているとき、彼は大きく声を荒らげて論理を立てた。すると父は泣き出してしまったのだ。それ以来、父は希夢に逆らえない。希夢が結婚しないのは、フィギュアのせいかもしれないと今では冴恵は思うようになった。冴恵は受験生なのでたくさん勉強しなくてはならない。ましてや希夢は国立大学卒なのだ。プレッシャーがかかる。一希は私立高校に通っている。しかし、冴恵はこの兄が大嫌いなのだ。
「ふう。こんなもんかね。」
冴恵はバサっと原稿用紙を机にばらまいた。中学で家族について書くように言われていたのだ。