プロローグ
さて、突然ではあるが私は死んでしまったらしい。
今私の眼下にはすやすやと眠ってこそいるが、その実全く息をしていない身体がある。
よく考えればこの場合死んだというよりは体に戻れなくなったという方が正しいだろうか?
まあ簡単に自己紹介をすると私はごく普通の、人より少しだけ戦史が好きな日本人だ。
要はミリオタ、もしくは歴オタと言うやつだ。
こんな話をしている間に何か思いつくわけもなく、私はどうしたものかと空中で体勢を変えて遊んでいる。
クロールしてみたり、荒ぶる鷹のポーズをしてみたりと、意外と自由は利くようでなれてしまえば楽しい。
まあ普通に明日も仕事があるので体に戻ろう。
というわけでとりあえず自分の体に触れるべくベッドに向けてクロールである。
もう少しで身体に届く!というところで急に手足が動かなく、いや、何かに後ろから引っ張られるようにして身体が止まる。
恐る恐る振り返れば本棚に私の足が触れている。
先ほどの自己紹介で察せられると思うが、本棚には分厚い歴史書がいっぱい。
つまり間の悪いときに物に触れられるようになって足を引っかけてしまっ……いや本に吸い込まれてる。
原因不明だが私の魂?が本に吸い寄せられているのだ。
嫌だ!付喪神の生まれ方がこれなんてなんか嫌だ!!!
そんな心中の叫び虚しく私は本に吸い込まれてしまった。
目を開けば、私の部屋ではなかった。この先歴史書の付喪神として自分の遺品になって古書店やら何やらを転々とするかと思っていたがそうではないらしい。
少し周りを見渡せば鏡があるではないか、動けるなら確認しよう。
と思い体をよじる……この感覚がある時点で少なくとも私は何らかの生物らしい。
鏡には金髪の赤ん坊が映っていた。
あらかわいい……なんて思っていられるわけもなく周囲を見渡す。
やっと見つけたカレンダーには年と日にちが書かれていた。
1906年 9月28日
………頑張って窓の外を見る。
私が知ってるより大分古い、教科書に載っているような車。
なぜか読める見たことのない言語の看板。
………………
言葉が出ない。どうやらどんな神のいたずらか私は魂を過去、またはそれによく似た異世界に持ち出されてしまったらしい。
とりあえず、夢と信じて眠ることにしよう。
赤ん坊の身体だからか、すごくいい感じに眠れそうだ。
そうして目覚めた朝は私が赤ん坊になったという現実を突きつけてきた。
朝から何やら騒がしいが、この体では確認するのすら一苦労なので大人しく親か保護者の類が起こしに来るまで適当にゴロゴロしようかなどと考えていると誰かが近づいてくる気配がした。
「ハインツ」
今の私よりは大きい、でもまだまだ子供の舌足らずな声が聞こえる。
頭を動かせば声の主と思われる子供と目が合ったので、おそらくハインツは私の名前なのだろう。
この赤ん坊のかすかな記憶だと、この子は確か兄で………名をラインハルトと言うようだ。
多少歴史を知っている私はまともな声出せない幼い体ではなく、心のなかで叫ぶ。
『よりによってコイツが兄か』と。
途中で書かなくなるでおなじみ。正軒です。
違うんですよ。完結させる気はあるけど文章が思い浮かばないんです。
はい。ちゃんと他のも続ける意思はあるのでユルシテ。