表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/28

閃光

 陽が落ち夕闇が迫る中、マリアたちが待ち受けるルナパークに、再び魔物たちがやってきた。

 なんとセーラは巨木に磔にされている。

「おまえたち、天空竜の兜は持ってきたか」

「残念だな。兜はないぞ」

「なんだと? オレの言うことを聞かなかったな。街を全滅させてやる!」

 魔物たちは街を壊し始めた。

「早くやめさせないと!」

「こういうときは親玉を倒すにかぎるぜ!」

 しかし攻撃しようにも、リンガの近くにセーラがいるため手が出せない。

 碧い珠をセーラの首にかけようとしても、容易に近づくことはできなかった。


「何か助けが必要ですか?」

 いきなり声が聞こえたので、三人はあたりを見渡すが誰もいない。

「ここです。もう少し上ですよ」

 なんと声の主は、以前一行が助けた妖精のリサであった。

「リサ! どうしてここへ!?」

「魔物の群れがこちらに向かっていたので様子を見に来たのです。それよりも天使様は一体どうされたのですか?」

「説明は後。リサ、お願い。この碧い珠をセーラの首にかけてきて」

「なにか事情がありそうですね。わかりました。やってみます」


 マリアたちが囮となってリンガの注意を引き付ける。

 リサはその間に珠を持ってセーラの近くに飛んでいった。

 だがリンガに気づかれ叩き落とされそうになる。

 リサはの顔の近くを飛びまわった。

「ええい、うるさいハエめ」

 リンガはリサを叩き落そうとしたがかわされ、自分の顔を殴ってしまった。

 リンガがひっくり返る。

 この隙にリサはセーラの首に碧い珠をかけた。


「やった!」

 しかしセーラは目を覚まさない。

 よく見ると碧い珠は輝きを失っている。

「一体どうしたんだ……」

「多分エネルギーが足りないんだ」

「じゃあどうやってエネルギーをあの珠に入れるの!?」

 しかしその答は誰にもわからなかった。


「あのー」

 またいきなり声がしたので再び三人は驚いた。

 振り返るとどこから出てきたのか、大勢の街の人々がいる。

「あなたたちは天使様のお仲間ですか?」

「え、はい、そうですけど……」

「我々のために戦ってくれている皆さんのお手伝いをしたいのですが、何かできることはありませんか?」


 マリアはふと、魔物たちが夜が明ける前に帰っていったことを思い出した。

 おそらく光が苦手なのであろう。

 倒すまではいかなくても、力を弱めることはできるかもしれない。

「それでは松明などを使って、魔物たちをできるだけ明るく照らしてください」

「わかりました!」

 街の人々はどこかに散って行った。


 三人は時間を稼ぐのため、三方に分かれリンガを攻撃する。

 そして攻撃しては離れるというヒットアンドアウェイの戦法で敵を翻弄した。

 だがそんな中、リンガの苦し紛れの攻撃が運悪くアレフを直撃した。

 マリアは必死にヒールプラスを唱え、アレフを回復する。

 その隙を突かれ、マリアはリンガの手に捕まってしまった。


「マリア!」

「グハハ、こいつを殺ればもう回復はできまい 。このまま捻りつぶしてやる」

「2人とも、今のうちにセーラを!」

「しかしこのままじゃマリアが……!」

「あたしはいいの! 早くセーラを助けて!」

「そんなことはさせん。おまえらは皆殺しだ」


 リサがリンガの大きな瞳に向かっていったが、リンガの吹雪で吹き飛ばされてしまった。

 リンガはマリアを握った手にさらに力を入れる。

 カイがブーメランを投げつけたが、リンガは頭の角で払いのけた。

「あきらめろ。おまえたちはここまでだ」

「くそ、こうなったら閃光呪文であいつを!」

「よせ、へたに攻撃するとマリアが貫かれる」

「……ちきしょう!」


 ふと気がつくと周りが明るくなっていく。

「この光は?」

 見ると大勢の街の人々がその手に松明を持ってやってくるところであった。

 松明の明かりがリンガを照らす。

 リンガはその光に、思わずマリアを落としてしまった。

 すかさずカイがマリアを助けだす。

 そしてどさくさに紛れてマリアの豊満な乳を揉んだ。

 だが反応すらなくマリアの体は既に満身創痍であった。


「セ、セーラは……助かったの……?」

「マリア、こんなときまで人の心配をするのか……」

「マリア! ヒールを使え!」

「もう……長い呪文は……だめ……みたい……」

「誰か! 誰かヒールを使える奴はいないのか!」

 アレフが叫ぶが街の人々は黙っている。

「我々にできることはこれだけだ。鏡を持て!」


 街の人々は松明に加え、大小様々な鏡を持ってきて頭上に掲げる。

 さらに強力な光が魔物たちに降り注ぎ、魔物たちの目が眩ませた。

「カイ、アレフ……今のうちにあいつを倒して……」

「マリア、すまん……俺にはできない!」

「セーラ、お願いだ! マリアを、マリアを助けてくれ! もうセーラしかいないんだ!!」


 だが無情にも、カイの願いは届かなかった。

 碧い珠の光は戻らない。

「おそらく、光だけじゃダメなんだ……」

 アレフが呟く。

「天使様の体が……なんだか薄くなってきたような気がします……」

 リサの言葉通り、今まさにセーラの力が尽きようとしていた。


 そのとき……突然街中が青い光に包まれた。

 数人の街の若者が青い光を放つ大きな鏡を運んできたのだ。

「おお、見つかったのか!」

「ええ! でも本当にあったんですね。この聖法鏡」

 松明や鏡の光を受け、聖法鏡は魔物たちに青い光を浴びせ続ける。

「もう少しだ。もう少しで魔物たちを倒せるぞ!」

「こ、このオレを眩しがらせおって。これでも喰らえ!」

 リンガは持っていた小刀を聖法鏡に投げつけた。

 鏡は割れ、街を包む青い光は消えてしまった。

 あたりを再び闇が襲う。

 もはや人々には絶望しか残されていなかった。


「手こずらせやがって。とうとう観念したか。オレは優しいからな。一瞬で殺してやるぞ」

「リンガ様! どこからか光が!」

「なに!?」

 反射的にリンガがセーラの方を見ると、碧い珠が今までにない明るさで輝きだした。

 再び青い光があたりを包み始める。

「バ……バカな」


 遂にセーラは目覚めた。

 その全身が青く光っている。

 魔物のほとんどは、その光で消え去った。

 セーラは磔の縄を引きちぎり、すぐさまマリアのところに駆けつけヒールを唱える。

 マリアの傷が一瞬で回復した。


「みんな、ありがとう。みんなの、街の人たちの祈りが聞こえたの。後はまかせて」

 碧い珠の力の消耗が激しいため、アルメリアでのバルガ戦以来封印していた家宝の斧を、セーラは担いだ。

 セーラの攻撃はすべて会心の一撃となる。

 リンガも光の中必死に反撃する。デバフ呪文を唱えその後強烈な一撃を加えてくる。


 マリアがバフ呪文で援護する。

 さらにカイが閃光魔法で攻撃し、アレフがリンガの強靭な身体を刺し貫いた。

 そしてセーラの会心の一撃がとどめとなった。

 断末魔の悲鳴をあげてリンガが膝をつく。

 リンガを倒した。


 セーラが街を見ると既に全滅している。

 セーラは申し訳なくなって街の人々に謝った。

「あの、助けてもらったのに、街を守れなくてごめんなさい」

「いや、地下の街が残っていれば、地上はすぐ復興しますよ」

「地下の街?」

「ああ、ここは本来地下の大きな穴を利用して作られた街で、上は主に新しく来た人が住んでいたんですよ」

 一行は驚いた。


「そうそう、お渡しするものがあります。ずっと地下に保管されていました」

 それは羽根の装飾があしらわれた美しい兜であった。

 セーラが兜を持つと碧い珠と兜が光り出す。

 セーラは天空竜の兜を手に入れた!


「さてみなさん、今日は宿屋でゆっくり休んでいってください」

「わーい! セーラー、お風呂入ろー」

「ええ、入りましょう」

 死闘を生き延びたマリアたちは肩を貸しながら宿屋に入って行った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ