決意
「いってきます」
「いってらっしゃい」
外に出ると、昨夜までの大雨が嘘だったかのような青空が広がっていた。
雨は雨で好きだけど、やっぱり晴れ空は気持ちがいい。
特に、昨日まで雨だった次の日の晴れは格別だ。雨で洗われたような清々しさがある。
今日は、さらに心地よい風まで吹いていて、気持ちよくて最高だ。
自転車をこいでいくと道の脇にあるゴミ捨て場に女性が一人、かがみ込んで何かしているのが目に入った。
ーーなんだろ?
ゴミ捨て場を脇を通り過ぎる瞬間、目をやると、その女性は大きい針と糸らしきものを持って、手をせっせと動かしていた。
ーーうわっ、すごっ、尊敬。
その女性はゴミ捨て場のネットを一人で繕っているようだった。
ーー自分でやってるにしろ、誰かに言われてやってるにしろ、みんながあまりやりたがらなそうなことを、一人で黙々とするなんて凄い。尊敬する。
ーー私もああいう人になれるよう頑張りたい。
そんなことを内心考えながら進んでいくと、横の道から同じ学校の最上級生らしき二人組が現れた。
その二人は狭い道路の端で二列に並びいちゃいちゃし始める。
そのせいで自分のペースで前に進むことができない。
目の前の二人の進行速度が遅いわ、目の前でいちゃつかれて気まずいわで、私の我慢の限界は割と早く訪れ、二人組を追い越すことにした。
二人の脇をできるだけ速く、見ないように通り過ぎながら、私は心に決めた。
ーー私が将来、誰か付き合う人ができても、道に広がっていちゃつくようなことはしないようにしよう。ゴミ捨て場のネットを繕えるような人になれなくても、
それならできる。はずだ。