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別れてから書く日記  作者: ミキ
4/4

決戦前夜

先週末、彼女と話してきた。

正確に言うと2回話した。


元々土曜日に映画を見に行く予定であった。

久しぶりに彼女に会う。

彼女から別れるときに言われた

「将来また付き合っているかもしれない」

リセットしてお互い初めからやり直そうの真意を聞きたかった。


この日を迎えるまでしんどかった。

職場で顔を合わせるのも辛かった。

「こいつは他の男と仲良くなっているからではないのか」や「なんでこんなに俺が苦しまないといけないんだ」などどす黒いドロドロ舌感情が重くてしんどかった。


木曜日あたりに彼女からラインが来て

当日どうするかなどを話した。

私は再スタートの気持ちでいたから、映画のあとは二人で話したいとラインで伝えた。

そしたら彼女からは「ヨリを戻すのは無理」と返信があった。


どういうことか。

あーなるほど。「今は」ヨリを戻すのが無理ということか。

私もすぐにヨリを戻そうとは思ってない。しんどいけど、友達からやり直したい。そう思った。


金曜日、彼女からラインが来て、映画のチケットを予約購入した。私からは映画の前に喫茶店でお茶をしたいと伝えたり

ここから再スタートだ。

そういう気持ちだった。

服装も念入りにして、ワックスも用意し、今できる一番の自分を整えた。


土曜日

映画の時間は15:00からだった。

喫茶店に14:00集合だったので、少し早めに出ようと思って服を着て、靴を履いてるときにスマホを充電したままだったことに気づいた。

部屋に取りに戻ると彼女からライン通話の不在着信があった。

そのあと彼女からもラインのメッセージがあり見てみると

「今日は午前中の会議で予想以上に疲れたから映画をキャンセルしたい」


え?

どういうこと?

焦りと苛立ちが沸き起こる。

彼女に電話すると、メッセージと同じように疲れたから映画をやめて話だけしたいとのこと。

チケット買ってるよ。どうするんだよ。

せめて映画だけでもいこうよ。

でもこれからのことを考えたら彼女の気持ちを優先させようと思い、「わかった」と伝えてキャンセルできるか調べてみた。

結果は「いかなる理由であれ購入したチケットは返金できません。」と書いてあった。


彼女にもう一度電話で伝えて、代替案として、とりあえず今日は映画に行き、話し合いは明日するのはどうかと伝えたら

「それは無理」

はっきりと言われ、苛立ちが心の中に募っていく。


なんやねんこいつ。

今日無理って言ってるのはそっちじゃないか。

でもこれから再スタートだし、彼女優先彼女優先…と思いつつ

「わかった。映画は無しにして話そう」と伝えようと思ったが、正直見たい映画だった。チケットも買ってる。だが彼女優先でいきたい…どうしようかと悩んでいると彼女からラインが来て


「帰宅して落ち着いたから、映画いける」

なんやねんこいつ。と思いながら行けることに安堵した。

映画見に行ったあとはどういう感じの噺をするかも入念に考えて、メモしておいた。

彼女と私の気持ちをすり合わせて復縁に向けた話しをしようと思っていた。

私も彼女に「僕に伝えたいことがあれば、その思いを言語化しておいてほしい」とラインした。


そうと決まればすぐに家を出て映画館に行って彼女を迎えようと思った。

なので彼女から映画行けるラインを見てから、すぐに家を飛び出し映画館に向かった。

映画開始の30分前に着いた。

彼女とは20分前に待ち合わせの予定だった。


20分前…あと10分。長い…あまりにも長い…

トイレに行き髪型を何度も確認する。服装や雰囲気も変でないか確認する。気持ちも落ち着かずソワソワする。

そしてついに20分前になった。


なったが…彼女は来ない。

エレベーターが開くたびに彼女がいないか確認する。


いない。

何かあったのかな。少し遅れているのかな。

気づけば上映15分前になり入場が始まっていた。

まだ来ない。

とりあえずあともう少し待ってみよう。


すると彼女からラインが来て、

「家出るのが遅れた。」

とのこと。

まぁ仕方ないね。

「今エレベーター待ち」

と続けてラインがくる。


ついに来るのか。ドキドキしてくる。エレベーターから少し離れたところで立って待つ。

エレベーターが到着して開いたら人影の奥から彼女が出てきた。


「遅れてごめん」

「いいよ」

そう伝えるやいなや彼女は

「ごめん。ちょっとトイレに行きたい」

足早にトイレに向かい、彼女が出てくるまで待つ。

どことなく他人行儀な印象を受けた。

なんだろう。

まあ後で聞いたらいいか。そのためにこの3週間苦しんだんだ。

トイレから出てきて彼女と一緒に席に座る。


「午前中の会議で疲れたん?」

僕が聞くと彼女は

「疲れた。」

それだけだった。どう疲れたとか聞くのも申し訳なかったし、会話はそれで終わった。

間もなく映画が始まった。


思っていたより良い映画だった。

噛めば噛むほど味がでるスルメのように、考えれば考えるほど解釈が広がる映画だった。


彼女とこの思いを共有したい。

このあと話すんだ。復縁に向けた友達関係構築のための距離感を。

そう思うと心が苦しかった。途中何度か映画にも集中できなかった。


映画が終わり、デパ地下で晩御飯を買おうと伝えたら、お腹はあまり空いてないとのこと。

苛立ちがまた募る。

いつも彼女の重そうなカバンを僕が持ってたことが多いから、いつものクセで「カバン持とうか?」と言うと大丈夫と一言だけ。

なにこれ。

とても雰囲気が悪い。あまりにも他人行儀すぎる。

友達ですらない感じだ。

これがしんどかった。

私の中で彼女へのドロドロした気持ちや、苛立ち、そしてそれらを合わせても余りあるくらい彼女と復縁に向けた話ができるという希望が入り混じっていた。


デパ地下で惣菜を一つだけ買う。

それを二人でたべ様となった。

彼女にはどっちの家で話すかと聞いたら「どっちでも」と冷たく言われた。

また苛立ちが募る。

正直どうしようか悩んだ。

結局彼女の家で離そうと思い伝えた。


電車で帰り、家から彼女の家へ向かう。

いよいよ決戦だ。

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