1話 序章
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これから連載を続けていくので、よろしくお願いします。
武術や剣術によってその個人の格が全てが決まる世界。
唯一無二の掟は『強さ』。
「強ければ偉い。何をしても許される」
強い者が権利を持ち、弱い者が差別を受ける。
それが当たり前の光景だった。
王国はそれらの歴史を良しとはしなかった。
差別をなくすためにいろいろな手を王国は使った。
しかし、未だ改善されていない。
「弱いやつらは俺らのいうことだけ聞いてれば良いんだよ」
この学園はクラス制が採用されている。
一番上にいるのが生徒会。
この学園の特級階級を担っている。
その下に風紀委員。
その下にA組からF組と並んでいる。
もちろん、そのクラスも強さごとに決まっている。
B組の生徒がE組の生徒に対して殴るし、蹴るし。
「こいつ泣いてるぜ」
廊下にぐったりと倒れているE組の生徒。
B組の生徒たちは、自分の力を見せたいのだろう。
「おいっ!そこのお前ら!何してるっ!」
その言葉が聞こえた瞬間、E組の生徒も、B組の生徒たちもビクッと反応し、その言葉の方を振り向いた。
こっちを睨みながらゆっくりと向かってくる女性。
「げ………生徒会長だ」
生徒たちを管理し、最も上と称される生徒会。
その中でも一番偉い役職。それは、生徒会長だ。
この学園の中で実質的に最高権力を持っている人物。
虐めていた側は慌てて逃げていく。
「大丈夫か?」
ゆっくりゆっくり威圧感を出しながら生徒会長は向かってくる。
そして、虐められていた生徒の方に歩みゆる。
しかし、その男子生徒は助けてもらったはずなのに顔は真っ青。
「ご、ごめんなさい」
さっきも言ったがこの学園……だけではない。
この世界ではいじめと言われる行為頻繁に起こる。
普通のことだ。
どんなに優しさを持っている生徒会長の彼女であろうとも、力の持たないE組の生徒にとっては恐怖の対象でしかない。
「もう……いいから。帰っていいよ」
本当は嫌われたくないし、平穏な生活を送りたい。
しかし、こんな世界を変えたい。
彼女にとってその考えは揺るがない。
あの方たちともう一度、出会うために。
※※※※※※
【アスファーリア】
この王国……いや、この世界を変えた伝説のチームだ。
特に有名なメンバーはリーダーのユウとサブリーダーのジンだ。
二人とも強さは、皆が言う。[壊滅的]だと……。
「戻るか……」
生徒会長は生徒会室に戻る。
彼女もこの学園のトップ。
実に忙しい身なのである。
早く戻らないと副会長に怒られてしまう。
「帰ったぞ」
「会長……仕事は?」
副会長はニコニコしている。
この表情をしているときはいつも怒っているという合図だ。
生徒会長は、真っ青な顔をして謝る。
「ごめん……」
「まぁ……いいけど。はいっ!この書類、見といてくださいね」
副会長はまだ、ニコニコしている。
助かに行く前よりも増えた書類の山を渡される。
「ふ、増えてないか?」
「もちろんです。サボってたんですから」
こうなった副会長は、何を言っても聞く耳を持たない。
「やりますよ……」
生徒会長はしょうがなく次々とハンコを押していく。
量が多すぎるため早くやっても減る気配が見えない。
「終わりそうも……ないんだけど」
「そうですね……まぁ、終わるまで帰れないけどね」
「ですよね……」
休む暇なく、ハンコを押していく。
そこで、1人の少年が写っている資料が目がいく。
「副会長……これおかしくない?」
「どれですか?」
その少年の資料を見る副会長。
その少年の経歴がおかしいのだ。
生まれた年しか書かれていない。
「おかしいですね……」
現に経歴が不透明なは人はいる。
王家や貴族などお偉い方たちだけなのだ。
しかし、その少年の名前は見たことがない。
「逆木原悠一君か……」
その少年のことだけは覚えることができた。
こんな異常な生徒が普通なわけがない。
そうは思うが、編入試験の結果を見て驚愕した。
「編入試験、ビリ……」
生徒会長は呟いた。
この少年の成績は、100番。
入れただけでもすごい。
「生徒会長……きになるのはわかりますけど、明日は編入式です。さっさと終わりにして帰りましょうよ」
手伝ってくれればいいのに……とか思う生徒会長。
だが、副会長も忙しそうだ。
「わかったよ……」
そして、生徒会長はまたハンコを押し始める。
だいぶ押したのであと少しのところであることに気づいた。
「あれ……?他の奴らは?」
生徒会は全員で5人だ。
しかし、今生徒会室にいるのは生徒会長と副会長のみだ。
「今さら、気づいたんですか?」
ここに戻って来てからもう20分は経っている。
それなのにいないことにすら気づいていなかった。
「まだ……怒ってる?」
「いや……怒ってませんよ」
まだ、ニコニコしている。
怒っていないと言ってるが絶対に怒っている。
「ど、どうして他の奴らがいないんだ?」
「……帰りましたよ」
「え………」
驚いて大声をあげてしまった。
副会長はうるさそうな顔をしながら耳を塞いでいる。
「驚くことじゃないですよ……今何時かわかってますか?」
そして、生徒会長は腕時計を見る。
そこには、18時30分とあったのだ。
「マジか……」
こんなに時間が経っているとは思わなかった。
「そんな声を荒げるからみんなから怖がられるんですよ」
余計なお世話だ。
「そんなことより、早く終わりにしてもらえませんか?俺も早く帰りたいです」
厳しいが、優しい副会長。
みんなは副会長だけが待っていてくれた。
「ありがとう……感謝してるよ。副会長」
「なっ……//」
珍しく照れる副会長。
ハンコの押し続ける生徒会長。
そして、それから15分くらいして今日やるべき仕事が完遂した。
「帰ろうか……!」
「はいっ!」
そう言い、俺らは家に帰った。
生徒会長はすでにさっきまでの少年のことを思い出すことなく、寝床についた。
どうでしたか?
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