英雄の剣
オーガロードの戦いから数時間が経ち俺たちは再び町へ帰るとこに、オーガと戦って倒れていた冒険者たちも皆無事に元に戻ったみたいだ。
ひとまずこれで一安心した俺はギルべへ行くことにした。
「今回の賞金結構ありそうだな」
「そうね、相当強かったものね」
戦いを終えたあと軽い気持ちで会話を弾ませていたが俺にはまだやるべきことがある
「そう言えば蒼馬、あなた武器を持たずによくオーガと戦ったわね」
「まぁな、あの時は魔力があったから"コネクト"で武器を生み出して戦うことが出来たからなぁ」
「なら、武器はいらないということかしら?」
「バカ言うなよ、武器を取り出すためだけに魔力を使ってたんじゃいつか魔力が尽きて勝負どころで負けてしまうかもしれないだろ?となれば武器は揃えておく必要があるな」
そう、俺には武器がない。
生身で敵と戦うとか馬鹿なことしているがそれもこれも全て"神の力"のおかげ、俺が生きていられるのも俺自身の力じゃない。
だから俺は決めた。神の力がなくても戦えるくらいにはなりたい。
「待った!それより先に報酬を受け取るわよ」
「それもそうだな」
話を続けているうちにギルドへ着く。すると冒険者たちがなにやら騒いでるみたいだ
「おい蒼馬!てめぇオーガを倒したんだってな!」
「蒼馬さんオーガを倒すなんてさすがです。」
「今日は宴だぜ!!」
やかましい、だが嫌いじゃない。
どうやら俺がオーガを倒したことで冒険者たちが宴を始めているみたいだ。
(俺1人で倒れせるのは当たり前のことなんだがなぁ…)
「よく倒せたな!」
「当たり前だ!俺一人でどんな敵でも倒せるに決まってるだろ!」
「さすが蒼馬だな!」
なんて会話を続けながら受付のところへ向かう
(自慢話はたまらんなぁ…)
自分で自覚するほどイキって言うそれが楽しくて仕方がない。
「オーガ討伐お疲れ様です。こちら報酬の300万マイルです。」
(300万マイル!?この街でそんな報酬を出すやつなんて滅多に居ないぞ…)
コソコソ声が聞こえてる、それくらいあればしばらく暮らしていけるからみんな羨ましがるのは当然か
ところでお金の価値だが他の冒険者の話を盗み聞きした情報ではあるがどうやら俺が転生する前の日本と同じくらいの価値みたいだ
そのまま報酬を受け取り次に目指すところは武器や、
ずっと"学生服"で戦っているから最初の頃は他の冒険者たちにも変な目で見られていたが今となればこれが普通だからなんも気にすることはなくなった。
武器屋に着くと色んな装備品が並べられている
「おお、結構あるんだな」
「見た目によらずかなり揃っているのね」
外から見たらあまり大きくない作りだが中に入ると武器から小道具・ポーションなど色々揃っている
「お客様なにか購入されるものがあるのですか?」
軽い武器をそろてるだけで俺は満足だから、あとの余ったのはとりあえずアマリスに渡すか、
(どうしようか…駆け出しの町とは言っても武器屋はかなり丈夫そうなものばかりだ)
「ここのいちばん高い武器をくれ!」
「かしこまりました。こちらの武器なんてどうでしょう
お客さんのレベルに合わせて強くなりますよ。お値段100万マイルになります。」
「たかっ!!」
どうやらここではこの武器がいちばん高いらしい。
強そうな武器だがこんなのに100万マイルも使えそうにないな
「安心してください。実はこの武器元英雄でもあるエドワード家の長、イーリオス様が使われていた武器でございます。あの御方は火炎使いでしたがこの武器は貴方様の力によってどんな属性にも変わります。」
「英雄だと!?」
エドワード家?イーリオス!?
なんでこんな駆け出しの町にこんなヤバそうな武器が置かれてるんだよ!!
「イーリオス様は昔この駆け出しの街で多くの人々を助けていました。別れの印にこの剣をおいていかれました。
"いつかこの剣を持つものが最強目指すように"と、
私も売っていいものかと迷いましたが、」
(これ俺が持っていいやつなのか?しかし、今回の目的は武器をそろえること。鎧とかは正直つけなくともなんとかなるだが俺の金が1/3は削られる。
(くっ…騙されたと思って買うか。。)
「マイドアリ!」
(元英雄の剣が100万マイルで買えたんだ、安いもんか)
俺の武器はこれくらいにしてあとはアマリスに渡す。
それでもまた金は少々余っている。
ふと俺は、武器以外で道具のところを目で見る
「なんだこれ…爆ガン…?」
「えぇ、これは爆ガンと言って当てたものに中爆発を与えるものよ。レシピを見て作ればもっと火力は上がるわ
これもポーションの一種よ」
(中爆発か、かなり良さげな武器じゃんかぁ
値段もいいくらいだし)
買った。
ポーションもいくつか見て買っていく
道具を整理して武器屋を出ようとしたが
「ねぇ、治癒のポーションも必要じゃない?」
アマリスがそう言う。
「いらないだろ!第一俺は死なないし瀕死状態にもならねぇ!」
「うるさいわねぇ、予備で持っておくだけよ。買うわよ!」
「おい!ちゃんと値段見ろよ」
「大丈夫よ。おじさんこれも下さい!」
「はいよ!」
「10個セットで10万マイル!?高いだろ!おい待てアマリス…」
「マイドアリ!」
買ってしまった。
今回のオーガの報酬は全て武器屋にとんだ
お金はもうほとんどない
「どうすんだよ!お金無くなっちまうだろうが!」
「いいわよ。前回の報酬もまだ余ってるし
それに私金ならあるわ」
(そうだった…こいつ小娘だった…)
そう、忘れていた。アマリリス家の娘金はいくらでもあるだろう。これだから小娘は、
他に目的も見当たらずひとまずギルドへ戻りゆっくりすることにした。
「おい蒼馬俺らと飲もうぜ!」
「バカ言うなよ。また酔いつぶれるだろ?」
「遠慮するなよ!ささ、飲め飲め!」
鮭を注がれ俺は少し呆れていたが呑んでしまえばそんなこと忘れて俺は楽しんでいた。
そして、夜になり屋敷に戻る。
眠りにつきあっという間に朝日を迎える
「はぁ〜、やることなくなっちまったな」
「そうね、暇になったね」
緊急依頼のクエストも最近のアナウンスでは無い。近くに湧き出るモンスターもそこまで町へ被害を分けることがないから他の冒険者たちが報酬を元に討伐へ向かっている。俺たちが出る幕なんてない
「ほんと暇だな」
ギルドへ来れば来るほど毎回騒がしきおんちゃんたちが居る。朝っぱらからずっとうるさい
「はぁ、もう昼間だと言うのに。」
「そうだなー」
しばらくしてギルド居る人の数が減り静かになったと思っていたその時扉から勢いよくこちらへ向かってくる人がいる。
「そ、蒼馬さん大変です。他のものがスライムにやられています」
「スライムだと!?」
スライム、そこまで強くない相手だが攻撃がなかなか余らない厄介者。
「わかった。俺に任せろ」
「はい、ありがとうございます、」
急いで駆けつける場所はそこまで遠くはない。
女の子に呼ばれ駆けつけるとそこには大量のスライムが
「くそ!攻撃がぜんぜん当たらないぞ」
「当たらないどころがむしろ分裂して増えているわ!」
「くっ…物理攻撃が効かない。誰か魔法を使えるやつは」
「ダメよ。魔法で倒したとしてもこの数じゃ全部倒す前に私の魔力が尽きてしまう。」
冒険者たちが作戦を立てている間にもスライムたちの攻撃は緩むことはない。
「ぐはっ…」
「うわあぁぁぁぁぁあ!!」
「爆ガン!!」
かなりの爆発音が響く、爆ガンの威力はかなりのものだ
これで10匹ほどは爆ガンの爆風による連鎖で消し飛ぶ
爆ガンはポーションの一種、スライムにも効く
しかし、数はなかなか減らない
「蒼馬!」
「蒼馬さん!!」
「俺が来たからにはもう大丈夫だ!」
そう大丈夫俺は強い。
それでも俺ができる攻撃はせいぜい物理攻撃、魔法も使えるがまだまだ未完成で全てまとめて消すほどの力はない
(属性ポーションもあるが単体攻撃、効率が悪い爆ガンの連鎖による攻撃もかなり時間がかかる、もっといい方法はないのか。。)
「はっ!!」
アマリスの攻撃は地面から出る複数の光がスライムたちを倒していく
「やるなアマリス」
「馬鹿にしないでよ。これでも冒険者だから困っている人は見過ごせないわ」
俺も何か手を打たねばと思ったが何も思い浮かばない、このままではいずれみんなやられてしまうかも知らない。
(スライム風情が…)
かなり危ない状況、すると微かだが声が聞こえた
『爆炎!!』
「なんだ、、?」
爆炎という掛け声とともにスライムたちが一瞬で焼かれ散りとなってく。
俺が苦戦した相手を軽々と全て燃やした180cmを超えるであろう大きな後ろ姿が目に見える、ただ者ではない。
「君たち大丈夫かい?」
「はい、ありがとうございます…」
赤髪に紅い瞳、腰に剣を着けた男性、さっき見て確信した
俺より強いと、
「おっと、見つけた。君を探していたよ倉神蒼馬。」
「なぜ俺の名を…?」
「俺の名は炎紅院。
王将のSランカーさ。」