62
家をぶっ壊してから数時間後、完成した新しい家は前と作りは同じだがサイズが大きくなっていた、中央の階段を挟んで二階三階の左半分をレミアと俺が、右半分をエルサとアルミナが使うエリアにして無駄な部屋を無くしたから部屋も広くなりそれぞれの部屋に一畳程の冷えた倉庫を作ってもらった、一階は前と変わらずトイレに風呂と生活空間の場にして地下は監禁室になった、一体誰を監禁するのか。
「前より住みやすそうですね、部屋に倉庫があるのは非常に助かる」
『そうね、わざわざ何回も取りに行かなくて済むわ!』
「そんなに飲んでるんですか?」
『ふふふ、エルサはオレンジと言う果実のお酒が気に入ったみたいですよ?』
「......これで飲んだくれ女神様が二人か」
まさかエルサまで飲んだくれになってた事にビックリしたがこいつらは苦しくなっても魔法で治すから馬鹿みたいに飲むんだろうなと思う事にした。
その後エルフ達の元に行きミレイルの部族しか使用出来ない転移クリスタルの話しや家の話をするとみんな喜んだが、部族の長は何故か若い水色の長い髪で良い感じに膨らんだオッ...の可愛いエルフの女を一人俺に預けたいと言い出した。
この女は他の友好関係の部族の長の娘で「どうにかこの娘だけでも天使様の側に」と送り出してきたらしい。
『初めまして天使様、私はティアナ、どうかアナとお呼びください』
「アナて......側にと言っても家はどうするんだ?」
『え?一緒に住んで頂けるんですか?』
「ん?痛い子なのかな?」
俺が言ってもいない事を口走るアナは俺と一緒に住みたいと言うが俺は断った、するとミレイルの話を誰かに聞いたのかいつか一緒に住むと言うのは本当なのかと聞かれ本当だと言うと自分も俺に全てを捧げると言い出したが当然そんなもの断ったが部族の長まで頭を下げて来た、ティアナの部族の長は自分と血縁関係にあり部族の生き方は違うが仲が良いのでどうか頼みを聞いて欲しいと言ってきた。
俺は下界の者とは深く関わるなと言われてたからどうしようか悩んでいるとエルサが頭の中に話しかけて来て(神に全てを捧げると言ってるんだから許可しても良いわよ)と言って来た、お前もレミアと同じで覗き魔だったか。
「分かった、それじゃあアナ一緒に暮らそうか」
『本当ですか!ありがとうございます!キャー!』
アナは喜び俺に抱きついて来て胸をグッグッと押し付けて足を絡めて来た、ミレイルと違い積極的に攻めてくるので危うく反応しそうになったが俺は耐えた。
「アナ、一つだけ言っとくが俺は下品な女は嫌いだからな?ましてや人前でこんな事して来る女はあまり好きじゃないから気を付けてくれ」
『はい......すみませんでした...それでは夜に』
「それもダメだ、俺は一人で寝るしアナの部屋はどうにかなるだろ」
その後ティアナだけ連れて帰りエルサにどういう事なのか聞くと神に全てを捧げるなら契約させて誓わせれば一緒に居ても問題ないと説明された、もし契約を破ったら魔物化するらしくなんとも恐ろしい罰だったがティアナはそれを聞いても怯まず契約を結ぶと言い、俺の代わりにエルサが契約してくれた。
『いいティアナ、このイヤラシい魔神に何かされても嫌なら嫌とハッキリ言うのよ、私が懲らしめてあげるからね』
『ありがとうございますエルサ様、でも私はいつでも......』
『......』「...なんだこの痴女は」
『契約のやり方見てたでしょ?破棄するから貴方が契約しなさい』
エルサは契約を破棄して俺に痴女を押し付けようとして来て口論になった、すると三階から下りて来たレミアが契約すると言いそのまま部屋に連れて行ってしまった、まさかと思い俺とエルサがそ〜っと見に行くと倉庫が空になったら俺の所に行って酒を補充するよう指示していた、動くのが嫌だからメイドにしたらしい。
『そういえば貴方、あのリズミィって子の家にも部屋があってそこで暮らすとか言ってたわね、契約してここに連れて来ちゃえば?』
「俺はメイドとか必要ないからいいですよ」
『私が必要なのよ、地下に監禁室があるでしょ?そこに悪魔を監禁して調教してみるつもりだからしっかりしたあの子が必要なのよ』
「監視でもさせるんですか?で、その報酬は?」
『私が叶えてあげられる事なら一つだけ願いを叶えてあげるわ!後は神に仕える事が出来るのが報酬ね』
「......まぁどうするかはリズミィ次第ですから知りませんけど聞いてきましょうか?」
『ええ、お願いするわ!私は部屋の用意でもしてるから』
家の地下に悪魔を監禁するとか何だか嫌な気分だがリズミィは引き受けるだろうか?と思い俺はさっそく新しい能力を使い透明化してリズミィの家の自室に転移した。
転移し部屋の床をトントンと蹴ってしばらく立つと部屋がノックされ、無言で待ってると一声掛けてリズミィが入ってきたが本当に見えていないらしくキョロキョロして『気のせいか?』と言うので近付いてみたが全く気付かれなかった。
能力の確認も出来たので家の前に転移し人に変身してから透明化を解いて扉を叩くと出てきたリズミィは俺を見て笑顔で出迎えてくれたが先程二階に来たか?と言うので知らないと答えといた。
『それでニール、アルミナはどうなった?』
「無事勇者達と合流させて送り出したよ、それよりまたリズミィに頼みがあってな、エルサ様からの頼みだが聞いてほしい」
『女神様から?なんだ聞こうじゃないか』
「アルミナがいなくなって新しく家を立て直してね、地下に悪魔を閉じ込める監禁室を作ったんだがそこでエルサ様が悪魔を調教するからしっかり者のリズミィに協力して欲しいと言ってきたんだよ」
『悪魔を......』
「それで報酬なんだが神に仕える事が出来る事と、エルサ様が叶えてやれる事なら一つだけ願いを叶えてくれるってさ」
『何!それは本当か!?』
「あぁ、どうする?」
リズミィは何か叶えたい願いでもあるのか真剣に考え出した、『しばらく待ってくれ、今考えるから』と言うので炭酸ジュースでも出してやって10分ほど待ってると直接エルサに会って願いを叶えてもらえるかどうか聞くと言うので一緒に魔大陸に転移して戻った。
エルサにリズミィと会わせ『説明するからついて来て!』と監禁室に連れて行ったので俺は自分の部屋の倉庫に好きな物でも補充しようと向かったが精霊が一体外をフワフワ飛んで行ったのを見かけ、俺も魔神なんだから精霊を操れないだろうかと思いレミアに聞きに行く事にした。
レミアは精霊に集まるよう魔力を込めた思念のようなモノを飛ばせば集まってくると言い、指示を出すか頭でイメージしたモノを精霊に伝えれば良いと教えてくれた、試しに一体だけ来るように念じてみたらパッ!と赤い精霊が現れ目の前を浮遊していた。
呼んだらすぐ来る便利道具みたいで微妙な気分になったが、試しにイメージを飛ばすと精霊はレミアの周りをグルグル回り出し俺が差し出した掌の上で輝き出すと木で出来た本物そっくりのレミア像が出てきた。
「おー!凄いですね精霊の力って!」
『ニール、どうして私の像を?......ハッ!貴方まさか!』
「ピンクなのは髪だけにしてくださいね」
『......まぁいいでしょう、それでどうして私の像を?』
「たまたまですよ、しかし細部まで細かく作れるとか凄すぎるな...」
俺が本気で感心していると精霊は喜んでいるのか(嬉しい)って感情が伝わって来てパッと消えてしまった、レミア像を異空間に収納し俺は自分の倉庫に向かった。
しばらくしてエルサがリズミィと共に俺の部屋にやって来たのでどうするのか聞くとエルサの頼みを引き受ける事になり願いも叶えてもらう事になったと言い恥ずかしそうに苦笑いしていた。
『契約の件も話しておいたから、さっそく契約しちゃいなさい、話はそれからよ』
「良いんだな?俺と契約しても?」
『あぁ、問題ないさ』
俺はエルサにもう一度説明を聞きながらリズミィと契約し、契約の破棄の仕方も聞いてリズミィは俺に仕える事になった、恨めしそうに扉の隙間からこちらを見ていたエルフのティアナは無視して話を続ける。
「それでエルサ様、リズミィの部屋はどうするんですか?」
『この部屋で一緒に過ごせば良いじゃない、貴方の契約者なんだから』
「まぁ俺はリズミィとなら問題無いですけど」
『私も問題無いです』
『......貴方どうしたの?嫌がると思ってたのに』
「嫌じゃないですよ?友人ですし美人でシッカリした女は好きですから夜も安心ですし」
『...』
『そう......夜は静かにね?』「するか馬鹿!」
エルサはナニを期待しているのかニヤニヤしながら出ていき、褒められて嬉しいのか勘違いしているのかリズミィは顔を赤くしているし、ティアナは澄まし顔で部屋に入って来てリズミィに近付き挨拶をするとキッ!と一睨みして出て行った、なんだこいつらは。




