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 創造神がアルミナを連れ去ってから数時間後のとある場所の薄暗い部屋の中、創造神は絵本に出てきそうな悪い魔女みたいに原始的なやり方でガラスの容器に何かを入れては混ぜ混ぜして「ヒッヒッヒッヒ」と笑っていた、そして最後に針で自分の指を刺すと血を数滴液体の中に垂らすと紫色に光り出した。

 創造神はガラス容器の下に金色に輝く小さな魔法陣を発現させるとブツブツと呪文を唱え出し、謎の液体がゴボゴボと沸騰しているかのように泡立つと煙になって宙に集まり紫色の小さな光の玉となっていき創造神の手に収まった。




「ククク......完成じゃ....これであやつも...クククク」


『創造神様?そんな事しなくても作れるのに何で時代遅れな事を?それに変な芝居は止めてください』


「なんじゃつまらん奴じゃのう、雰囲気を大事にせんか雰囲気を」




 創造神はこの施設の管理をしている上級天使に注意されつまらなそうに光の玉を懐にしまうと別室に向かい待機していた二人の長身天使を睨むように視線を送ると重苦しい雰囲気を出しながらゆっくりと部屋の奥に進み席に着くと指を差して指示を出した「下界に行き、下級天使ニールを殺せ!」と。




『ホントに酷い神様だな』


『まったくだ、何だあの下手な芝居は』


「ええい!はよう行け!連れて来い!」




 創造神は二人にニールを殺せと命じて酷く驚き慌てる二人を見たかったのに芝居が下手だと言われ馬鹿にされて顔を赤くした、自分では良い演技だと思っていたのだが。

 小一時間ほどして二人は帰ってきたが何故か血まみれで気絶しているニールを抱えていて二人もボロボロの姿だったので創造神は慌てて何があったのかと聞くと長身天使二人は創造神の芝居が下手だったから自分達はどうかと思いニールを迎えに行った時に芝居で『創造神様の命令でお前を殺しに来た』と言い槍を構えて近付いたら全力で抵抗されて戦う事になったと話した。




「何をやっとるんじゃお前らは......」


『いやぁ油断してたらこっちが大怪我する所だったわ!』


『創造神様、兄弟の自爆という技は封印した方が良いのでは?あれは危険すぎます』


「説明すれば戦わずに済んだじゃろうに」


『芝居だと説明したけど全く信用してくれなかったな』


『私達の芝居は創造神様より上手かったようですね』


「......」




 その後長身天使の二人は体を癒やし休むと言って出ていった、創造神はニールの傷を癒やして目覚めるのを待とうかと思ったがこのまま事を済ましてしまおうと思い懐から先程作った紫の光の玉を取り出しニールの胸に小さな魔法陣を発現させると呪文を唱えながら光の玉を押し込んでいき魂に馴染んでいくのを確認してから創造神は魔法陣を消した。




「ククク...お前には悪いがこれも仕方の無い事じゃ、下級天使ニール、いや...魔神ニールよ!」




 創造神は傷だらけで横たわるニールの横で両手を上に広げ高笑いをして一人でまだ悪い神の芝居を続けていた、その後上級天使にニールを運ばせて次は魔王アルミナの元に向かう、アルミナは何もない部屋で巨大な魔法陣の中心に横たわっていて眠らされていた、創造神は魔法陣に触れ呪文を唱えながら魔力を流して行きアルミナの体は魔力の霧に包まれてその身がどんどん大きくなっていき大人と変わらない大きさにまで急成長した後再び縮まり元の体に戻っていった。




「ククク...魔神ニールよ、お前には悪いがこれも仕方の無い事じゃ、後は自分で何とかしてみよ!」




 再び創造神は両手を広げ高笑いをして自分の演技に酔いとても良い気分でアルミナを抱えて別室の檻の中に入れて部屋から出て行った、そして未だ天界に残り待っていたエルサとレミアの所に行き詰め寄る二人に既に事は済ましたから諦めろと言い話をする。




「これは仕方のない事じゃ、ホッホッホ」


『笑い事じゃないわよ、まだ覚醒もしていないのに......』


『それに私達を信じて待ってと言って天界に連れて来なかったニールになんて言えば......』


「実は予定を少し変えての、先程ニールも天界に連れて来て事を済ませたから安心せい」


『事を?』『?』




 創造神は二人の女神にニールを天界に連れて来させ魔神にした事を話した、酷く驚いた二人はニールは何も言わなかったのかと聞くと長身天使との事を話し無理矢理連れて来て勝手に魔神にした事にまた激怒した、我慢の限界を振り切れた二人は創造神に攻撃魔法を撃ち込んだが二人の放った雷は創造神の体に当たると何も無かったかのように吸い込まれていき消えてしまった、二人は驚き魔法を連発するが全て消えていき創造神は手を前に出し見えない魔法【裁きの一撃】を放ち二人の女神は一撃で瀕死状態になり倒れた。




「ホッホッホ、お前達もまだまだじゃのう」




 創造神は高笑いしながら二人に近付き回復させ話を最後まで聞けと言い座らせた、ニールを魔神にさせた理由を話しこれは仕方ない事だと連呼する創造神に二人の女神は青筋を浮かべて我慢した、さっき攻撃した事を不問にしてやるからニールには自分達が話し説得しろと言って笑いながら部屋から出て行った。




『こんな気分初めてよ!なんなのあの爺さん!』


『ふ〜......ふ〜......冷静になりましょうエルサ、私達も怒りで創造神様相手に自殺行為をしてしまいましたが不問にされて良かったと思いましょう......ふ〜』




 エルサは怒りをあらわにし、レミアは息を吐きながら冷静になろうとしていたが握り締めた拳がプルプル震えていた、二人は冷静になってから部屋から出てアルミナを迎えに行き檻の中で眠るアルミナを出してニールの元に向かった、ニールも気絶したままベッドに寝かされていて二人はどうしようか話し上級天使を一人呼んで下界の家に連れて帰る事にした。




「......」


『ニール?気が付きました?』


「......」


『ちょっと聞いてる?......?』




 俺はボーッとする頭で何で部屋にいるんだと考えていた、しばらくして徐々に思考がハッキリしてきてミレイルとエルフの里に行き帰って来てすぐ長身天使の二人に殺されそうになって抵抗した事を思い出した、ゆっくり起き上がり体を見ると何か違和感を感じなんとも言えない無敵感で気持ちが悪い、側でエルサやレミアが声を掛けて来るが自分の体の異常が気になってこれは本当に俺の体なのかと思い試しにエルサの胸を掴んで揉んでみる「うん、柔らかい」エルサは叫び俺は思い切り殴られ壁までぶっ飛ばされオマケとばかりに雷の魔法を撃ち込まれた。




「やはりおかしい、それほど痛くない」


『起きて早々いい度胸ね貴方!』


『はぁ......ニール?気付いたならこっちに来て座りなさい、話があります』




 俺は一体どうなったのかレミアに聞くと創造神が俺を魔神にしたと話し意味が解らないと言うとエルサが怒りながらも説明してくれた、創造神にアルミナはまだ子供だと抗議してたら「だったら大人にしてやれば問題ないの」と言い出してアルミナの体を弄り、ついでに俺も魔神にしてやり抵抗出来るようにしたと創造神は話したと言う。




「抵抗?何に?」


『ニール、貴方が抵抗すれば良いだけよ?だから今までと何も変わらないから安心しなさい』


「だから何に抵抗?」


『貴方なら大丈夫だわ!どうしてもダメな時はちゃんと言いなさい!少しだけなら触らしてあげるから!』


「何処を!?じゃなくて肝心な所を話せ!何に抵抗するんだ!」




 俺に何か隠している二人はきっと大丈夫と言いながらそそくさと部屋から出ていった、俺も立ち上がり部屋から出て追いかけ、一階に下りていくとやたらエロい雰囲気の見知らぬ女が立っていてこっちを見ていた、見た目はアルミナが大きくなって大人びたようなその女は目を赤く光らしたかと思うと何故か心臓がドキドキしてきてその女を触りたい衝動が襲ってきた。




「......なるほど、抵抗ってコレの事か」


『なんで効かない!きぃ〜!』


「舐めるなよクソガキ、今すぐそれを解除しないと頭から岩に突っ込ませるぞ」


『...』




 魂の洗脳が効かず地団駄を踏んでいたアルミナは俺の脅しに素直にスキルを解除して地下に走って逃げて行った、エルサとレミアの話は本当だったと理解して何で創造神はこんな事をしたんだとキレそうになった、エルサとレミアは外に逃げていて俺が出ていくと『どうだった?』と聞いてきた。




「さっきの女がアルミナですよね?問題なく抵抗出来ましたが俺は今非常に気分が悪い」


『そうなの?良かったじゃない!なら今まで通りね!』


『ニール、もし欲情しても私に手を出したら許しませんよ?出すならエルサにしなさい』


「わかりました、そうさせてもらいます」『ちょっと!何言ってんのよ!』




 俺はイラつきながら冗談を言って気分を紛らわせ家に戻って地下に行き、さっきと違い元の子供サイズに戻っていたアルミナにビックリしたが近付いていきとりあえず次あのスキルを使ったら殺すと脅しといた。

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