B-26
城の自室に転移したヒロキはいきなり何処かに転移させられ戸惑っている獣人のパラムにここはミネル王国の城の中だから安心してくれと説明し、ミレイルが部屋に帰ってるか確かめに行くから少しだけこの部屋で待つよう言いミレイルの部屋に向かった、扉をノックして声をかけるとミレイルはすぐに出てきたのでヒロキは事情を説明する。
『そうか、後でリサにお礼を言わなければな、それでそのパラムと言う獣人を何でここに連れて来たんだ?』
「二人の後を追ってニールさんの所に行こうかと思ったんだけどさぁ、こんな時間にリサが面倒事持ち込んで怒らせてたら怖いじゃん?だからミレイルもアイツが居るけど一緒に来てニールさんが怒ってたら一緒に止めてもらえないかと思ってよ」
『.....ヒロキ、私達はいかない方が良い、余計話が膨らむからリサが帰って来るのを待つべきだ』
「いやだってよぉ、ニールさんの居場所教えたの俺だから一言謝りたいんだよな」
『安心しろヒロキ、ニール様は我が部族の守護天使になってくれたんだ、きっとこの件で私達に怒ったりしないさ』
「ホントだな?信じるからな?じゃあとりあえずパラムを紹介しとくわ、なんか勇者の話を聞きたがってたしよ」
ヒロキはリサを城で待つ事にしてミレイルに自室で待たせているパラムを紹介して詳しい事は言えないがケンジを連れて行っている仲間が帰って来るまでここで待ってもらえないかと話し、勇者に何か話があるなら代わりに答えると言い三人で話す事にした。
『勇者が何人もこの世界に来てる事は噂で私も聞いていたけど後継者探しって言うのは初耳だったから一体どういう事なのか知りたかったんだ』
「まぁ簡単に言うと今後魔王を倒す異世界の勇者は現れねーから力を受け継いだこの世界の住人である後継者が魔王を倒せって事だ」
『その後継者は誰でも良いのかい?それに一人じゃなくてもいいのかな?』
『後継者は一人だけだ、私は自分の部族の誰かを後継者に選ぶつもりだが相応しくない仲間に力を託す気は無い』
『なるほど、それじゃあケンジって奴は被害者に嘘をついて金を出させ危険なダンジョンに連れて行ったのか』
「そうなるな、あの獣人の男女もあんな馬鹿のせいで死なずに済んで良かったぜまったく」
『ん?君は被害者を知っているのかな?』
ヒロキとミレイルはケンジと獣人の男女をダンジョンで見かけた事を話し、自分達はケンジとは仲間でも友人でもないと説明してどういう関係か話した、二人の説明に納得したパラムだがその後の雑談でヒロキが自分も後継者にする男の仲間を探していると聞いてそわそわしだした。
『ヒロキ君、もし良かったら私を仲間に入れてくれないかい?』
「急にどうしたよ?」
『私は今治安維持部隊で街の平和を守っているが自分自身そんな暮らしに納得していないんだ、もっと大きな事をやり遂げたいと思っているが理想ばかり大きくて自分の力足らずで何も出来てないのが悔しくて、君の仲間になればきっと私は今より強くなれると思う、だから荷物運びでも何でも良いから仲間に入れてくれないかい?』
「急に言われてもなぁ...」
『良いじゃないかヒロキ、私はパラムのような志が高い者は好きだぞ?』
「いやまぁそうだけどよ、俺が仲間にしたいのは男なわけで....」
その後も仲間にしてくれと言ってくるパラムはミレイルに席を替わってもらいヒロキの隣に座ると体や顔を近づけて『お願い、仲間にして?ね?』と女の武器を使って来られヒロキのアレに近い所の太ももに手を置かれてヒロキは撃沈した、ミレイルに蔑まれた視線を送られたが仕方ない、ヒロキだって男なのだ。
『ヒロキ、一つだけ言わせてもらうが女の武器に弱すぎるぞ』
「しかたねーだろ!俺だってあれだしよ....」
『なんだ?声が小さいぞハッキリ言わないか』
「だー!もういいだろ!くそ!俺はあのクソガキとは違うんだ絶対に耐えてみせるぜ!」
ヒロキは謎の決意を表明をしてトイレに行くと言い出ていった、ミレイルはヒロキはトイレからしばらく帰って来ないだろうと思い仲間になったパラムに本当に仲間になって魔王とも戦う覚悟はあるのかと訪ね女同士で話し合った、その後リサだけじゃなくヒロキもなかなか帰ってこないので夜遅くまで待ってるのも無駄なのでミレイルがパラムをムドの街まで送る事にし、後日治安維持部隊の施設にケンジを連れて行くからその時また会おうと約束して別れた。
「あれ?パラムはどうした?」
『私がムドの街に送ってきたよ、それよりヒロキ、私は悲しいぞ』
ミレイルは城に帰り、戻ってきたヒロキを座らせ『若いから仕方ないがその弱点をどうにかしないといつか痛い目に遭うぞ』とお説教をして明日リサが帰って来てなかったら迎えに行こうと話しそれぞれ眠る事にした、二人が眠ってしばらくしてリサも帰って来たが二人が寝ているのを確認して自分も部屋に戻り眠る事にしたがリサは震えてなかなか眠りにつけなかったので自分自身に睡眠魔法をかけて強制的に眠りについた。
後日、三人は王女の部屋に集まり朝食を食べながらリサに獣人のパラムが仲間になった事を話し、後で紹介すると言って昨日あの後どうなったかリサに尋ねると『天使様の所にあの馬鹿を連れて行くんじゃなかった』と話しだした。
「何があったよ?やっぱニールさん怒ったか?」
『ううん、逆よ逆、初めは揉め事を持ち込まれて嫌そうだったけど事情を話したらなんだかウキウキしだして褒めてくれたよ』
『それでなんでリサはそんな顔して落ち込んでいるんだ?』
『天使様が「なかなかクズが見つからなくて困っていた」って話してついでだから私も経験しとけと言ってミレイルが力をもらったあの場所にアルミナちゃんを連れて一緒に転移したんだけどね、そこでアルミナちゃんに「いいかアルミナ、こんな人の話を聞かないで自分の欲望を満たそうとするクズもいるんだぞ」って言うから私てっきり人の叱り方を教えるんだと思ってたらあの馬鹿を縛りだしてアルミナちゃんに「コイツを拷問しろ」と命令したんだよ』
「えぇ...」『フフッそうか、さすがニール様だ』
リサはその後、ニールがアルミナに強い奴が手加減しないと人は簡単に死ぬんだと教えながら徐々に力を加えさせ手足を折らせたりどの程度痛めつけたら死ぬかの基準を教えていたと話し、ケンジにも「人の話を聞かないで自分勝手にしてるからこうなる」と言って泣いて謝るケンジの両目を突いて潰したと話した。
「そこまでしたのかよニールさん....」
『当然の報いだな、あんな奴普通ならいつ殺されてもおかしくないんだ』
『もちろんその後ちゃんと回復させて元に戻してあげてたけどさ、まさかあそこまでするとは思わなくて連れて行った私がなんだか罪悪感が湧いてきちゃって』
『リサも甘いな、この世界の盗賊は拐った女子供を犯しては玩具のように扱い拷問して殺す奴等もいるんだ、あの不愉快な勇者は盗賊と一緒だ、なにがエルフの奴隷を買って旅をしていただ!思い出しただけでも腹が立つ!』
バンッ!っとテーブルを叩き怒るミレイルを王女と三人で宥め、ミレイルは『ニール様はリサに残酷な場面を見せて慣れさそうとしたんだろう』と話しヒロキやリサより若くて力のある冒険者はみんなそんな場面を見たり体験しているから気にするなと言ってリサを励まし王女も昔大罪を犯した貴族の処刑に立ち会った事があるが自分もああならないようにしようと戒めになって心が強くなったから落ち込まないでとリサを励ました。
『ありがとうみんな、そうだよね、この世界じゃそれが当たり前だもんね私がんばるよ!』
「俺はニールさんが怒ってないならそれでいいけどよ、肝心のアイツはどうしたんだ?」
『あの馬鹿なら私がムドの街に転移して置いて行こうとしたら私達にちゃんと謝罪したいから今日ギルドで待ってると言ってたよ』
『そうか、なら会いに言って捕まえたらそのまま治安維持部隊の施設に連れて行こうか』
その後王女と別れ三人はムドの街に転移しギルドに向かった、ケンジはギルド内の受付け側の椅子に座って待っていたが三人を見て素直に謝罪してきたが治安維持部隊に連れて行くと話したら嫌だと言い出し牢屋になんか入らないと言って逃げた。
「かーーー!めんどくせーなあいつ!どうする?俺達が捕まえる義理は無いけどパラムが待ってるしな」
『放っておけ、自分から罪人になるつもりの馬鹿なんだ私達はもう相手にしないほうが良い』
『私もミレイルに賛成、もういいよあんなのと関わるのは』
「しゃーねーな、なら俺パラムに謝って来るよ」
『私達も行こうか、パラムは仲間になるんだしリサを紹介しなくちゃな』
『ヒロキがスケベ心で仲間にしたのはどんな獣人なのか会うのが楽しみだよ!』
「うるせーな!」
三人は治安維持部隊の施設に行きパラムや他の隊員に事情を説明し逃げられた事を謝罪したが笑って許してくれた、勇者のケンジは人を騙し金銭を払わず危険な場所に連れて行った重罪犯としてギルドで手配される事になり勇者だから死罪にはならないだろうが国からなんらかの罰を受けるだろうと三人は説明され、その後リサとパラムが自己紹介を終え隊員全員からパラムをよろしくなと声をかけられて四人は施設を出た。




