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B-25

「なぁ、一度三人で役割決めて戦ってみねーか?」


『そうだな、それじゃあ私が後ろで回復役と全体を見て指示を出そうか?』


『それだとミレイル一人で危ないよ?、私も後ろに下がるよ』


「とりあえず雑魚で試してみようぜ」




 三人は再びムドのダンジョンに潜り役割を決め戦ってみたがやはり複数を三人で相手にするのは前と後ろに分かれても厳しいと思った、ゴリ押しすれば余裕で突破は出来るが自分の魔法や攻撃で仲間を傷つけてしまう恐れがありこの先ダンジョンの奥に進むにはやはり仲間を増やさなければ安全に進めないと判断し、ダンジョンに潜ってる冒険者が割と多く通過する階層の安全地帯に行き休憩する事にした。




『みんなバランスが良さそうなチームばかりだね』


『よく観察して見ると人数が多い所は一緒に行動しているが何組かに分かれている奴等もいたな、別々のチームが共闘していると思っていたがあれなら広い場所でも横に広がり分かれて戦えるし敵を分散出来て囲まれる事も少ないだろう、私達もアレを見本にしてみるか?』


「俺達もっと早く気付けば良かったな」




 ミレイルはリサとヒロキが後継者を見付けて人数が増えても一緒に行動するが男女で分かれて進もうと提案し、臭いの問題は安全地帯に入ったり休憩時に囲いを召喚してこまめに体を拭く事にして強敵が現れても全員で立ち向かえるようにしようと話した、男女に分かれどっちが先に進むかやどのくらい離れて動くかを話し合いある程度決まった所で三人はアルミナが仲間として参加するまではレベル上げに励む事にした。




「ん?おい向こうで戦ってるのあのクソガキじゃねーか?」


『え?うわホントだ』


『はぁ...面倒な』




 小一時間程ダンジョンの奥に進んで行くと天界で会った勇者のケンジが獣人の男女二人を仲間にしたのか共にコウモリのような魔物二体と戦っている姿を発見した、三人は他の勇者の戦い方を見てみたかったが相手があの鬱陶しい奴なのでさっさとこの場から離れ別ルートで先に進もうと振り返り来た道を戻っているとケンジはこちらに気付いたのか「あー!おい待てお前ら!待てよー!」と声がして追いかけて来たのでリサとミレイルは顔を合わせ頷き合いヒロキを掴んでダンジョンの出口に転移して逃げる事にした。




「おい!なんで俺達が逃げなきゃなんねーんだよ!」


『ごめんヒロキ、私ホントにあいつ苦手で近くに来てほしくなかったんだ』


『私もだ、どうせ不愉快になるだけだしな』


「チッ....分かったよ、あーもうどうする?あのクソガキもこのダンジョンでレベル上げしに来たなら絶対また会うぜ?」


『アレはまだ浅い階層にいたから私達はもっと上の階層でレベル上げをしようか、そこまで来るのに数日はかかるだろうしな』


『そうしよ!もし会ってもまた逃げれば良いしね!』


「おいリサ、逃げるって言い方止めろよなんか俺がアイツに負けた気がして気分悪いぞ」


『そんな小さい事気にしてんじゃないの!』




 三人は再びダンジョンに入り40階層まで転移して集団をさけ単体の魔物と戦い結構な時間をダンジョンで過ごしたがヒロキはそういえばと何かを思い出して話しだした。




「俺さぁ、創造神様に下界にあれば便利なモノは何かないか聞かれた時にダンジョンの移動が楽になるように頼んで採用されたんだけどどうなったんだろうな」


『どういう事?』


「俺達はダンジョンから出てまた入っても転移で奥まで一気に進めるだろ?なんか他の奴等に悪い気がしてたから他の奴等も行った事のある階層ならすぐ行けるようにとか安全地帯に転移出来るアイテムとか在れば便利だなって提案したら採用されたんだよ」


『たしかにそうなればみんな楽になるし死ぬ冒険者も減るだろうな』


『採用されたならその内変化するんじゃない?』


「こう言っちゃ失礼だけど早くしてくんねーかなぁ、俺の提案でどう変わるかスゲー楽しみなんだわ!」




 その後しばらくしてそろそろ帰ろうかと話しダンジョンを出ると外は真っ暗だったので今日は城に帰らずムドの街の店で食事をして宿に泊まろうかと話していると、いつかのミレイルみたいにこちらに不機嫌そうな顔で近付いてくるケンジが現れた。




「おいお前ら!何で逃げたんだよ!俺が怖いのか?」


「死ね」『死ね』『...』


「ちょ、逃げるな!待てって!」


「邪魔だクソガキ!」「ふぐッ!」




 鬱陶しいのでミレイルは無視したがヒロキとリサはわざわざ声をかけてやり通り過ぎようとすると三人の進行を邪魔するように前に出てきたケンジにイラついたヒロキは前蹴りで蹴り飛ばしてやった、三人は少しはスッキリした気分で倒れてるケンジの横を通りすぎ適当な店に入った。




「ほんとうぜーなアイツ」


『ね、仲間の二人はいなかったけど捨てられたのかな?』


『ヒロキ、どうせなら喋れないよう顎を砕いてやれば良かったんだ』




 三人は個室に入り適当に注文して仲間探しはどうやって探すのかをミレイルに聞きゆったりと雑談しているといきなり個室の扉が開かれまたケンジが現れた。




「おい!話を聞いてくれよ!」


「お前マジで何なんだ?頭おかしいんじゃねーか?」


「お前らが逃げるから悪いんだろ、なぁミレイル話を聞いてくれよ」


『気安く私の名前を呼ぶな!...悪いが二人共、私は先に帰るよ』




 ミレイルは心底嫌そうな顔をして食事も途中だったが何処かに転移して行ってしまった、二人はおそらく城に帰ったんだろうと思ったが仲間を不愉快にさせる鬱陶しいケンジと話をする事にしてヒロキは無理矢理ケンジを奥の席に押し込んで逃げれないようにした。




「お前マジでいい加減にしろよ、喧嘩売ってんだろ?なら買うぞこら?」


「いや...なんだよ、俺はミレイルとは『いい加減にして!』」


『あんたホント何なの?ミレイルミレイルって気持ち悪い!鬱陶しいんだよ!』


「ほんとだぜマジでキモいぞお前」


「.......」




ケンジは二人の嫌悪感と敵意剥き出しの視線にビビり黙り込んでしまったが二人の怒りは収まらずその後もヒロキが「聞いてんのかこら」と隣から脇腹を小突き『何黙ってんのよ!』とキレてるリサが机の下から蹴りを入れたりと事情を知らない人がみたらケンジがチンピラに絡まれてるような光景だった。




「お前さぁエルフの奴隷を買って旅してたとか言ってたよな?どうせ奴隷に好き放題してたからエルフの仲間が欲しいだけだろうが、気持ち悪ぃんだよ」


「違う!無理矢理迫ったりはしてないぞ!」


『嘘ね、その奴隷の仲間は一緒にこの世界について来なかった時点でお察しよ』


「それで次は人の話も聞かないでミレイルミレイルってかおい?」


「いいだろ別に!強制的にヤッたわけでもないのに何でお前らに文句言われなくちゃいけないんだよ!」


『あんたがスケベ目的でミレイルや他のエルフを狙っているからよ!』


「なぁ頼むよ、ミレイルは諦めるから他のエルフを紹介してくれよ」


『....もういいヒロキ!あんた天使様呼んできて!今すぐ!』


「いやいや落ち着けよリサ、迷惑だろこんな話に巻き込んだら...」


『ミレイルの守護天使なんでしょ!いいから連れて来い!』


「いやだって....」


『この意気地なし!ヘタレ!馬鹿!死ね!』


「ちょ!マジかお前....」




 リサのあまりのキレっぷりにドン引きしたヒロキはこんな時間に会いに行って迷惑かけたくないから場所を教えるから自分で会いに行けと言うと居場所を聞いたリサはケンジを無理矢理掴んで転移して行ってしまった、一人残されたヒロキはどうしようか悩み店を出て宿を探すか城に帰るか悩んでいると背が高いキリッとした顔立ちの虎の獣人っぽい女に声をかけられた。




『ねぇ君、ケンジって奴の知り合いかな?』


「あんなのと知り合いとか勘弁してくれよ」


『君と格好が似ているようだが仲間じゃないのかな?』


「仲間じゃねーよ、あいつになんか用があるのか?」


『私は治安維持部隊に所属しているパラムです、そのケンジって奴が私の知り合いを騙したとかで苦情が来まして、探していたら被害者から聞いた容姿と君が似ていたんで声をかけたんだ』




 獣人のパラムはケンジが被害者二人に「勇者の後継者にしてやるからダンジョンに一緒に潜ってくれ」と頼まれ一緒に行動を共にしていたが急に「お前らじゃやっぱり後継者には出来ない」と言って今まで肩代わりした金も払わず逃げたと話し、ケンジの居場所を知っているなら捕まえて金を払わすか被害者の代わりに鉄拳制裁を加えて牢屋に入れるから協力してくれと言ってきた。




「そういう事なら協力してもいいけどよ、今ちょっとそのケンジを俺の仲間が連れて行っちゃってこの街にいないんだよな」


『ちょっと聞いてもいい?ケンジって奴は本当に勇者なのかい?』


「信じられないだろうがアレでも勇者なのは間違いないぜ?」




 パラムは勇者の話を詳しく聞きたいから何処かで話そうと誘って来たがヒロキは勝手にウロウロしてリサがもし帰ってきたらどうしようかと思い、仕方ないので自分も勇者だと言って驚いているパラムの手を掴んで人気の無い路地裏に行きミネル王国の城に転移した。

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