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下界の家に帰りアルミナに一体創造神様と何を話したんだと聞くがニヤニヤしながら見て来るだけで話そうとせず、エルサやレミアも気になるのかアルミナに後で俺がいない時に教えてと言うが二人にも教えないと言い地下の自室に走って行ってしまった。
その後エルサとレミアは隠し事された事に悲しそうにしながらもアルミナを勇者と同行させて何が起きても罪に問われないならどの程度まで教育して勇者達の元へ送り出すか話し合っていた。
『ニール、貴方は何か意見はありますか?』
「俺はあの三人に一緒に魔王と戦ってくれと頼んでいいのか悩んでいるので静かにしてください」
『あなた創造神様の許可が出たら同行させるんじゃなかったの?』
「そうですけど、何か起きてヒロキ君とリサちゃんが死んだら俺が嫌な気分になるから悩んでるんですよ」
『ニール、貴方はもう下界の人間ではないのですよ?特定の者の命を特別視するのはダメです』
『そうよ、何度も言ってるけど天界の天使であると自覚しなさい、どうするか選ぶのはあの子達なんだから死んでも貴方が気にする事ではないわ』
「そうは言いますが俺は元人間ですよ?悩むのは仕方ないじゃないですか」
その後俺は二人にネチネチと小言を言われ、あの二人の人生だから余計な事は考えないようにしようと思い思考を切り替え仕方なくアルミナをどうするか話に参加したが、アルミナに人の街で基本的な生活が出来るよう教育してから送り出す事で話はまとまった。
「でもあの見た目はどうするんですか?」
『それは問題ないわ、私とレミアだけでもどうにか出来るから安心しなさい』
『ふふ、そうですね、これでも女神ですから』
「そうですね、お二人は女神様でしたね忘れていましたよ」
俺の嫌味は軽く無視され二人は部屋から出ていきアルミナの元に向かった、アルミナの基本的な生活を教えると言っても俺もエルサもレミアもそんなの教えてやれないからどうしようか考えたがすぐに閃いたので【人の街に行ってくると】と置き手紙を残してリズミィの家の俺の部屋へ転移した。
リズミィは部屋を片付けておくと言っていたが物は全て無くなりホコリ一つ残さず綺麗に掃除されていたので俺は少し驚いたが、何も無いのも寂しいのでテーブルや椅子を召喚して設置していると下から音がし誰かが上がって来る音が聴こえて来たと思ったら(バァーーン!)と扉が開かれた。
『ニール!帰ったか!』
「人の部屋に入る時はノックをしろと言っただろ」
『うん?おっと済まない、自分の家だからついな!』
リズミィは俺の帰宅を喜んでくれ下で話しをしようと誘って来たのでついて行った、世界改変後の街の様子やその他の雑談をしていると先日俺を探してる教会の聖女様に居場所を聞かれ知らないと答えたが何かしたのかと聞いてきたので事情を説明してやる。
『なるほどそういう事か、それなら私も一緒に行って女神様や魔王に会ってみたかったな』
「その事なんだがねリズミィ、ちょっと頼みがあるんだが聞いてほしい、魔王の生活指導の仕事をしてみないか?」
『......生活指導とはなんだ?』
「実は魔王アルミナを街で普通に生活出来るよう教育したいんだが俺や女神様じゃ教えてやれないからリズミィに指導してほしいんだ、詳しい話は頼みを引き受けてくれたら話すよ」
『ニールの頼みだ、危険は無いのだろ?なら受けようじゃないか』
「さすが元ギルマスだな、話が早くて助かるよ」
俺は魔王アルミナがダンジョンの魔王を勇者達と倒す為に仲間にさせるつもりだと話し、その際どこの街や村に行っても生活するのに困らないよう事前に学ばせたいが悪い奴は殺せと教えているから注意してくれと言い、もし生活指導中に覚醒して暴れだしたら逃げろと話した。
「まぁ頭の良い子だから一週間くらいで問題なく生活出来るようになると思うからその間に覚醒する事も無いと思うし安心してくれ」
『そうか、しかし初対面の魔王と二人で生活するのはちょっと怖いな....ニールもこの家に部屋があるんだから一緒に暮らせないのか?』
「俺は何も教えてやれないし居るだけ邪魔だと思うが?」
『いや、一緒に居てくれるだけでいい私もその方が安心だしな』
「ならそうするか、とりあえず今から一緒に魔王と女神様に会いに行ってみるか?」
『今から?ちょっと待て準備してくる!』
リズミィは二階の自室に向かい何か準備をし始めたので待ってるのも暇なのでこの家で暮らすなら何をしようか考えいるとリズミィはさっきまで普通の服を着ていたのに何故か冒険者のような格好で下に下りてきた。
「さっきの格好でも良かったのに」
『私も女神様に会うんだからと悩んだがどうせなら着慣れたモノを着た方が身が引き締まると思ってな』
「なるほど、じゃあさっそく行こうか」
俺はリズミィの肩に手を置き魔大陸の家の前へと転移した、リズミィは辺りをキョロキョロ見渡していたが大きな家を見て改めて気合を入れ直して俺に案内を頼み家の中に入っていった。
一階の客間じゃないがそれっぽい部屋に案内してここで待っててくれと言い三人を探しに行くと三階の一室からキャッキャウフフと声が聴こえたので扉をノックして返事を待って入ると青白い肌だったのが人と変わらない肌の色に変わったアルミナが立っていた。
『おかえりニール、どうアルミナのこの姿、ビックリしました?』
「え?いや別に、それよりアルミナの(ゴン!)痛い!」
『貴方少しは褒めなさいよ、可愛いでしょ?ん?』
俺はエルサに後ろから頭を殴られ強制的にアルミナの変容を褒めさせられた、その後アルミナの街で普通に暮らせるよう生活を指導してくれる人を連れて来たので会ってくれと頼みアルミナは後で呼ぶから待っててくれと言いエルサとレミアの三人でリズミィを待たせてる部屋に向かった。
「リズミィ、こちらが女神エルサ様と女神レミア様だ」
『初めまして女神様、私は少し前まで冒険者ギルドでギルドマスターをしていたリズミィです』
『あらそうなの?貴方どこに行ったのかと思ってたけど適任者を連れて来てくれたのね!』
『ふふふ、ありがとうニール』
エルサとレミアはリズミィと挨拶をした後さっそく魔王をしばらく預かって指導してくれるよう二人からも頼み自由にさせてもいいが悪い事はちゃんと言って叱ってくれと頼んでいた、しばらく話し合ってアルミナを連れてこようかと思ったが部屋の扉がノックされアルミナが入ってきた、エルサかレミアのどちらかが頭の中に話しかけて呼んだのだろう。
『この子が魔王か、初めましてアルミナ、私はリズミィだ』
『私は魔王アルミナ、お姉ちゃんも私と仲良くしてくれる?』
『お姉ちゃんか、良い子だなアルミナ、仲良くしようじゃないか!』
リズミィはお姉ちゃんと呼ばれて嬉しそうにアルミナと話しすぐにでも一緒に住めそうなのでどうするか話し合い三日後から俺とリズミィとアルミナの三人で一週間ほど街で暮らす事に決まった。
「それでお二人は俺がいない間の食事はどうするんですか?」
『私は大丈夫よ、しばらくこの魔大陸で魔人族の住めそうな場所を探すから適当に精霊に用意させるわ』
『私はこの家に残るのでニール、分かっていますね?』
「えぇ、朝昼晩ですよね朝昼晩」 『ふふふ』
俺はその後話も決まったし三日間する事も無いのでリズミィと一緒にダーラント王国の街に戻りアルミナを迎え入れる準備を手伝ったりして過ごし、三日後アルミナを連れてリズミィの家へと転移した。




