54
勇者の三人は家の前で王女とルルミーナが女神の二人に緊張で噛みながら挨拶をしている間に魔王にさっきは黙っていてすまないと謝り和解の握手を交わし魔王は嬉しそうにしていた、そしてエルサとレミアに挨拶を済ませ家の中に入り大きな部屋のソファーやテーブルが置かれた部屋に案内され全員座るとニールは冷えた缶ジュースをみんなに配った後ヒロキを借りていくと言い男二人で部屋から出ていった。
「来たばかりで悪いがヒロキ君、俺の頼みを聞いてくれないか?」
「どうしたんすか?俺で出来る事なら協力しますよ!」
「とりあえずこの倉庫の中を見てくれ」
俺はヒロキ君にレミア専用の食料庫を見せた、何の柄もない缶が並んだ棚やおつまみが入った木の箱が積まれた冷えた倉庫内を見たヒロキ君はここがどうしたのか聞いて来たので答えてやる、ここはレミア専用の倉庫でこの缶は全部酒だと。
「レミアちゃん酒飲むんすか!?ていうかこれ全部酒って....」
「レミア様はビールより甘いお酒が好きでね、俺は八才で異世界に飛ばされたからお酒や食べ物の知識が無くて出せる物が少ないんだ、だから俺と同じ召喚魔法が使える二人に地球の食べ物や飲み物を知ってるかぎり全て召喚してもらって俺も出せる物を増やしたいんだよ」
「なるほど、わかりました!そういう事なら協力させてもらいますよ!」
「ありがとう、助かるよ」
ヒロキ君に倉庫の前で色んな種類の酒を召喚してもらう、知ってるモノやイメージ出来るモノなら再現して召喚出来る魔法の凄さを実感しながら次々出してもらい俺一人で試飲していき味を覚えレミア好みの酒を次は俺が沢山召喚して倉庫に収めていく、数十分も連速で召喚魔法を使ったヒロキ君はフラフラになりこれ以上は無理だと言い出したので三階の部屋に連れていき休ませる事にした。
「すんませんニールさん、レベルが高ければもっと魔法は使えたんすけど....」
「いや気にしないでくれ、こっちが頼んだ事だしホント助かるよ、とりあえずしばらくこの部屋で休んでてくれ」
「この部屋ってなんか女の部屋っぽいんすけど誰の部屋っすか?」
「そりゃもちろんレミア様の部屋に決まってんでしょうが」
「えぇ!!!.....じゃあこのベッドでレミアちゃんは...」
「レミア様の為に頑張ってるヒロキ君、俺は下に行って客の相手をしてくるからゆっくり休んでくれたまえ!ハッハッハッハ!」
「ニールさん....ありがとう」
ヒロキ君は俺にお礼を言いながら親指を立ててベッドに横になった、俺は良いことしたなと思いレミアに酒とつまみの種類が増えて協力してくれたヒロキ君をレミアの部屋で休ませていると報告したがなぜか殴られかけたのでレミアの為にフラフラになるまで頑張った者に些細な褒美も与えないのかと逆ギレして正論の強さでレミアを黙らせた。
『ニール、私に何も言わず勝手に部屋に入れた事は今回は許しましょう、しかし次は許しませんよ?分かりましたか?』
「俺に非があるならどんな罰も受けましょう、非があればね」
『貴女レミアに甘くない?私にも何かしてくれないの?』
「俺とエルサ様は好みが似ているのでその辺はリサちゃんに協力してもらうつもりですよ」
『がんばります!』
その後はリサちゃんに色々召喚して出してもらい説明を受け試食や試飲を楽しみながら覚えていった、魔王アルミナも色んな美味しいものが出てきて食べたりして王女や聖女と話しながら楽しそうにしていた、それを見つめていたエルサはニコニコしていたが突然ハッ!っと何か閃いた顔をしたと思ったら俺に近付いてきてとんでもない事を言い出した。
『ねぇ、アルミナが覚醒してもあのままだったら勇者と一緒に他の魔王を倒しに行かせるってのはどうかしら?』
「俺は今何も聞かなかった事にします、あーーあーーーーあーーーーーー!!!」
エルサは魔王を信じているんだろうが余計な事して何か大惨事になったら創造神にどんな目に遭わされるか分からないから俺は指を耳に突っ込み連打して頭の中でも大合唱してエルサの戯言を聞かないようにしているとレミアもエルサの話に加わり賛同したのか二人で俺の手を片方づつ掴み無理矢理耳から引き離して話を聞かせてきた。
「二人の責任でやるなら良いんじゃないんですか、俺は知りません」
『下級天使ニール、女神として命令します、貴方も協力しなさい』
「拒否する、さすがにこれは何か起きたらシャレになりませんよ」
エルサだけじゃなくレミアまで俺を道連れにしよう女神として命令して来るが俺は二人より創造神の方が怖いのでずっと嫌だ嫌だと言っていると他の連中も何事かと話に加わって来た、エルサはリサちゃんとミレイルに自分の考えを話してしまい二人は俺が良いと言うなら自分達は魔王を信じて一緒にダンジョンの魔王を倒しに行っても良いと言い出し、王女や聖女は勇者と魔王が組んで共に戦う事に何を思ったのか『凄い』だの『私達は今歴史に刻まれるような話を聞いている』と言い興奮しながらこちらの様子を見ていた。
『ニール、これはアルミナの為なのよ?無害な魔王だと人が信じるにはまず実績が必要になるでしょう、その為に協力するべきだと私は思います』
「じゃあこうしましょう、エルサ様かレミア様のどちらかが天界に行って創造神様に今の話をして許可を貰ってきてくださいよ」
『.....』 『.....』 「なぜ黙る!」
エルサとレミアはむしろ下級天使の俺が創造神様に聞きに行けと言い出し口論になってるとジッと話を聞いていたアルミナが俺に近付いてきて自分も創造神に会ってお願いするから一緒に会いに行こうと言い出した。
「アルミナよ、それを言うなら俺じゃなくエルサ様かレミア様に言いなさい」
『嫌だ、私はお前と行きたい、お願い一緒に連れてって』
『ほら、アルミナからのお願いよ?天界に送ってあげるから行きなさい』
『ふふふ、偉いわねアルミナ』
「アルミナよ、俺はワガママを言う悪い子は嫌いだぞ」
『エルサとレミアの言う事を聞かないお前は悪い子じゃないのか?』
「ぐぬぬ.....」
魔王に言い負かされた俺をエルサやレミアは笑い言い訳はアルミナの教育に悪いから諦めろと頭の中に話しかけてきた、俺を巻き込んだ二人の女神には必ず何か復讐してやると決意しアルミナを連れて創造神の所に行く事になった、俺はどうせ何か起きた時に罪に問われたら二人より三人だと罪が軽くなるかもしれないから巻き込んだんだろうと思い今日は試飲だが沢山酒を飲んでいるので明日天界に行く事にした。
『ニール様、そんなに創造神様と話すのが嫌なんですか?』
「いや話すのは嫌じゃないよ、ただこっちの頼みを聞いてやるからワシの頼みも聞いてくれとか言い出されたら嫌だなと」
『そうそれもあるのよ、だからお願いや相談をしに行きたくないのよね』
「....」
エルサがシレッと俺に押し付けた理由を話し何食わぬ顔で炭酸ジュースを飲みながらアルミナに創造神様に失礼がないようにしなさいと言い聞かせていた、ミレイルとリサちゃんは俺や女神の二人が創造神を苦手にしている訳を知り創造神様はどんな神様なのかもっと知りたいと質問してくるが女神の二人は天界の監視を気にしてるのか話そうとしないので俺に集中的に質問が飛んできたからありのままを話してやるとお仕置きに関しては想像以上の酷さと防御力無視の攻撃にドン引きしていた。
その後、俺はミレイルとリサちゃんに外で訓練に付き合ってほしいと頼まれアルミナや王女と聖女をエルサとレミアに任せ、せっかくだから魔大陸の魔物を見せに連れ出すと二人は魔物の大きさにビックリし、試しに戦ったりしてそのまま空中戦の訓練を陽が落ちる前まで続けて帰宅し、動けるようになったヒロキ君を交えて一緒に夕食を食べた後名残惜しそうな王女と聖女を連れて五人はミネル王国へ転移して帰って行った。
『あの聖女のルルミーナだけど、あの子もアルミナや勇者の仲間にするも良いわね』
「どうせなら教会も巻き込んでしまえ!って事ですか?知りませんよ後からどうなっても」
俺はこれ以上エルサの変な話を聞いて巻き込まれたくないのでさっさと自室に戻り明日に備え眠ることにした。




