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「ちょっと待ってくれよ!俺の仲間は奴隷なんだ!」
「奴隷契約を破棄して仲間に一緒に来てくれと言えば済む話しじゃろ、何が不満なんじゃ」
「いや....じゃあ神様からも俺の仲間に言ってくれよ、俺と一緒に別の世界に行くようにさ!」
「......」
創造神は上級天使に指示しケンジを強制的に下がらせ説明を再開した、魔王を閉じ込めるダンジョンは普通のダンジョンと違い魔物も強く湧きすぎると外に出てくるようになっていると話す、すると一人の女の勇者が手を上げ創造神にナゼそんなダンジョンにしたのかと質問した、創造神は地球と違い魔法がある世界で知恵ある種族に驚異を与えないと互いに争いだすから必要な事だと説明する。
創造神は勇者同士組んでもいいが最低でも勇者二人で一つのダンジョンの魔王を担当してもらうと言い誰と組むかは任せるが既に仲間がいる者はそれぞれ自分を迎えに来た女神に頼んで戻り、一緒に別の世界に行くかどうか仲間に聞いてこいと言い残し去っていった。
『それでは皆さん部屋を用意していますので明日下界に行くまでは休んでいなさい、部屋の案内はこちらにいる天使がしますので呼ばれた方はついて行きなさい、話し合うのはその後にしてね』
レミアの指示で次々天使に呼ばれて広場から去っていく勇者達だが既に部屋がある三人は残りニールと話をしようとしたがニールは創造神様に呼ばれていると言って去って行った。
「レミアちゃん、ニールさんは何で創造神様に呼ばれたんだ?」
『きっとアルミナを殺しかけた事で呼ばれたのでしょうね、このままお仕置きされて帰ってこないかもしれません』
『殺しかけたって....何かあったんですか?』
『強めの調教とか言ってアルミナとまた戦ったんですよ、困った天使さんですよね、ふふふ』
なんでもないかのように笑って話すレミアだが三人は引いていた、調教で殺しかけるとか一体どんな事をしているのかと、リサがさっきまで居たエルサ様はどうしたのかと聞くと魔王を一人残してきたので下界に帰ったと言い、自分もそろそろ部屋に帰ると言うのでヒロキは下界の何処にレミアが住んでいる妖精の森があるのか聞いていた。
『今はもう魔大陸でエルサとニールとアルミナの四人で暮らしていますよ』
「マジかよニールさん......ギリリ...」
『はいはいヒロキ、嫉妬はそこまでよ、でも魔王と住んで大丈夫なんですか天使様、あんなにアルミナちゃんに叫ばれていたのに』
『大丈夫ですよ、ニールの調教後から凄く大人しくなってしまいましたから』
『さすがニール様だ、私達も頑張らないとな!』
『ニールはあなた達に用があるとかでいずれ家に呼ぶと言ってたのでまたその時会いましょう、それじゃあ三人共、頑張るのですよ』
レミアは三人と別れ建物の奥へと歩き去り、ヒロキは「信じてたぜニールさん!」とレミアの住む家に行ける日が楽しみだと喜んでいた、その後三人はどうせダンジョンを担当するならミネル王国が良いなと話し三人で一つのダンジョンを担当しようと話し合っているとまたアイツが現れた。
「なぁ、ミレイ「つーかお前よ、近寄るなって言ったよな?マジで舐めてんのか」」
「なんだよ、俺はミレイルと話があるんだよ」
『私はお前と話す気はない、消えろ』
「チッ、あーもういいよ自分で探すよバーカ」
ケンジはようやく邪険にされている事に気付いたのか捨て台詞を吐いて三人の前から消えていったが、三人は「自分で探す」と言う言葉が気になっていた、おそらく仲間に出来そうなエルフを探すんだろうとミレイルは言ったがあんな奴の仲間になるエルフなんかいないと鼻で笑っていた。
「あのクソガキのせいでせっかくの良い気分が台無しだぜ、明日まで時間はあるし俺達は訓練の続きでもするか?」
『そうね、なんだか今なら素手でアンタの人形を倒せる気がする!』
『私も今とても気分が悪いので素手で殴り倒してみようかな』
三人はそんな話をしながら自主訓練している場所に向かい暗くなるまで訓練に励んだ。
一方、創造神に呼ばれたニールはレミアの読み通り創造神のお仕置きを受けていたが、指輪を着け三十分ほど殴られ続けただけで許して貰い監禁室にいつもの針を刺され放り込まれて創造神と話していた。
「ホントにお前は懲りぬ奴じゃの、まぁワシは楽しいから良いんじゃが、ホッホッホ」
「ほんとにね、意味が分かりませんよ、魔王アルミナはもう勇者の討伐対象じゃなくなったんだから手出してもいいじゃないですか」
「これは殺しかけた事のお仕置きじゃ、手を出すなとは言っとらんわい」
「死にかけて初めて分かる事もあるんですよ」
「なにを言うとるんじゃ戯けが、ホッホッホ」
創造神は結果的に魔王の調教が良い方向に転びそうなので軽いお仕置きで済ませたと言い一応褒めてくれたが、俺は魔王が創造神の実験の失敗で創られた存在なのは聞いてたがなぜ死んでも復活する魔王アルミナを殺しちゃダメなのか聞いてみた。
「実はの、魔王が死んでも次に復活するのは同じ個体とは限らないんじゃ、見た目が同じでも中身が違ったりしての、どうしてそのような事になっとるのかワシにもわからんが魔王アルミナは知恵があり言葉を交わせるからとても興味がある存在なんじゃ、だからお前もやりすぎないようにの」
その後なんでそんな魔王が出来るような実験をしてたのか聞いてみると、無限に魔力が溢れ使える事が出来る神聖な生命体を創ろうとしてたら逆に変な魔力が集まってしまう核が出来てしまい、その核から邪悪な存在が生まれ殺しても徐々に魔力が集まりだし復活を繰り返すようになり、実験の失敗でどんどんそんな邪悪な生命体が出来てしまいそれを魔王と呼ぶ事にしたと言う。
「創造神様、失礼ですがもう邪神と名乗ってはいかがですか?きっとみんな納得してくれるでしょう」
「とうの昔から影でそう呼ばれとるわ!ホッホッホ」
「.....」
俺はこんなイカれた神様の実験で生まれてしまったアルミナに少しは優しくしてやろうと思い監禁室から出される翌日まで痛みに耐えた。
翌日、監禁室から出されると広場には創造神の尻拭いをする為に集まってる可哀想な勇者達がいて勇者以外にも数人知らない奴等がいた、ヒロキ君やリサちゃんにミレイルも見えたのでついでと思い三人に近付いていく。
「そこの三人、こっちに来なさい」
「ん?ニールさんどうしたんすかその姿、ボロボロじゃないっすか」
『天使様、レミア様が言っていた創造神様のお仕置きを受けてたんですか?』
「あぁ、さっき開放されたんだ、そんなことより三人は何処のダンジョンの担当になるか聞いたか?」
『いえ、私達は何も聞いてませんが、ニール様は知ってるんですか?』
俺は三人の担当するダンジョンはミネル王国に出来るダンジョンだと教える、これは初めに召喚された国でもあるヒロキ君とリサちゃんに対する創造神様からの配慮だと伝えると三人は安堵していた、知らない国じゃなくて良かったと。
「それで俺はヒロキ君とリサちゃんに頼みたい事があるから後で会いに行くから待ち合わせの場所を決めとこうかと思ってね」
『ニール様、私に用は無いんですか?』
「ミレイルの部族に一度会いに行こうかと思ってるから先に守護天使の事とか話を通しといてほしいんだが頼めるか?いきなり行っても困惑するだろうし、でもそれは後からでいいからな?ミレイルも一緒に二人についてくればいい」
『わかりました!お任せください!』
三人は待ち合わせを何処にしようか話し合い、俺に王女の部屋で待ち合わせはダメですかと聞いてきた、理由を聞くとレミアから俺が今住んでる場所に三人を呼ぶという事を先に聞いていたので王女に女神様と会わせてやりたいと、俺はしばらく考え三日後の朝王女の部屋に迎えに行くと言い三人と別れレミアの部屋に行き一緒に下界に帰っていった。
「やべー、今から緊張してきたぜ、こんなに早くレミアちゃんの住む家に行けるなんて」
『アンタはほんと馬鹿ね、それに魔王のアルミナちゃんも住んでるのよ?王女様を連れて行くなら私達がちゃんと守らないと』
『そうだぞヒロキ、私達は間抜け過ぎるほどあっさり騙されて一度殺されてるんだ、浮かれてる場合か』
「分かってるって」
その後勇者達は創造神や他の女神達に見送られながら次々と下界に降りていき、全員見送った創造神は次は各魔王の核をダンジョンの奥深くに設置する準備をするため動き出した。




