表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/91

51

『ニール、アルミナに何をしたのですか?答えなさい』


「調教ですがなにか?」


『ほんの少しの時間であんなに大人しくなるわけないじゃない!貴方あの子に何をしたの!』


「だから強めの調教ですって」



 家に帰ると俺と魔王の帰りを待っていたエルサやレミアは魔王のボロボロの姿を見て驚き、『食事を食べさせに何処かに行ったんじゃないのか』と二人仲良く詰め寄って来てこれである、エルサは魔王を地下に連れていきレミアは俺に座るよう指示しエルサが戻って来たら話を聞くと言われ尋問される事になった、しばらくしてエルサだけ戻ってきたが明らかに激怒している顔をしていたのでテーブルを盾にし移動して座りなおした。



『貴方一体どういうつもり?二人で役割を決めたけどいきなりアルミナを刺すとかやりすぎよ!』


『刺したのですか!?ニール正直に答えなさい、アルミナに何をしたのです』


「簡単に言うと無理矢理食わせて話をして悪い事を言い出したので体罰を加えましたね」



 二人の女神に順を追って詳細に説明し俺の意図を説明する、人と仲良く出来るようにするなら痛みを知り自分も強い奴に殺されるかもしれないと自覚させ恐怖を先に教えるべきだと、そうすればエルサの頭で理解させようとするやり方も上手くいくんじゃないかと思ってやったと説明する。



『そう、しかしやはりあの子の調教は初めたばかりなんだから加減しなさい!覚醒後にどうなるかも分からないから貴方の過激なやり方は今後禁止します!』


『ニールのやり方は調教じゃなく暴力で抑えつけてるだけだと私は思いますよ?』


「調教も暴力も同じ事だと俺は思いますがね、例えば創造神様はお仕置きと言って一方的に殴ってきますがエルサ様や他の天使はそれをお仕置きを受けたと言わず虐待だ拷問だと言ってますよね?」


『....この話はもうしない方が良いでしょう、私達の為に』


「?」



 俺の例え話を聞き話を終わらせようとするエルサとレミア、天界で誰が見ているか分からないから警戒しているのかと思い俺も創造神の話はしない事にする、創造神の悪口を言って拷問を受ける事になったら俺も嫌だから、その後は問い詰められる事もなく雑談になりダラダラ三人で酒を飲みながら過ごしその日を終えた。




 一方天界では勇者の三人が空を飛ぶ訓練と、剣を持ったまま相手を殴ったり蹴ったり掴み倒したりする自主訓練をして接近戦の戦い方を増やし身を守る為に努力し頑張っていた、ニールに色々教えて貰おうとしたが三人が創造神の所から戻った時には既に下界に行ってしまって会えなかったが。



「自主訓練も良いけどやっぱレベルが上がらないと強くなった気がしねーよなぁ」


『うん、でもやらないよりは良いと思うけど今も他の勇者は魔物を倒してレベルを上げてると思うとなんか焦るよね』


『他の勇者か、どんな奴等か気になるがまずは自分のことだな、私はニール様の側に居ても恥ずかしくない女にならなくてはいけないしな!』


『ミレイル、天使様はそんなの気にしないと思うよ?』


「そうそう、綺麗なエルサちゃんや可愛いレミアちゃんの近くに居るのにデレデレしないし女にあまり興味持ってなさそうだから気にしないと思うぜ?」



 三人は休憩してそんな話をしていると背の高い天使が一人やって来て、近い内に全ての勇者を天界に集め事情を説明する事になったと言い三人もそれまでは下界には送れないと告げさっさと帰っていった、三人は訓練を再開しヒロキがイメージで創った動く人形を何体も召喚し模擬集団戦を始めたりとそんな訓練ばかりしていた。


 そして数日後の朝、下級天使の子供に広場に来るよう言われた三人は部屋から出て向かうと白く目立つ鎧を着た同世代の奴等が広場に集まっていた、ヒロキとリサはこの広場で異世界に送られた勇者達だと気付きミレイルに説明し広場の近くで待機して待つことにする。



「なんか皆前に会った時より雰囲気が違うな、大人びた顔つきになったと言うか」


『うん』


『ここに居る全員勇者なのか、なんだか妙な気分だ』



 三人が勇者達を見ながら話していると他の勇者達も離れた場所で立ってる三人に気付き「なんでエルフがここにいるんだ」とコソコソチラ見しながら話す声が聴こえてきた、ミレイルは不快そうに顔をしかめるがヒロキとリサに相手にするなと言われ腕を組んで無視する事にしたがヒロキ達より年下っぽい男が一人近付いてきた。



「なぁお前ら、このエルフはなんだ?奴隷か?」


「あ?」『はぁ?』『.....』



 男のこの発言にヒロキはキレ気味に男を睨み、リサは急な奴隷発言に意味がわからないと何だコイツと言う顔で見て、ミレイルはそっと腰に差した剣を掴んで男を睨んだ、リサがこのエルフは仲間で奴隷じゃなく自分達と同じ勇者だと男に言うと「へぇ〜」と空返事しながらジロジロとミレイルを見ていた。



『おい貴様、その不愉快な視線を向けるな気持ち悪い』


「ん?あぁごめんよ、エルフはやっぱカワイイなと思って見てただけだよ」


「お前なぁ、謝るならちゃんと謝れやコラぶっ飛ばすぞ」


『私こいつ嫌いなタイプだわ、ヒロキ!後は任せた!』


「なんだよお前ら怒んなよ」



 生意気なクソガキだと三人は思いさっさとあっち行けと言うが男はそれを無視しミレイルに話しかけて来た。



「俺は勇者のケンジだ、お前の名前は?」


『話しかけるな、不愉快だ』


「いいじゃん名前くらい教えてくれても!俺はこれでも異世界でエルフの奴隷を三人買って一緒に旅をしてたんだ」


『それがなんだ、私には関係ない事ださっさと私の視界から消えろ』


『あんたホントにウザいよ?ミレイルが嫌がってるのが分からないの?』


「ミレイルか、良い名前だな!お前らはいつからミレイルと仲間なんだ?」


「いい加減にしろやクソガキ、舐めてんのか?」



 人の話を聞かないケンジにキレそうになりながらヒロキは詰め寄り睨むがケンジはさっと離れ涼しい顔でヒロキに怒るなよと宥めて来た、その舐め腐った態度にキレたヒロキが殴りかかろうとした時、大きな鐘の音が辺りに鳴り響いた、遠巻きでヒロキ達やケンジのやり取りを見ていた勇者達も何事かと辺りをキョロキョロしだしヒロキも辺りを見回すと空から次々天使や女神達が魔法陣から現れ広場に集まって来ていた。



「チッ、おいお前、喧嘩売りに来たんじゃないならもう俺達に話しかけんな、つーか近寄るなよ分かったか」


「俺はミレイルと話したいだけだよ、それもダメなのか?」


『私に話しかけるな気持ち悪い』


「気が強いなぁ、でもそこがエルフの魅力だよな!」


『ほんと何なのコイツ...』



三人は限界知らずの馬鹿なケンジから離れ天使や女神様を見渡すとエルサやレミアを見つけ、その後ろに控えるように立っているニールを見つけた、三人は駆け寄り挨拶をし少し雑談をしていると創造神が現れ勇者達に横一列に並ぶよう指示を出した。


 創造神はそれぞれ勇者として異世界に送ったがこちらの事情で魔王や勇者を一つの世界に送る事になったので申し訳ないと言い、今後は勇者達に担当地域を決めてもらい、ダンジョンに閉じ込める予定の魔王が復活したら外に出てくる前に倒すようにと説明する、怠けていて魔王を倒せなかったら担当地域の知恵ある種族は滅び勇者と交わした約束も破棄して自我を消し魂をリセットすると言い、ついでに勇者の力を引き継ぐ後継者も見つけ育てろと創造神は勇者達に言い渡した。


 勇者達は事前に話を聞いていたのか騒ぎはしなかったが、お互い顔を合わせて話し合いザワザワしていたが創造神に聞きたい事があると言い一人前に出てきた奴がいた、勇者ケンジだ。



「えーっと、あんたが一番偉い神様なんだよな?だったら俺達そっちの都合でまた違う世界に行くんだからちょっとお願いがあるから聞いてほしいんだよ」


「ほう、なんじゃ?言ってみよ」


「異世界で仲間として一緒に行動してた奴等も一緒に連れて行きたいんだけどダメかな?これは俺だけじゃないと思うけど?」



 ケンジはそう言うと後ろに振り返り勇者達を見る、何人か頷き創造神を見つめてるので既に仲間がいる勇者なのだろう、創造神は少し悩んだ後その仲間が別の世界に行っても良いと言うなら特別に認めると言うと喜んで歓声をあげたが創造神の次の言葉でケンジだけ文句を言い出した。



「しかしその仲間が奴隷の場合は認めぬ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ