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 食料庫にほぼレミアのお酒と乾物のおつまみを詰め込みいつでも飲めるようにして、ようやく夕食時になり食事を用意しようかな思ってるとエルサが魔王も連れてきた、魔王は俺が出した飲食物に手を出さないらしく何も食べてないからどうしようかとエルサは言うが放っておけばいいのに。



「ふーん、何で食べないんだ?俺が嫌いだからとかくだらん理由だったら蹴り上げるぞ」


『うっ.....お、お腹空いてないからだ!』


「そうかお腹空いてないのか、じゃあ仕方ない」



 魔王が飲まず食わずで何処まで我慢出来るか見てやろうじゃないかと思い俺はエルサとレミアに出来る限り美味しそうな肉料理をイメージして召喚して出した、肉を食わない俺もたまには食べようかと思うくらい良い匂いが広がり二人の女神は喜びながら席に座った。



『アルミナ、我慢しなくていいから食べなさい?お腹空いてるでしょう?』


『ニール、アルミナにも出してあげなさい、皆で食べましょう』


「はいはい」



 命令だから仕方ないと魔王の目の前に同じ料理を出し、俺も座ってピーナッツみたいな豆と酒とうちわを出して食べ始める、うちわを扇いで料理の匂いを魔王に送る嫌がらせを楽しんでいると俺を睨んでた魔王の目線が徐々に料理に向き始めた、エルサとレミアもそれに気付きニコニコしながら美味しそうに食べ魔王の反応を見ていたが皆の食事が終わるまで魔王は料理に手を出さなかった、最後はずっと料理を見ていたが。



「食べないならもう片付けるぞ?どうする?」


『い....いらない...お前が出した物なんか....』


「そうか、勿体無いな」



 俺は料理を異空間に収納しレミアは魔王の食事をどうしようかと悩んでエルサは魔物を狩ってくるしかないかなと呟くが、俺は二人に任せてくれと言いアルミナを掴んで制止してこようとするエルサとレミアを無視して二人がすぐには探せない場所に転移した。



『離せー!触るな!』


「うるせーなぁ」



 俺は暴れる魔王を押さえつけて縄でグルグルと巻いて縛り、穴を掘って頭だけ出して体を埋めてやり異空間からさっきの料理を出して魔王の目の前に置いた。



「さてアルミナよ、今から楽しく美味しい食事の時間だぞ!嬉しいだろう!俺が食べさせてやるよ」


『やめろーーー!ここから出せー!死ねー!』


「ほーれ先ずはやっぱりお肉からだよな!」



 魔王の口を掴んで無理矢理肉を押し込んで口を塞いでやる、それでも何かモゴモゴ叫び抵抗し肉を吐き出そうとするが飲み込むまで口を塞いでやり無理矢理食べさせたが口から手を離すと吐き出そうと頑張っていた。



「どうだ美味いだろう?もし吐き出してみろ、吐いた物も食わせるぞ」


『死ねーー!お前なんか嫌いだーー!』


「俺も食べ物を粗末にするお前が嫌いだから安心してくれ!ハハハハ!」



 その後も無理矢理食わせ、二度ほど吐いたがそれもすくい上げ全て食べさせたが魔王はよほど悔しかったのか泣きだしずっと俺に死ね死ね言って来た。



『うぅぅ...死ねぇ...』


「これから先俺が出した物を食べないなら毎日こうして無理矢理食わせるぞ?どうする?」


『うるさい!......どうしてこんな酷い事するの?私が何かしたの?』


「俺にそんな演技は通じない、なぜこんな事をするのかと言うとお前が悪い奴だからだ」


『悪い事してないもん...』


「お前は頭が良いから先に教えてやろう、お前は魔王と呼ばれるこの世界ではかなり強い悪魔だ、そんな強いお前が弱い奴を殺したり好き勝手生きていたらどうなると思う?お前よりもっと強い奴がお前を殺しに集まって来るぞ?」


『....』


「そしてお前と同じかお前より強い魔王が他に十二体この世界にやってくる、そうなるとお前が何もしてなくても他の魔王が何かしたらお前も同じ魔王だからと言われ何処に逃げても人が追いかけてきていずれ殺されるんだ」


『....戦って勝てばいいもん』


「無理だな、お前や他の魔王を殺せるほど強い勇者と呼ばれる存在が何人も現れるんだ、そうなるとお前は確実に殺される」



 魔王は黙って何か考えていたがまたグスグスと泣き出した、そしてどうして自分は殺されなきゃならないんだと言いだったら殺される前に全て殺してやると言い出した。



「じゃあ今すぐ俺に殺されても文句ないな?」


『なんで!』


「お前は自分が殺されるのは嫌なのに何もしてない弱い奴を殺すとワガママを言ってるんだ、なら俺の悪い奴が嫌いだからって言うワガママで殺されても仕方ないだろ」


『.....』



 再び黙って俺の言った意味を理解しようと考えだす魔王だが、俺は槍を召喚して魔王に矛先を向け左肩を突き刺した、魔王は痛いと泣き叫ぶがお構いなしに刺したままグリグリとひねりを加える。



「どうした魔王、お前がいつも俺に殺すだ死ねだ言ってるがお前が殺されそうになってるじゃないか」


『卑怯者ーーーーー指輪を外せーーーーー殺す殺す絶対殺すーーーーー!!!』


「よーしなら指輪を外してやろうじゃないか!」



 俺は地中から魔王を引っ張り上げ縄を切り指輪を外してやると魔王から魔力が一気に溢れ目が赤く光りだしさっと後ろに飛んで黒い火球を撃とうとしたが俺が先に青白い火球を撃ち込み魔王をぶっ飛ばした。


 魔王は飛ばされ地面に転がり素早く立ち上がると次々火球を飛ばしてくるが距離があるから簡単に避けられ当たるわけがない、俺も試しに新技じゃないが思いついた魔法を使ってみようと右手を前に出し魔力を辺り一面に広げていく、魔王は俺の魔力が見えないのか相変わらずバカスカ火球を撃ってくるが俺の魔力は魔王の周りにも広がり準備は整った。



「どうした?近付いて来ないのか?」


『うるさい!死ねーーーー!』



 俺の挑発に激高してひときわ大きな黒い火球を作り出して魔王はこちらに向かって飛んで来たが、俺はチャンスとばかりに空高く飛び上がり広げた魔力を爆発させるイメージで魔法を発動させた、大きな爆発音が二度聴こえ上空まで衝撃波が襲ってきて鼓膜が破れるかと思ったが俺は無傷で済んだ、魔王は自分の火球の爆発にも巻き込まれてかなり後方までぶっ飛ばされ倒れて動かなくなった、これは案外使えるかもしれないと思いながら俺は魔王に近付いていった。



『うぅ.....ぐふっ.....』


「お!まだ生きてたか魔王よ、死にかけてるがな!ハハハハ!」



 俺は一応魔力で身体強化の魔法を使って防御力を上げてから魔王に接近し腹を踏みつけた。



「さて魔王アルミナ、お前はこれから死ぬが何か言いたい事はあるか?」


『......た....けて...』


「ん?なんだ?俺を絶対殺すとか言ってた魔王から何か聴こえた気がしたが」


『ごめ...なさい...た...すけて』


「はぁ...仕方ない、今日はここまでにしてやろう」



 初めから殺す気はなかったが魔王から助けを求めてきたから良しと思い俺は魔王に回復魔法をかけてやる、傷は塞がり血も止まって服以外は治ったが魔王はそのまま気を失った、魔王に再び指輪を着け気が付くまで待つことにし、もう辺りは真っ暗なので俺が考えた焚き火セットを召喚して火をつけ俺も目をつむり休むことにする。


 一時間程経ってようやく気が付いた魔王はガバッ!と立ち上がり俺から距離を取るが魔法は撃とうとせずジッとこちらを睨んでいた。



「やっと起きたか、それじゃあさっそくさっきの話の続きをしようか、とりあえずここに座れ、座らないと殴るぞ」


『.....』



 魔王はしばらく考えた後ゆっくりと近付いてきて俺の側に座ったが警戒しているのか俺が少し動くとビクビクしていた。



「お前は俺には勝てなかったが他の人間からしたら遥かに強いんだ、そしてそんな強い魔王のお前が弱い人間を殺そうと暴れてみろ、お前に殺されたくないと平和に生きたいと願う人がお前を簡単に殺せる勇者にお前を殺すよう頼んでみろ、どうなると思う?」


『......強い奴が私を殺しにくる』


「そうだ、そしてそんな強い奴がこの先何人もこの世界に来るしお前と同じ魔王もお前の敵として現れるかもしれないんだぞ?それでもお前は今のまま好き勝手に生きたいか?」


『.....わかんない...けど死にたくない...』


「すぐに分かれとは言わないがとりあえずエルサの言う事を聞いとけ、お前が誰にも命を狙われず平和に生きていけるように知識を教えようとしているんだ」


『.....』



 魔王は黙って少し頷きジッと焚き火を見つめて何か考えていたが、俺が出した普通のジュースを受け取ると飲んでくれたので少しは警戒心も解けたかなと思い俺もこの分なら調教もすぐ終わるんじゃないか?と思い、しばらくして魔王と一緒に魔大陸の家へと転移し帰宅した。

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