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『ニール、手加減しているのは分かりますが初日からこれではいつかアルミナの頭がどうにかなっちゃいますよ?』
「なら初日からぶっ壊しますか?」
『死ね卑怯者ー!』
レミアはもう少し優しく言い聞かせてから罰を与えるべきだと言ってきたがエルサと話し合って俺が体罰担当のような役割だから文句ならエルサ様に言えと言い木を切っただけの椅子に座った、レミアの後ろから魔王が俺に文句を言ってくるが卑怯なのはお前もだろうと思い無視する。
『ところでニール?いつあの飲み物を私に出してくれるのですか?』
「あれはお酒ですが今から飲むつもりですか?....まぁいいですけど」
とりあえずレミアにお酒を出し俺は炭酸ジュースを二つ出して魔王にも出してやる、レミアはこれが地球のお酒なのかと驚き美味しそうに飲んでいた。
「地球のっていうかこの世界の物で再現されたお酒ですから違いがあるかもしれませんよ、俺は地球の酒なんて飲んだことありませんし」
『それでも美味しいですねコレ、エルサも飲んだ事あるの?』
「エルサ様には俺が今飲んでる炭酸ジュースっていう甘い飲み物しか飲んでませんね、ちなみにこのジュースみたいなお酒も出せますが飲みますか?」
レミアにジュースみたいな桃風味の酒を出してやりまた驚いていた、さっきの独特な苦味があるお酒も美味しいがこっちの方が好きだと言って嬉しそうにチビチビ飲んでいたが、魔王は俺が出した飲み物を飲もうとしなでジッと俺を睨んでいた。
「どうしたアルミナ?飲まないのか?」
『お前に出された物なんか飲まないぞ!それよりこの指輪を取って私と戦えー!』
「お前が一日悪い事をしなければな指輪を外してやるし戦ってやるよ、ただし一時間だけな!ハハハ!」
『うるさい今すぐ戦え!この卑怯者!』
このガキはなんで勝てないと分かっているのに戦いたがるのか理解できず、それが魔王って奴なんだろうと一人で納得して魔王に出した飲み物を俺が飲み干し話すだけ無駄なので再び無視することにし、しばらくレミアと雑談してるとようやくエルサが帰ってきた。
『お待たせ、さっそく移動しましょうか!アルミナはこの中に入ってね』
『嫌だー!もう檻になんか入りたくない!』
「アルミナよ、お前が逃げたり騒ぐから閉じ込められるんだ、頭の良いお前ならどうすればいいか分かるよな?」
『.....』
エルサも魔王のあの悲惨な光景を見ているのにニコニコしながら檻に閉じ込めようとするのはどうかと思ったが、魔王は俺の言葉を聞いて考え『大人しくするから檻に閉じ込めないで?お姉ちゃん』とエルサに甘えるようにお願いした、やはりコイツは頭が良い。
『はぅ!聞いたレミア?お姉ちゃんだって!仕方ないわねぇ良い子にしてるのよ!ふふふふ』
『そう、良かったわね』
レミアはまだチビチビ飲んでる酒に夢中なのか分からないがエルサの言葉に無関心だった、魔王もエルサを騙せて下を向いてニヤけているがこいつはこいつで俺にそのニヤけ面を見られている事に気付いていない、エルサは魔法陣を展開させ全員入るよう促し引越し先に転移した。
エルサが選んだ引越し先は前方に海が視界一杯に広がり、後ろを見ると平原が広がるなんとも気持ちの良い開けた場所だった、ここなら平原の先に見える森から魔物が出てきてもここまで来るのに時間がかかるから余裕を持って対処できそうだが肝心の家が見えない、何処に家を建てたのか聞くとエルサはニヤッとして俺に家の場所を当ててみろとメンドクサイ事を言ってきた。
「はやく言わないとこの辺り一帯吹き飛ばしますよ」
『貴方はもう少し楽しむ努力をするべきだわ』
エルサは俺に呆れながら何もない場所を指差し指先に小さな魔法陣を展開させると大きな三階建ての家が薄っすら見えてきた、なんだこれはと俺が驚いていると満足そうにニコニコして不可視の魔法で周りを囲ってるから飛行型の魔物にも気付かれないと説明してきた、魔力の流れが見える俺でも認識出来なかったからこれも神の力のようなものなのだろう、俺がそんな力を持ってたら絶対良くない事に使う自信がある。
「エルサ様のくせに凄いですね、見直しましたよさすが女神様だ」
『貴方自分が下級天使だと自覚してる?まぁ貴方だから許しますが他の天使の前ではちゃんとしてよね』
「わかってますよ」
『ふふふ、エルサもニールも仲が良いですね』
キャッキャと話しながら新しい住処に入ると正面に階段があり、エルサは魔王の手を引いて階段裏に周り地下に降りていった、地下まである事にも驚いたが地下は魔王を閉じ込めておくスペースらしくそれなりに広く綺麗だったが壁が薄っすら光っていた。
「エルサ様、この壁はなんですか?光ってますけど、それに魔力で覆われてますよねここ」
『アルミナが壁を壊して逃げないようにしてるのよ、魔力で強化してるから貴方でもそう簡単には壊せないわよ』
「ふーん、良かったなアルミナ、檻の中より広い自分の部屋が出来て」
『外が見えない.....』
外が見えないと呟きそのまま座り込んで悲しそうにしだす魔王、これもコイツの演技だろうがこいつは一体どこでこんな演技を覚えたのか、エルサはそんな魔王に良い子にしてたら良い場所に部屋を作ってやるといいニコニコしていた、きっとこれがエルサのやり方なのだろう。
その後地下に魔王を閉じ込め俺達は部屋割りを決めていく、一階は主に食料庫や風呂にトイレにキッチンと生活全般の部屋ばかりなので二階を俺と物置の部屋にし、三階は全てレミアとエルサが使う事になった。
「しかしこれだけ広いと掃除はどうするんですか?」
『それは精霊達が勝手にやってくれるから安心しなさい、貴方は食事と飲み物を私達に出すくらいだから楽でしょ?』
「.....」
どうせ掃除もやらせるんだろうと思っていたが精霊達がやってくれるなら本当に一緒に住む意味はあるのかと思うがもうここまで来たら諦めるしかない、こんな奴等だが顔は美人でカワイイからラッキーだと思うことにする、適当に食べ物と飲み物を出してやって俺は自分の部屋に行き借りた部屋じゃないから好きにしようとアレコレ召喚して部屋の家具を充実させていった。
しばらくしてレミアが部屋に来てまた酒を出してくれと言ってきた、こいつはもしかして酒豪なのかと思ったが単に自分がどのくらい飲めば酔うか分かってないから沢山飲みたいのか分からないので確かめてやろうと一階に行きテーブル一杯に酒の入ったコップを出してやった。
「レミア様、沢山飲むのは良いですけど後で泣いてもしりませんよ?」
『こんなに美味しい飲み物を飲んでるだけでなぜ泣くのです?』
「いえ気にしないでください、沢山飲んで楽しんでくださいね」
『ありがとうニール』
ニッコリ笑ってお礼を言ってくるレミアだが、こいつは後者だなと思い好きなだけ飲んで後で苦しめと俺はほくそ笑んだ、ついでに地下に行き扉を開けると魔王は奥の壁に背を預けぽつんと座ってこちらを見ていた。
『....』
「どうした元気ないな、さっきまでの威勢はどうした?」
『うるさい!何しに来た!』
「いや別に、とりあえず色々ここに置いていくから好きに使え、壊したらどうなるか分かってるな?大事に使えよ」
俺はベッドやら布団やらテーブルやら適当に出してやる、最後に炭酸ジュースと菓子の入った木箱を置いて食べなくても良いが投げ捨てたりしてたら二度と出さないと忠告して部屋から出ていった。
『ちょっと、貴方の部屋のアレ、私の部屋にも出してくれる?』
「勝手に部屋に入るの止めてくれませんかねぇ」
階段でエルサに会い俺の部屋の家具類を見たらしく自分にも出してくれと言ってきたのでエルサの部屋に行きとりあえず家具を出してやるがこれじゃないと言い出し、注文が細かくてアレコレ不満を言ってくるのでぶん殴ってやろうかと思ったがエルサが納得する形の家具類が出来るまで繰り返しイメージし直して何度も出してやりようやく全て出し終えた、今日は沢山召喚魔法を使って魔力を使いすぎてフラフラになり俺はもう寝ると言ってまだ陽は沈んでないが部屋に帰って寝ることにした。




